
著者
ほうれい線治療専門
東京リンクルクリニック
院長 沖津茉莉子
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「ほうれい線が目立ってきたので、クリームで少しでも薄くできないかな。」
「ほうれい線専用クリームや、しわ改善クリームがたくさんありますが、本当に効果があるのでしょうか。」
このように考えて、ドラッグストアや通販でクリームを探している方も多いのではないでしょうか。
結論からいうと、クリームでも、乾燥による細かなシワや肌のハリ不足を整えることで、ほうれい線周囲をなめらかに見せられる可能性があります。
レチノールやナイアシンアミドなど、しわや肌のハリを目的として使われる成分もあります。また、セラミドやグリセリンなどで十分に保湿するだけでも、乾燥によって目立っていた細かなシワが目立ちにくく感じられることがあります。
一方、ほうれい線には、皮膚が繰り返し折れ曲がることで形成された「溝」と、頬や鼻横との高低差などによって生じる「影」があります。
すでに形成された深い溝や、頬の下垂・鼻横の骨格的なくぼみなどによる構造的な影そのものを、クリームだけで消すことは難しいと考えられます。
東京リンクルクリニックは、ほうれい線治療を専門とする美容皮膚科です。
この記事では、ほうれい線にクリームを使う意味はあるのか、どのような成分を選べばよいのか、ドラッグストアなどの市販品でもよいのか、そしてクリームでは改善しにくいほうれい線の見分け方まで、美容皮膚科医の立場から解説します。
この記事を読んでわかること
- ほうれい線にクリームで期待できる効果
- クリームでは改善しにくいほうれい線の特徴
- レチノール・ナイアシンアミドなど注目したい成分
- 市販・ドラッグストアのクリームを選ぶポイント
- クリームで改善しない場合に考えたい治療
自分のほうれい線が「クリームで変わりやすい状態か」「治療を検討した方がよい状態か」分からない方も、お気軽にご相談ください。
ほうれい線はクリームで消える?

「毎日しわ改善クリームを塗れば、ほうれい線そのものも消えていくのでしょうか。」
この疑問に答えるには、まず何がほうれい線を目立たせているのかを分けて考える必要があります。
乾燥による小じわやハリ不足なら改善が期待できる
肌が乾燥すると、角層の水分量が低下して肌表面が粗くなり、細かなシワや凹凸が目立ちやすくなります。
特に口元はよく動かすため、乾燥するとほうれい線の周囲に細かなシワが重なり、実際の溝以上に深く見えることがあります。
このような場合には、保湿クリームで角層の水分を保ち、肌表面をなめらかに整えることで、ほうれい線周囲がふっくらして見えることがあります。
つまり、「クリームは意味がない」というわけではありません。
乾燥や肌表面の状態によって強調されている部分には、毎日のスキンケアが役立ちます。
すでに形成された「溝」はクリームだけでは消えにくい

一方、真顔の状態でも皮膚に線が残っている場合には、すでにほうれい線として「溝」が形成されている可能性があります。
ほうれい線は単なる表面の乾燥じわではありません。
加齢に伴う皮膚の変化に加えて、脂肪、支持組織、筋肉、骨格など複数の要因が関係して形成されます。
そのため、保湿や化粧品だけで、すでに形成された構造的な溝そのものを元の状態まで戻すことは難しいと考えられます。
参考文献:Hong GW, et al. Why Do Nasolabial Folds Appear? Exploring the Anatomical Perspectives and the Role of Thread-Based Interventions. Diagnostics. 2024;14(7):716.
頬の下垂や骨格による「影」もクリームでは変えにくい

もう一つ重要なのが「影」です。
例えば、頬が下がってほうれい線の外側が高くなったり、鼻横の骨格がもともとくぼんでいたりすると、高低差によってほうれい線部分に影ができます。
これは肌表面を保湿するだけでは十分に変えられません。
一方で、乾燥、小じわ、毛穴、色むらなどによって光が乱反射し、ほうれい線周囲が暗く見えている光学的な影については、スキンケアによって肌表面が整うことで多少目立ちにくく感じることがあります。
クリームで変えやすいのは主に肌表面の状態であり、構造的な影そのものを持ち上げるものではないという違いを知っておくと、必要以上に高価なクリームを買い続けることを避けやすくなります。
ほうれい線クリームで注目したい成分

