著者
ほうれい線治療専門
東京リンクルクリニック
院長 沖津茉莉子
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「マリオネットライン」とは、口元から下顎にかけて縦に現れるしわのこと。
まるで人形の口のように見えることからこの名前がつきました。
このラインが目立つと、一気に老けた印象や疲れた印象を与えてしまうことに。
実はこのライン、ただの加齢のサインではなく、皮膚のたるみや骨格の変化、脂肪の下垂などが複雑に絡み合った結果生じる非常に奥の深いしわなのです。
だからこそ、美容皮膚科医としては治療のしがいがあり、腕の見せどころです。
本記事では、なぜマリオネットラインができるのか、そしてその原因に合わせた最適な治療法やセルフケアのポイントをわかりやすく解説します。
マリオネットラインを克服して、自分史上最高の笑顔を手に入れましょう。
目次
マリオネットラインができる原因
1. 皮膚のたるみ・ハリの低下
マリオネットラインは、皮膚のたるみやハリの低下によって形成されます。
加齢に伴い真皮層のコラーゲンやエラスチンが減少し、肌のハリや弾力が失われ、重力の影響を受けやすくなります。
さらに、紫外線や乾燥などの外的要因が皮膚の老化を加速させます。
この結果、口元や頬の下部の皮膚が下垂し、マリオネットラインが目立つようになります。
2. 骨の萎縮・靭帯の劣化
加齢により顔の骨の萎縮が進むと、皮膚や脂肪や筋肉を支える基盤が弱まり、頬や口元の柔らかい組織が下垂します。
また、これらの組織を骨に固定している靭帯も年齢とともに劣化しゆるむことで、頬や口元の下垂がより進行し、マリオネットラインの原因になります。
3. 頬の脂肪の下垂
マリオネットラインの治療法
予防ならリフトや引き締めだけでもOK、改善にはヒアルロン酸の併用が最適
リフトアップや引き締め系の施術(糸リフトやレーザー治療)は、マリオネットラインの予防や軽度の改善に効果的です。
これらの治療は皮膚や脂肪を引き上げたり引き締めることで、たるみの改善につながります。
しかし、すでに深く目立っているマリオネットラインを改善するには、これら施術だけでは不十分な場合が多いため、より治療の完成度や満足度を上げるためには、ヒアルロン酸注入を併用することが推奨されます。
ヒアルロン酸ではマリオネットラインの溝を埋めつつ、骨の萎縮を補うように注入することで、顔全体のリフトアップ効果を高め、自然な仕上がりを実現できます。
ヒアルロン酸注入
直接的なしわ改善とリフトアップ効果の両立
ヒアルロン酸注入は、マリオネットラインに対して直接的な改善が期待できる治療法です。
ヒアルロン酸をマリオネットラインにダイレクトに注入し溝を埋めることで、しわや影が目立たなくなり、明確な効果が得られます。
また、マリオネットラインを埋めるだけでなく、顔全体の骨の萎縮を補うように、頬骨上やこめかみなど顔の支点となる重要箇所に杭を打つように少量ずつ注入することで、全体的なリフトアップ効果を得られます。
この手法により、顔全体のたるみが引き上げられ、マリオネットラインの予防と改善にもつながります。
リフトアップ施術との併用が理想的
マリオネットラインが進行して深くなっている場合、ヒアルロン酸の注入のみで大きな改善をはかろうとすることは推奨できません。
マリオネットラインにヒアルロン酸をダイレクトに注入してしわを消すことのみに固執すると、口元に過剰なボリュームが生じ、よけいにたるんで見えたり不自然な仕上がりになる場合があります。
そのため、マリオネットラインが深い場合は、糸リフトなどのリフトアップ施術を併用することが理想的です。
リフトアップで皮膚を引き上げて口元のもたつきを解消しつつ、ヒアルロン酸で不足したボリュームを自然に補うことで、顔全体のバランスの取れた仕上がりを実現できます。
糸リフト
糸リフトは、表面にコグ(トゲ)の付いた医療用の吸収性糸を皮膚に挿入し、皮膚のたるみや脂肪の下垂を引き上げる治療です。
糸が皮膚の中で吸収される過程でコラーゲン生成が促進し、肌のハリや弾力の改善にもつながります。
