説明


著者
ほうれい線治療専門
東京リンクルクリニック
院長 沖津茉莉子
ドクター紹介はこちら

鏡を見るたび、なぜか片側だけ深く刻まれて見えるほうれい線。
「写真に写ると、右だけ影がくっきり…」「左側だけ老けて見える…」
そんな違和感や不安を抱えて、このページにたどり着かれたのではないでしょうか。

両側に現れる“普通のほうれい線”とは違い、
片側だけ深いほうれい線は、原因も対処法もまったく別物です。

スキンケアを変えても、マッサージをしても、リフトアップをしても、
「なぜか片側だけ消えない」「むしろ左右差が気になる」──
それには、はっきりとした理由があります。

実は、片側のほうれい線はたるみというより、“骨格や表情筋の左右差”によって生まれるもの。
そのため、たるみを引き上げるだけの治療では改善できません

だからこそ、美容皮膚科医としてお伝えできる“結論”は一つ。
片側だけ深いほうれい線を、最も自然に・現実的に「消す」に近づけられるのは、注入治療だけです

そしてもう一つ大切なのは、片側のみの治療は可能であっても、
“片側だけ治すことで反対側が逆に目立ってしまう”という落とし穴があること。

本記事では、

  • 片側だけほうれい線が深くなる本当の理由と、
  • どの治療が「現実的にいちばん消えるのか」、
  • さらに 最も自然で、美しくバランスよく整えるための最適解を、