ほうれい線用のクリームを選ぶときは、「ほうれい線専用」という商品名だけで判断するより、自分が何を改善したいのかに合わせて成分を見ることが大切です。
レチノール
レチノールはビタミンAの一種で、エイジングケア化粧品に広く使用されている成分です。
レチノイドには、光老化による細かなシワや皮膚の状態を改善する作用について研究が蓄積されています。
特に医療で使用されるトレチノインについては、複数のランダム化比較試験をまとめたシステマティックレビューでも、光老化によるしわなどの改善が報告されています。
ただし、医療用のトレチノインと、市販化粧品に配合されているレチノールは同じものではありません。
市販製品では濃度や処方が製品ごとに異なるため、「レチノール配合ならどの商品でも同じ効果がある」と考えないことが大切です。
また、レチノールは赤み、乾燥、皮むけ、刺激感などが起こることがあるため、製品の使用方法を守り、少ない頻度から使用するよう指定されている製品ではその指示に従いましょう。
参考文献:Siddiqui Z, et al. Comparing Tretinoin to Other Topical Therapies in the Treatment of Skin Photoaging: A Systematic Review. Am J Clin Dermatol. 2024;25(6):873-890.
ナイアシンアミド
ナイアシンアミドはビタミンB3の一種で、保湿、肌荒れ予防、エイジングケアなどを目的とした化粧品に幅広く配合されています。
臨床研究では、ナイアシンアミドを配合した外用製品によって、細かなシワ、肌の質感、色むらなどに改善がみられた報告があります。
日本では、ナイアシンアミドを有効成分として「しわ改善」の効能が認められている医薬部外品もあります。
比較的取り入れやすい成分ですが、すべてのナイアシンアミド配合化粧品が「しわ改善」を標榜できるわけではありません。
しわ改善を目的に選ぶ場合は、単に成分名を見るだけでなく、製品が医薬部外品であるか、どのような効能を表示しているかまで確認しましょう。
参考文献:Bissett DL, et al. Topical niacinamide reduces yellowing, wrinkling, red blotchiness, and hyperpigmented spots in aging facial skin. Int J Cosmet Sci. 2004.
セラミド・グリセリン・ヒアルロン酸
「まず乾燥をなんとかしたい」という方は、しわ改善成分だけでなく保湿成分を重視してください。
セラミドは角層のバリア機能を支える脂質の一つです。
グリセリンやヒアルロン酸なども、角層に水分を保持し、肌表面をなめらかに整える目的で広く使用されています。
これらの成分で深いほうれい線そのものを埋めることはできませんが、乾燥で細かなシワが重なっている場合には、保湿するだけでも口元の見え方が変わることがあります。
ペプチドなどの整肌成分
ペプチドなども、ハリや肌状態を整える目的でさまざまな化粧品に配合されています。
ただし、ペプチドには非常に多くの種類があり、製品ごとの処方も異なります。
「ペプチド配合だからほうれい線が消える」「エラスチン配合だから肌の弾力線維そのものが補充される」と単純に考えることはできません。
こうした成分は、まず整肌成分の一つとして捉え、製品全体の保湿力や使いやすさも含めて判断するのがおすすめです。
ほうれい線クリームの選び方

しわ改善を狙うなら医薬部外品の効能表示を確認
「しわを改善したい」という目的が明確な場合には、「しわ改善」の効能が認められた医薬部外品を一つの目安にできます。
一般的な化粧品と医薬部外品では、表示できる効能の範囲が異なります。
ただし、医薬部外品だから深いほうれい線まで消せるという意味ではありません。
評価されている「しわ」と、骨格・脂肪・支持組織などが関係するほうれい線全体は同じものではないためです。
乾燥が強いなら保湿力を優先
口元の乾燥が強い方は、有効成分だけを追いかけるより、毎日無理なく続けられる保湿剤を選ぶことが大切です。
セラミド、グリセリンなどの保湿成分に加え、乾燥が強い場合には油分を含むクリームも選択肢になります。
高価な製品である必要はありません。
毎日使っても刺激が少なく、十分な量を継続して使えることの方が重要です。
敏感肌は刺激の少なさを優先
敏感肌の方では、有効成分をたくさん重ねることよりも、肌トラブルを起こさず継続できることを優先してください。
「敏感肌用」「低刺激性」などの表示も参考になりますが、すべての方に刺激が起こらないことを保証するものではありません。
新しい製品を使って赤みやヒリつきが続く場合には、使用を中止して皮膚科へ相談しましょう。
市販・ドラッグストアのクリームでも選べる
「ドラッグストアで買える安いクリームでは意味がありませんか」と聞かれることがあります。
価格が高いほど、ほうれい線への効果が高いとは限りません。
市販品でも、しわ改善を目的とした医薬部外品や、セラミドなどを含む保湿剤があります。
見るべきなのは価格やブランド名だけではなく、
- 何を目的とした製品なのか
- しわ改善の効能表示があるか
- 自分の肌に刺激なく使えるか
- 十分な保湿力があるか
- 無理なく継続できる価格か
といった点です。
成分表の上位だけで効果を判断しない
化粧品の成分表示を見て、「レチノールやナイアシンアミドが上の方に書いてあるから効きそう」と判断する方もいます。
しかし、成分表示の順番だけから、その製品の効果を正確に判断することはできません。
処方全体や成分の安定性、製品カテゴリーなども関係するためです。
しわ改善を目的に選ぶのであれば、成分表の位置だけを見るのではなく、製品の効能表示や使用方法まで確認してください。
クリームの効果を引き出す使い方

