
著者
ほうれい線治療専門
東京リンクルクリニック
院長 沖津茉莉子
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40代に入ってから、ほうれい線が急に気になり始めた。
鏡を見るたびに、こんな線、前からあったかなと思う。
特に嫌なのが、夕方の自分。
朝はそれほど気にならなかったはずなのに、仕事を終えて鏡を見ると、口元にくっきりと影ができていて、一気に疲れて老けたように見える。
何とかしたくて、SNSで見つけたマッサージを試してみる。
表情筋トレーニングも始める。
美顔器も気になるし、ほうれい線に効くという美容液も試してみたい。
できれば美容医療に頼らず、自分の力で何とかしたい。
そう思う方は多いと思います。
でも実は、ここに大きな落とし穴があります。
ほうれい線は、セルフケアを頑張れば頑張るほど改善するものではありません。
むしろ私は、ほうれい線を改善するためにセルフケアを頑張りすぎないでほしいと思っています。
私はほうれい線治療を専門に診療していますが、患者さんから、おすすめのセルフケアはありますか、と聞かれたときに答えるのは、基本的に「保湿」と「紫外線対策」だけです。
高価な美顔器も、特別な化粧品も、毎日のマッサージも必須ではありません。
なぜなら、セルフケアはほうれい線を改善するものではなく、これからの老化を予防するために行うものだからです。
この違いを知らないまま、改善しないセルフケアに何年も時間とお金を使ってしまう方は少なくありません。
この記事では、ほうれい線治療を専門に多くの患者さんを診てきた経験から、本当にやるべきセルフケアと、私ならおすすめしないセルフケアについて、詳しくお伝えします。
目次
まず結論|ほうれい線をセルフケアで消そうとしてはいけない
最初に、私の考えをはっきりお伝えします。
すでに目立っているほうれい線を、マッサージや表情筋トレーニング、美顔器、化粧品だけで改善することは難しいです。
セルフケアの役割は、ほうれい線を消すことではなく、これ以上の進行をできるだけ予防することです。
高価な化粧品や美顔器にお金と時間をかけても、骨格によるくぼみや頬の厚みによる影、たるみ、皮膚に刻まれた折れ癖まで改善できるわけではありません。
むしろ、セルフケアだけで何とかしようとしている間にも、ほうれい線は少しずつ進行します。
「予防」したいなら、最低限、保湿と紫外線対策を続ける。
すでにあるほうれい線を「改善」したいなら、原因を見極めて適切な治療を選ぶ。
この2つの目的をはっきり分けて考えることが、時間もお金も遠回りしないために大切です。
なぜセルフケアではほうれい線を「改善」できないのか

理由はシンプルです。
ほうれい線は、皮膚の表面だけの問題ではないからです。
鼻の横が骨格的にくぼんでいれば、そこに影ができます。
頬の脂肪が厚ければ、頬と口元の境目に段差ができます。
加齢によって皮膚のハリが低下したり、たるみが進んだりすれば、ほうれい線に皮膚が折り重なりやすくなります。
さらに、長年の表情によって皮膚そのものに折れ癖が刻まれることもあります。
このように、ほうれい線は骨格、頬の厚み、たるみ、皮膚の折れ癖など、複数の原因が重なって目立っています。
化粧品を塗っても骨格は変わりません。
マッサージをしても、頬の厚みによる段差や皮膚に刻まれた折れ癖そのものがなくなるわけではありません。
だからこそ、セルフケアで構造的なほうれい線を改善することには限界があります。
私のクリニックにも、何年もマッサージや美顔器を続けてきたものの、ほうれい線が改善しなかったという方が相談に来られます。
診察してみると、そもそも原因がセルフケアでは変えられない部分にあることも少なくありません。
セルフケアが足りなかったのではありません。
できることと、できないことがあるのです。
この違いを最初に知っておくだけでも、効果の分からない方法に何年も時間を費やすことは避けられます。
スキンケアでやるべきことは「保湿」と「紫外線対策」

では、自宅では何をすればよいのでしょうか。
私がおすすめしているのは、保湿と紫外線対策です。
特別なことをする必要はありません。
高価な美容液を何種類も重ねるより、この2つを毎日続けることの方が大切です。
保湿|乾燥による見え方を整え、折れ癖の予防にもつながる
肌が乾燥すると、口元の細かなしわが目立ち、ほうれい線まで深くなったように見えることがあります。
特に空調の効いた室内で長時間働く方は、夕方になると口元が乾燥しやすくなります。
このような場合は、保湿によって肌表面が整い、小じわやほうれい線の影の見え方が多少和らぐことがあります。
また、保湿は将来的な折れ癖を予防するという意味でも大切です。
乾燥して皮膚の柔軟性が低下すると、笑ったり話したりするたびに同じ部分が折れ込みやすくなります。
保湿によって皮膚を健やかな状態に保つことは、こうした折れ癖が深く刻まれていくのを予防することにもつながります。
ただし、すでに深く刻まれた折れ癖が保湿だけで元に戻るわけではありません。
保湿はあくまでも、乾燥による見え方を整え、これから折れ癖が深くなるのを予防するためのセルフケアと考えてください。
高価な化粧品である必要もありません。
肌に合ったものを選び、乾燥させないことを毎日続ける。それで十分です。
▶︎[肌質の分類と4つの肌タイプ別スキンケア方法をみる>]
▶︎[乾燥肌だとほうれい線が目立つ理由をみる>]
▶︎[ほうれい線の折れ癖とは?改善と予防の方法をみる>]
紫外線対策|頑張るべきセルフケアを一つ選ぶならこれ
セルフケアを一つだけ選ぶなら、私は紫外線対策を優先します。
紫外線によるダメージは皮膚の光老化に深く関係し、長期的な紫外線曝露はコラーゲンを含む皮膚の構造変化や、しわ・たるみなどにつながります。
今日、日焼け止めを塗らなかったからといって、明日ほうれい線が深くなるわけではありません。
しかし、その積み重ねは数年後、10年後の肌に影響します。
日焼け止めは夏だけではなく、年間を通して使用する。
長時間屋外にいる日は必要に応じて塗り直す。
それだけでも、何年も続ければ大きな違いになります。
もちろん、紫外線対策をしても今あるほうれい線は消えません。
それでも、これからの皮膚老化をできるだけ抑えるという意味では、最も優先したいセルフケアだと私は考えています。
高価な美顔器や化粧品にお金をかけすぎないで