ほうれい線治療に特化した専門クリニックの立場から丁寧にお伝えしていきます。

目次

まず結論|片側のほうれい線を最も自然に“消す”方法は注入治療だけである

冒頭でもお伝えした通り、
片側だけのほうれい線を“本当に消す”レベルまで整えられるのは、注入治療だけです。

ここでは、その理由をもう少し具体的にお話しします。

片側が深く見えてしまう原因のほとんどが、
骨格のくぼみ・表情筋の動き・皮膚や脂肪の厚みの左右差といった“構造そのものの差”だからです。

ハイフや糸リフトなど“引き上げる系”は、
たるみの調整は効きますが、骨格や筋肉の左右差には一切アプローチできません。

そのため、片側ほうれい線に対して最も的確なのは、
溝・くぼみの深さそのものを補正できる「注入治療」だけなのです。

▶︎[ほうれい線の注入治療について詳しくみる>

1. 骨格や表情筋の左右差は“注入でしか”調整できない理由

片側のほうれい線をつくる最大の要因は、実は「たるみ」ではありません。実際には、

  • 鼻の横のくぼみ(鼻翼基部)の深さの違い
  • 上顎骨の形状の左右差
  • 笑い方の癖
  • 片側だけで噛む習慣
  • 頬の脂肪量や皮膚の厚みの非対称

といった “固定された構造的な左右差” が、影として現れてきます。
これらは、表面の皮膚のたるみを上に引っ張るだけでは変わりません。

骨格の凹みは骨格、筋肉の使い方は筋肉の問題であり、
リフトアップ治療で治せる範囲を超えているからです。

一方で注入治療は、目立つ側の溝だけをミリ単位で補正できるため、
構造的な左右差そのものに対してアプローチできます。

この“構造の問題に直接踏み込める治療”は、現時点では注入以外に存在しません。

※具体的な原因については、このあとの「[2]片側だけほうれい線が深くなる本当の原因」で詳しく解説します。

▶︎[ほうれい線ができる詳しい原因みる>

2. たるみの左右差は意外と影響が小さい|リフトアップ治療が効かない構造的な理由

多くの方が勘違いされがちですが、
「片側のほうれい線が深い=片側のたるみが強い」ではありません。

たるみは確かに年齢とともに全体に進行しますが、
左右差に大きく影響しているのはそれよりも「骨格の差 」と「表情筋の使い方 」です。

そのため、

  • ハイフで皮膚を引き締めても
  • 糸リフトで一時的に片側を引き上げても

ほうれい線の溝そのものは、ほとんど変わりません。

特に片側ほうれい線の場合、“引き上げ量の左右差”でバランスを取ろうとすると、
逆に 片側だけ引っ張られた不自然な顔 に見えることすらあります。

つまりリフトアップは、片側のほうれい線に関してはあくまで「補助的位置付け」であり、
溝を消す主役にはなれないのです。

▶︎[リフトアップ治療だけでほうれい線が消えない理由をみる>

3. 片側だけの治療は可能だが、実際は“両側同時”のほうが自然でコスパも良い

片側だけに注入すること自体はできますが、左右バランスの調整は非常に難易度が高い治療です。

片側だけを整えると、

  • 反対側のほうれい線が相対的に深く見えやすい
  • 正面は整っても、笑顔や横顔で左右差が目立つ
  • 動きに合わせたミリ単位の調整が必要

といった理由から、“後で気になる部分”が出やすい傾向があります。

そのため実際には、「片側だけ治したら、今度は反対側が気になってきた」
というケースが非常に多く、これは自然な心理というだけでなく、
片側だけ若返ることで未治療側の影が強調される“構造的な現象”でもあります。

また、片側はデザインが複雑になるため、
両側の“半額”という単純計算にならず、むしろ割高になることも珍しくありません。

結果として、

  • 両側のほうが自然な仕上がりになりやすい
  • 追加治療の必要が出にくい
  • コストや手間の面でも効率が良い

という理由から、最初から左右同時に治療した方が満足度が高いのが現実です。

▶︎[ほうれい線を消す費用を詳しくみる>

[2] 片側だけほうれい線が深くなる本当の原因|たるみより“骨格・表情筋”が主体

ここでは、「なぜ注入だけが有効なのか」の裏付けとして、
片側だけ深くなる本当の原因を、必要なポイントに絞って解説します。

①鼻翼基部(鼻の横のくぼみ)の左右差が影を作る

アジア人はもともと鼻翼基部(小鼻の横)が凹みやすい骨格を持っています。
このくぼみが片側だけ深いと、ほうれい線の「上半分」だけが強い影になります。

つまり、「どれだけ引き上げても」「どれだけマッサージをしても」
この“くぼみの深さ”が変わらない限り、影は消えません。

この 「土台となるくぼみの高さ」そのものを補正できるのが注入治療です。

▶︎[鼻の横のくぼみの原因と治療法をみる>

②噛み癖・笑い方など“表情筋の使い方”で片側にだけ負荷がかかる

人には必ず「癖」があります。

  • 片側だけで噛む
  • 笑うときに片側の頬が上がりやすい
  • スマホを片側に傾ける

こうした日常的な動きの癖によって、
片側だけ筋肉が強く働き、皮膚が折れ曲がりやすく、溝が刻まれます。

これも、リフトアップでは改善しません。
“動きの蓄積”による線の深さは、注入で溝を埋めるしか方法がないのです。

▶︎[片側のほうれい線が深くなる原因を詳しくみる>

③脂肪量・皮膚の厚みの差が溝の深さとして現れる

顔は、もともと完全な左右対称ではありません。

  • 頬の脂肪が片側だけ多い
  • 顔が片側だけ紫外線に当たりやすい
  • 加齢の進行にわずかな左右差がある

こうした小さな差の積み重ねが、
「溝の左右差」として目立つようになっていきます。

▶︎[頬の脂肪とほうれい線の関係性をみる>

たるみの左右差は“補助的”要因に過ぎない|なぜリフトアップが決定打にならないのか

繰り返しになりますが、

  • 片側のほうれい線の主因:骨格 × 表情筋 × 皮膚の質
  • たるみは“あくまでサブ要因”