適量をこすらず塗る
ほうれい線が気になるからといって、クリームを強くすり込む必要はありません。
肌を強くこすると刺激や炎症につながることがあるため、口元にはやさしくなじませます。
特に乾燥している場合には、「高価だから少量だけ」と極端に使用量を減らすより、製品に記載されている適量を使用する方がよいでしょう。
製品ごとの使用方法を守る
「化粧水→美容液→乳液→クリーム」という順番が紹介されることがありますが、すべての製品に共通する絶対的な順番ではありません。
オールインワン製品や、特定のタイミングで使う美容液などもあるため、メーカーが推奨する使用方法を確認することが基本です。
特にレチノールなど刺激が出る可能性のある製品では、自己判断で使用頻度を急に増やさないようにしてください。
紫外線対策も一緒に行う
ほうれい線対策では、クリームだけでなく紫外線対策も重要です。
紫外線、とくに長期間にわたる光老化は、皮膚のコラーゲンなどに影響し、しわや弾力低下につながります。
エイジングケアを目的としたクリームを使用していても、日常的に強い紫外線を浴び続ければ十分とはいえません。
日焼け止め、帽子、日傘などを組み合わせてください。
クリームを塗りながら強くマッサージしない
「クリームを塗ったついでに、ほうれい線を強く伸ばした方が効きそう」と思うかもしれません。
しかし、クリームそのものの効果を得るために、強いマッサージは必要ありません。
摩擦による刺激を避けるためにも、やさしくなじませる程度で十分です。
クリームでは改善しにくいほうれい線の見分け方
クリームを使うか美容医療を検討するかで迷ったときは、まず鏡で「溝」と「影」を確認してみてください。
真顔でもはっきりした溝が残っている
笑ったときだけ一時的に線ができるのではなく、力を抜いた真顔でもはっきり線が残っている場合には、皮膚にすでに溝が形成されている可能性があります。
保湿によって周囲の小じわが整っても、溝そのものが残る場合にはクリームだけで大きく変えることは難しくなります。
鼻横や頬との高低差で影ができている
正面から見るとそれほど線が深くないのに、斜めから光が当たると急にほうれい線が濃く見える場合があります。
このような場合には、頬の厚みや下垂、鼻横の骨格的なくぼみなどによる構造的な影が関係していることがあります。
肌表面を整えるクリームでは、この高低差そのものを根本的に変えることはできません。
何か月もスキンケアを続けても溝が変わらない
十分に保湿し、スキンケアを続けても同じ位置に溝が残っている場合には、乾燥だけが原因ではない可能性があります。
だからといって、クリームをやめる必要はありません。
クリームは肌状態を整えるために続けながら、ほうれい線そのものについては別の方法を検討するという考え方もできます。
クリームで改善しないほうれい線の治療
クリームで変わらないからといって、「一番強い治療をすればよい」というわけでもありません。
ほうれい線では、溝が主体なのか、影が主体なのかによって治療の考え方が変わります。
皮膚に形成された溝が主体ならグロースファクター

東京リンクルクリニックでは、皮膚に形成されたほうれい線の「溝」が主体の場合、グロースファクター治療を選択肢の一つとしてご提案しています。
グロースファクターは、ヒアルロン酸のように注入した製剤のボリュームでくぼみを持ち上げる治療ではありません。
皮膚の真皮へアプローチし、コラーゲンなどの産生を促すことで、皮膚のハリや厚み、ほうれい線の溝の改善を目指します。
そのため、クリームでは変化しにくい、すでに皮膚に形成された溝が目立つ方では選択肢になります。
鼻横の骨格的なくぼみによる影にはヒアルロン酸など