施術後すぐに効果を実感でき、マリオネットラインの原因となる口元のたるみの引き上げに適しています。
ただし、引き上げの効果の持続期間は数ヶ月〜1年程度であるため、年に1回ほどの定期的なメンテナンスが必要です。
また、マリオネットラインが深い場合は、糸リフト単独では十分な改善を期待できないことも多く、その場合はヒアルロン酸の注入を併用することで、より完成度や満足度の高い仕上がりを実現できます。
糸リフトの施術には技術やセンスが求められるため、熟練した医師に相談することが重要です。
ショッピングリフト
ショッピングリフトは、リフトという名前から誤認される場合もありますが、たるみの引き上げではなく引き締めを目的とする治療法です。
極細の吸収糸を複数皮膚に挿入することで、コラーゲン生成が促進され、肌のハリや弾力が向上し、肌質の改善やたるみの予防につながります。
糸リフトのように皮膚のたるみや脂肪の下垂を物理的に引き上げて効果を得るものではなく、皮膚の自己再生能力を活用して肌質を若返らせる治療であり、軽度のたるみの改善や予防を目的としています。
定期的にくり返し治療を受けることで、コラーゲンが持続的に増生され、長期にわたるたるみ予防の効果が得られます。
ただし、既に深く目立っているマリオネットラインに対しては効果が限定的であるため、ヒアルロン酸注入などとの併用が推奨されます。
レーザー治療(ハイフ・高周波)
ハイフ(高密度焦点式超音波)や高周波は、皮膚や脂肪や筋膜に熱を与えることで、たるみの改善をはかる機械での治療法です。
ハイフは筋膜に超音波を照射することで、皮膚の土台を引き締め、リフトアップ的な効果を期待するものです。
一方、高周波は脂肪組織を引き締めたり、真皮層のコラーゲン生成を促進させハリや弾力を回復させます。
これらの機械施術はダウンタイムがほぼなく、気軽に受けられるのが特徴です。
ただし、マリオネットラインに対しては、予防としては有効ですが、すでに目立っている場合において改善は難しく、ヒアルロン酸注入との併用でより効果的な結果が期待できます。
マリオネットラインのセルフケア
保湿ケア
保湿はマリオネットラインだけでなく、皮膚全体のたるみを予防する上で欠かせない基本的なケアです。
肌が乾燥すると皮膚のバリア機能が低下し、コラーゲンやエラスチンの減少を招いてハリや弾力が失われ、マリオネットラインがしわとして刻まれやすくなります。
保湿ケアでは、洗顔後すぐに化粧水で水分を補い、乳液で油分を整え、クリームで水分を閉じ込めることが重要です。
基本的なスキンケアを欠かさず継続することで、肌のハリを保ち、マリオネットラインの進行を抑えることができます。
紫外線対策
紫外線はコラーゲンやエラスチンを破壊し、皮膚の老化を加速させます。
その結果、マリオネットラインの進行が早まる可能性があります。
季節や天候に関わらず、外出の際は日焼け止めをこまめに使用し、必要に応じて帽子や日傘を活用しましょう。
特にしわやたるみなどの肌老化をもたらす紫外線A波は、窓ガラスを通過し屋内にも到達するため注意が必要です。
屋内でも日焼け止めを適宜使用することで、肌のハリや弾力を維持することができます。
家庭用美顔器
家庭用美顔器は、微弱な電流や振動を利用して肌の引き締めや血行促進をはかるケアアイテムです。
マリオネットラインの予防としてはやらないよりかは良いのかもしれませんが確実性に欠けることと、すでに形成されたマリオネットラインに対しての改善効果は残念ながら期待できません。
また、使用頻度や強度を誤ると皮膚によけいな負担がかかり、かえってたるみが進行するリスクがあります。
正しい使い方と頻度を守り、他のケア方法と組み合わせて使用するのが理想的です。
表情筋トレーニング
表情筋トレーニングは、筋肉の状態を維持し、たるみの予防をはかるセルフケアです。
しかし、すでに目立っているマリオネットラインを改善することは難しく、予防の域を超えません。
また、過剰なトレーニングや誤った方法でおこなうと、皮膚に負担がかかり、ほうれい線やマリオネットラインを逆に悪化させてしまう可能性があります。
適切な方法を確認し、無理のない範囲で継続しましょう。