です。

そのため、ハイフや糸リフトを行っても、深く見える“溝そのもの”は変わりません。

片側ほうれい線の改善には、
溝・くぼみを直接整えられる「注入治療」こそが本質的な解決策なのです。

▶︎[リフトアップ対策だけでほうれい線が改善しない理由をみる>

片側ほうれい線に一番効くのはこの2つ|注入治療の種類と選び方

片側ほうれい線に対して、特に相性が良い注入治療はこの2つです。

【1】ヒアルロン酸注入|段差・溝を即効で整えやすい

ヒアルロン酸は、“形をつくる”ことが得意な注入剤です。

  • その場で変化がわかる
  • ミリ単位で微調整できる
  • 片側の溝の深さに合わせて注入できる

といった特徴から、
片側の深いほうれい線の調整に非常に向いています。

ただし、持続は半年〜2年程度なので、
長期維持の観点では「補助的な役割」と考えるのが現実的です。

▶︎[ほうれい線のヒアルロン酸注入の詳細をみる>

【2】グロースファクター治療|溝の“土台”を根本改善し、左右差を長期的に調整

グロースファクターは、コラーゲンを増生して皮膚を内側から厚くする治療です。

  • 不自然に膨らまない
  • 表情の動きに合わせて馴染む
  • 1〜6ヶ月かけて自然にハリが向上
  • 数年〜10年以上の長期持続

といった特徴があり、
特に “表情筋の折れ癖”による左右差に相性がよい治療です。

片側ほうれい線の治療目的としては、
ヒアルロン酸よりもより自然で、長期的に安定した改善が期待できます。

▶︎[グロースファクター治療の詳細をみる>

片側だけに注入する際の専門的デザイン(深さ・層・量・角度の調整)

片側だけの治療では、

  • 浅い層と深い層のどちらに入れるか
  • どの角度で薬剤を走らせるか
  • どの範囲までボリュームを補うか
  • 反対側とどこまで寄せるか

こうした要素のバランスが非常に重要です。

同じ「0.1cc」でも、
注入ポイントや角度が違えば仕上がりは全く変わります。

そのため、片側の注入は、
より繊細なデザイン力と、表情の動きまで読み取る診断力が求められる施術になります。

片側と両側の料金差|片側の方が“やや割高”に設定されることが多い理由

「片側だけだから、両側のちょうど半額でできる」とイメージされる方も多いのですが、
実際のところ、一般的に片側治療は
“両側の半額よりやや高め”に設定しているクリニックが多いのが現状です。

これは、片側のほうがデザインが複雑になりやすく、
左右バランスを細かく確認しながら調整していく必要があるため、
診療にかかる時間やスタッフの人件費、
使用する資材・その他の経費などを含めた“トータルのコスト”が単純な半分にはならないからです。

さらに、

  • 片側だけ整えると、治療していない側が“相対的に深く見える”
  • 結局あとから反対側も治療するケースが圧倒的に多い

という現実もあります。

つまり、最初から両側でバランスよく整えた方が、
結果的に自然で効率的かつコスパも良い、ということが多いのです。

▶︎[ほうれい線治療の費用・コスパを詳しくみる>

リフトアップ(ハイフ・糸リフト)で片側ほうれい線はどこまで改善できる?

ここでは、多くの方が気にされる「ハイフや糸リフトで片側のほうれい線は良くなるのか?」
という疑問にお答えします。

1. 多くの人が誤解している“たるみ=片側ほうれい線の原因”は半分正解・半分不正解

たるみが進行すると、ほうれい線全体は確かに深くなります。

そのため、「たるみを引き上げれば、片側だけ深いほうれい線も良くなるはず」
と考えがちですが、実際にはそんなに単純ではありません。

片側の深さの違いを作っているのは、先ほどお伝えしたように
“骨格のくぼみ”と“皮膚の折れ曲がり”が中心です。

たるみはあくまで、そこに上乗せされる要素の一つに過ぎません。

▶︎[ほうれい線とたるみの関係性を詳しくみる>

2. ハイフで改善しやすいのは「フェイスラインの左右差」であって“ほうれい線の溝”ではない

ハイフは、皮下脂肪や皮膚を引き締める治療です。

そのため、

  • フェイスラインのもたつき
  • 頬のボリューム
  • 頬のたるみ

には効果がありますが、ほうれい線の“溝”にはほぼ効果がありません。

理由は単純で、「骨格のくぼみ」や「皮膚の折れ曲がり」そのものには作用しないからです。

▶︎[ハイフだけでほうれい線が改善しない理由をみる>

3. 糸リフトで片側だけ引き上げても“骨格の影”は消えない

糸リフトは、物理的に皮膚を引き上げる治療なので、たるみには効果があります。

しかし、片側ほうれい線の主因である

  • 骨格のくぼみ
  • 筋肉の折れ癖の左右差
  • 皮膚や脂肪の厚みの違い

といったその他の“構造的な問題”にはアプローチできません。

そのため、糸リフトだけでは、左右差そのものはほとんど変わらないのが現実です。

▶︎[糸リフトのほうれい線に対する効果の限界をみる>

4. 注入と併用して初めて自然なバランスが整うケースが多い

片側ほうれい線を本気で整えたい場合、次のようなパターンが多くなります。

  • まず注入で“溝・くぼみ”を整える
  • 必要に応じて、皮膚のたるみだけ軽く引き締める

このように、「主役=注入治療」「補助=リフトアップ治療」という組み合わせで初めて、
自然で若々しいバランスが実現します。

▶︎[ほうれい線治療の正しい選び方をみる>

セルフケアでできるのは「進行予防」まで|片側だけ消すことはできない理由

セルフケアはとても大切ですが、
“片側だけを消す”ところまでの改善はできないという前提を持っていただくことが重要です。
ここでは、悪化させないためにできることを整理します。