鼻横の骨格的なくぼみが強く、そこから影が始まっている場合には、ボリュームを補うヒアルロン酸が適していることがあります。
グロースファクターでも、皮膚のハリや厚み、併存する溝が改善することで見た目の影が多少目立ちにくくなることはありますが、骨格的なくぼみそのものをボリュームで補う治療ではありません。
一方、鼻周囲へのヒアルロン酸注入には血管閉塞など重篤な合併症のリスクがあるため、適応と注入部位を慎重に判断する必要があります。
頬の下垂による影にはリフトアップ治療

頬が下がることでほうれい線の外側が盛り上がり、その高低差による影が強くなっている場合には、ハイフ、糸リフト、フェイスリフトなどのリフトアップ治療を検討することがあります。
ただし、頬を引き上げることと、皮膚にすでに形成されたほうれい線の溝を改善することは同じではありません。
そのため、実際には複数の要因を診察したうえで治療を選ぶことが重要です。
「クリームを使っているけれど、自分のほうれい線には何が必要なのか分からない」という方もご相談いただけます。
ほうれい線クリームについてよくある質問

ドラッグストアの安いクリームでも効果はありますか?
価格が安いから効果がないとは限りません。
ドラッグストアで購入できる製品にも、しわ改善を目的とした医薬部外品や、セラミド・グリセリンなどを配合した保湿剤があります。
値段よりも、目的、効能表示、自分の肌との相性、継続しやすさを確認してください。
ニベアなど普通の保湿クリームでほうれい線は消えますか?
一般的な保湿クリームでも、乾燥を防ぎ、肌表面をなめらかにすることはできます。
乾燥によって目立っている細かなシワであれば見え方が改善する可能性がありますが、すでに形成されたほうれい線の溝や、頬・骨格による構造的な影を消す効果までは期待できません。
レチノールとナイアシンアミドはどちらがいいですか?
どちらが一律に優れているとはいえません。
製品ごとの濃度・処方・効能が異なるほか、レチノールでは刺激が出る方もいます。
しわ改善を目的にする場合には、その製品で認められている効能と使用方法を確認し、肌質や刺激の出やすさに合わせて選ぶことが大切です。
ほうれい線専用クリームを使う必要はありますか?
必ずしも「ほうれい線専用」と書かれた製品を選ぶ必要はありません。
ほうれい線周囲で改善したいものが、乾燥なのか、細かなシワなのか、ハリ不足なのかによって必要な成分は異なります。
商品名よりも、目的と成分・効能表示を見ることをおすすめします。
クリームを塗ればほうれい線の予防になりますか?
保湿や紫外線対策によって肌を健やかに保つことは、エイジングケアの基本です。
ただし、ほうれい線には加齢による骨格・脂肪・支持組織などの変化も関係するため、クリームを塗っていれば将来ほうれい線ができない、ということではありません。
日々のスキンケアは「肌を良い状態に保つための対策」と考えるのが適切です。
まとめ|ほうれい線クリームは「何を変えたいか」で選ぶ

ほうれい線が気になったとき、まずクリームから試してみること自体は悪いことではありません。
乾燥による細かなシワや肌のハリ不足が目立っている場合には、保湿やしわ改善を目的としたクリームによって、口元がなめらかに見える可能性があります。
選ぶ際には、「ほうれい線専用」「高級」「人気」といった言葉だけではなく、しわ改善の効能表示、レチノールやナイアシンアミド、保湿成分、自分の肌との相性などを確認してください。
一方、真顔でもはっきりした溝が残っていたり、頬や鼻横との高低差による構造的な影が目立っていたりする場合には、クリームだけで十分に改善することは難しくなります。
この場合も、クリームをやめる必要はありません。
スキンケアで肌状態を整えながら、溝には溝の治療、影には影の原因に合った治療を考えることが大切です。
東京リンクルクリニックでは、ほうれい線を一本の線として見るのではなく、「溝」と「影」を確認したうえで治療の必要性を判断しています。
当院では無料相談も行っており、お寄せいただいたご相談メールには、本記事を執筆している院長の私が内容を確認してご返信しています。
「長くクリームを使っているのに変わらない」「自分はスキンケアだけでいいのか知りたい」という方も、どうぞお気軽にご相談ください。
