著者
ほうれい線治療専門
東京リンクルクリニック
院長 沖津茉莉子
日焼け止めを選ぶとき、何を重要視して選んでいますか?
塗り心地、ベタつきにくさ、落ちにくさ、色や香り、コスパの良さ・・・
特にこだわりがなくて、ついSPFやPAの値が高いものを手に取っていませんか?
はたしてSPFやPAが高いものが優秀な日焼け止めなのでしょうか?
そもそもSPFやPAって何のことか知っていますか?
正しいUVケアができていないと、日焼けだけでなくしみやしわやたるみなど、肌の老化につながります。
ぜひこの機会にUVケアの理解を深めて、日焼け止めの賢い選び方を知っておきましょう。
目次
UVAとUVBの違い
紫外線は波長によって、UVA(紫外線A波)UVB(紫外線B波)UVC(紫外線C波)の3種類に分けられます。
このうちUVCはオゾン層で吸収されるため、地表には届きません。
私たちの体に影響を与えるのはUVAとUVBです。
UVA|しわやたるみの大敵
UVAは波長が長く、皮膚の深くの真皮まで到達します。
真皮には肌のハリや弾力を保つ、コラーゲンやエラスチンやヒアルロン酸といった物質が充満しており、線維芽細胞という細胞によりこれらの物質がつくられています。
UVAはコラーゲンやエラスチンを破壊するだけでなく、線維芽細胞にもダメージを与えるため、UVAを長時間浴びることで皮膚の修復ができなくなり、しわやたるみの原因となります。
UVAは屋内にも到達する
UVAは窓ガラスを通過するため、屋外だけでなく屋内にも到達します。
そのため、家の中でも窓辺や車の運転時などは、UVAの影響を受けるため注意が必要です。
UVB|日焼けやしみの原因
UVBは波長が短く、真皮までは到達しませんが、皮膚の表面の表皮にダメージを与えます。
UVBによって肌が赤く炎症を起こしたり(サンバーン)、肌が黒く変化する(サンタン)など、いわゆる一般的な日焼けの変化を起こします。
UVBによってメラニンが沈着すると、しみやそばかすの原因となります。
紫外線の量は変動する
紫外線は季節・天候・時刻によって、地表に降り注ぐ量が変動します。
また、場所によって、地表に反射し体に影響する紫外線(反射紫外線)の量が増えるため注意が必要です。
季節|冬でも夏の半分以上
春から秋にかけて紫外線量は増加します。
UVA・UVBともに、4月頃から増え始め、7,8月にピークを迎え、9月を過ぎると減少します。
ただし、冬場でも無くなるわけではなく、特にUVAは夏場の半分ほどの量が降り注いでいるため、その影響を無視することはできません。
天候|曇りでも6割以上
晴れた日の紫外線量を100とすると、曇りの日は60以上、雨の日でも20程度の紫外線が降り注ぎます。
天気が悪いから大丈夫、という考えは誤りです。
時刻|夕方でも油断は禁物
朝7時から増え始め、9時になると急増し、昼間にピークを迎えます。
午後から夕方にかけては徐々に減少しますが、夕方の遅い時間も残っており、日没後もすぐにはなくならないため、18時頃までは紫外線対策が必要です。
場所|反射紫外線に注意
紫外線は体に直接当たらなくても、地表に反射して当たるもの(反射紫外線)があります。
そのため、日陰にいても紫外線の影響を受けます。
特に、水面や雪面ではこの反射紫外線は大幅に増加するため、海やスキー場では入念な紫外線対策が必要になります。
日焼け止めの賢い選び方・使い方
紫外線は365日降り注ぎ、私たちの体に悪影響を及ぼすため、肌の健康維持には日頃の紫外線対策がとても重要です。
この機会にぜひ、日焼け止めの正しい選び方と使い方をマスターして紫外線対策に活用しましょう。
SPFとPAの違い
日焼け止めでよく見るSPFとPA。これは紫外線の防止効果を示す指標です。
UVB対策にはSPF値
SPFは「肌の表面に炎症による赤みを起こし、肌を黒くする作用のあるUVB」に対する効果を示します。
1〜50(50を超える場合は50+)の数値で示され、肌に何も塗らない場合と比べて、UVBによる炎症をどのくらい長い時間防止できるかを表しています。数値が大きいほど作用時間が長いです。
UVA対策にはPA値
PAは「肌の深部まで届きダメージをもたらすことで、しわやたるみの原因となるUVA」に対する効果を示します。
+〜++++の4段階に表示され、+の数が多いほどUVAに対する効果が高いです。
こまめに塗り直すのがポイント
日焼け止めは外出前にムラなく塗れば完璧、というわけではありません。
塗った後も汗や水、皮脂、直接の摩擦などによって徐々に剥がれ落ち、効果が減弱します。
たとえSPF値が高く作用時間が長いものやウォータープルーフのものであっても、2〜3時間に一度こまめな塗り直すようにしましょう。
SPF/PAのシーン別の使い分け
日焼け止めはSPF値やPA値は高ければ高いほど良い、というわけでもありません。
SPF/PA値が高いものには「紫外線吸収剤」という化学原料が使われることが多く、これが原因で洗い落としにくくなったり肌への負担が大きくなる傾向にあります。
そのため、日常のシーンに合わせて使い分けるのが理想です。
例えば、日常的な外出や通勤時はSPF20以下/PA ++、屋外でのスポーツやレジャーではSPF30〜40/PA +++、炎天下や海や山でのレジャーではSPF50+/PA ++++などが適しています。
また、日焼け止めで肌荒れしやすい方は、ノンケミカル(紫外線吸収剤不使用)のものを選ぶと良いでしょう。
飲む日焼け止め・サプリの効果
最近では、塗るタイプ以外にも飲むタイプの日焼け止めが多く市販されています。
塗るタイプのものはどうしても塗りムラができてしまったり、海などでは剥がれやすくウォータープルーフのものでも限界があります。
また、塗る日焼け止めできちんと数値どおりの効果を得るためには、「1平方センチメートルの皮膚に2mgの使用した場合」が基準となっていて、実際はベタつきや白浮きを嫌がり、この基準量を大幅に下回って使用している場合がほとんどです。
その点、飲む日焼け止めは塗りムラや塗り不足も生じず、1回の内服で4〜6時間は安定的な効果が得られるため有用です。
とはいえ、飲む日焼け止め単独での紫外線防止効果は、塗る日焼け止めと比べると不十分であるため、あくまでも塗る日焼け止めの補足として併用することをお勧めします。
まとめ
紫外線は日焼けだけでなく、しみやしわやたるみなど、肌の老化現象を引き起こす大きな原因となります。
紫外線対策のためには、日焼け止めの特性を理解し、こまめに塗ること、日常のシーンに応じて適切に使い分けることが大事です。
日焼け止めを賢く使用してしわやたるみを予防しましょう。