1. 片側だけ深くする癖をやめる(頬づえ・片側噛み・うつ伏せ寝)

先ほど原因のところでも触れたように、
左右差の背景には 「日々の癖」 が大きく関わっています。

  • 頬づえ
  • うつ伏せ寝
  • 片側だけで噛む
  • 片側にスマホを寄せる

こうした習慣は、皮膚や筋肉に片側だけ負荷をかけてしまいます。

まずはここを見直さない限り、治療を行っても左右差が戻りやすくなるため、
セルフケアとして最優先で取り組みたいポイントです。

▶︎[ほうれい線の正しいセルフケアをみる>

2. 表情筋の使い方を整えるトレーニング

  • よく使う筋肉を緩める
  • あまり使えていない側を意識して動かす

といったトレーニングも有効ですが、
片側ほうれい線を“消す”ほどの効果までは期待できません。

あくまでも「これ以上悪化させない」「治療効果を長持ちさせる」ための補助と考えるのが適切です。

▶︎[表情筋トレーニングの注意点をみる>

3. 保湿・紫外線対策でハリを保ち、しわを刻ませない

乾燥や紫外線ダメージがあると、
皮膚が薄くなり、表情の癖がそのまま刻まれじわになってしまいます。

  • 日焼け止め
  • 保湿
  • バリア機能を整えるスキンケア

これらは“悪化させないための対策”として非常に重要です。
ただし、左右差を解消する力まではありません。

▶︎[肌タイプ別のスキンケア方法をみる>
▶︎[正しい紫外線対策法をみる>

4. マッサージは左右差を悪化させることもあるので要注意

強いマッサージや自己流ケアは、
皮膚を伸ばし、逆に左右差を強めてしまうことがあります。

特に片側にだけ力を加える癖があると、
ほうれい線の深さがさらに悪化してしまうことも。

セルフケアはあくまで“予防”の範囲にとどめることが大切です。

▶︎[ほうれい線に効くマッサージ方法をみる>

まとめ|片側のほうれい線は“構造の左右差”によって生まれる

片側だけ深く見えるほうれい線は、“たるみの左右差”というよりも、

  • 骨格のくぼみ
  • 表情筋の使い方
  • 皮膚や脂肪の厚みの違い

といった 「構造の非対称」 が積み重なって生じるものです。

そのため、ハイフや糸リフトなどの“引き上げる系”治療だけでは、
どうしても 左右差の本質にはアプローチしきれません。

この「構造の差」に対して、ピンポイントで微調整ができるのが 注入治療 です。

その際、片側だけを整えることも技術的には可能ですが、

  • 反対側が相対的に深く見える
  • 笑顔や横顔で左右差が目立つ
  • デザインが高度で、仕上がりのコントロールが難しい

といった事情から、
結果的に両側同時治療のほうが自然で満足度が高いというケースが圧倒的です。

片側のほうれい線は、ただ溝を埋めるだけの治療ではなく、
「顔全体のバランス」を整える治療です。

もし今、片側のほうれい線が気になり始めているのであれば、
それは“老け見えのサイン”というより、
“今ならまだ自然に整えられる”というチャンスの合図とも言えます。

専門的な診断のもとで、あなたに合った最適なアプローチを選び、
片側だけでなく、顔全体が自然に若々しく見える状態へと整えていきましょう。

当院は「ほうれい線治療専門クリニック」として、
原因の診断から治療設計まで、ほうれい線に特化したカウンセリングを行っています。

メールでの無料カウンセリングも実施しており、お寄せいただいたご相談メールには、
本記事を執筆している院長の私がすべて丁寧にご返信いたします。

ほうれい線でお悩みの方は、どうぞお気軽にご相談ください。