数万円から数十万円する美顔器や高級化粧品を見ると、高いものほどほうれい線にも効きそうに感じるかもしれません。
もちろん、それらを否定するつもりはありません。
スキンケアを楽しんだり、肌の手触りがよくなったりすることには意味があります。
ただし、ほうれい線を改善するために購入するのであれば、私は過度な期待はおすすめしません。
実際にメール相談でも、高価な美顔器を購入して毎日使ったのに、ほうれい線が変わらないという相談を受けることがあります。
しかし、原因が顔の構造そのものにあれば、美顔器だけでは変えられません。
高額なセルフケア用品を次々と試す前に、一度、自分のほうれい線がなぜ目立っているのかを確認した方がよいと思います。
原因が分からないまま何十万円も使うより、その方が時間もお金も無駄になりません。
▶︎[基礎化粧品でほうれい線は改善する?効果と限界をみる>]
ほうれい線マッサージは無理にやらなくていい

SNSでは、ほうれい線を消すマッサージが数多く紹介されています。
しかし私は、ほうれい線の改善を目的とした自己流の強いマッサージはおすすめしていません。
マッサージによって一時的にむくみが軽くなり、顔がすっきり見えることはあります。
しかし、それによって骨格のくぼみやたるみ、折れ癖が改善したわけではありません。
強い力で顔をこすったり、皮膚を何度も引っ張ったりしても、構造的なほうれい線が改善する十分な根拠はありません。
それどころか、強い摩擦や刺激によって肌荒れや炎症が起きれば、赤みや乾燥など別のトラブルにつながる可能性があります。
美容のために始めたセルフケアで、肌に新たな負担をかけてしまっては意味がありません。
マッサージをしないと顔がたるむ、と不安になる必要もありません。
効果の分からない方法を無理に続けるくらいなら、私はやらない方がよいと考えています。
▶︎[ほうれい線マッサージは効果がある?やりすぎの注意点をみる>]
▶︎[ほうれい線に効くツボとセルフケアの限界をみる>]
表情筋トレーニングもやりすぎには注意

ほうれい線対策として、口を大きく動かしたり、頬を膨らませたりする表情筋トレーニングもよく紹介されています。
顔の筋肉を動かすこと自体が悪いわけではありません。
ただし、顔の運動による若返り効果については研究の質や数に限界があり、ほうれい線が確実に改善すると結論づけられるほど十分な根拠はありません。
そして特に注意したいのは、ほうれい線を消そうとして同じ強い表情を何度も繰り返すことです。
もともと笑ったときにほうれい線が深く折れ込む方では、強い表情の反復によって折れ癖がかえって目立つ可能性があります。
診察でも、動画を見ながら顔トレを続けているのにほうれい線が改善せず、口元の細かなしわまで気になるようになったという相談を受けることがあります。
もちろん、その変化がすべてトレーニングによるものとは断定できません。
ただ、ほうれい線を消すために無理に続ける必要もありません。
続けるほど線が深く見える、口元のしわが増えた気がする、顔が疲れる。
そのように感じるのであれば、一度やめてみることをおすすめします。
セルフケアは、頑張れば頑張るほど効果が現れるものではありません。
効果と安全性がはっきりしない方法については、やらないという選択も大切です。
▶︎[顔の筋トレでほうれい線は改善する?効果と注意点をみる>]
▶︎[ためしてガッテンのほうれい線対策は本当に効く?をみる>]
生活習慣を整えることも立派なセルフケア

肌の老化を予防するためには、スキンケアだけでなく生活習慣も大切です。
十分な睡眠をとり、極端な食事制限を避け、必要な栄養をとる。
喫煙しているのであれば禁煙を考える。
ストレスをため込みすぎず、休める時間をつくる。
どれも、明日ほうれい線が消える方法ではありません。
しかし、肌全体の健康を保ち、長期的な老化をできるだけ緩やかにするためには大切です。
▶︎[ほうれい線に効果的な食事|肌のハリを守る栄養をみる>]
特に注意したいのが、急激なダイエットです。
短期間で体重を大きく落とすと、頬の脂肪も減少し、以前よりほうれい線が目立つことがあります。
実際に診療していても、ダイエット後に急にほうれい線が気になるようになった、顔だけ老けたように感じるという相談は少なくありません。
特に、もともと頬の脂肪が少ない方や、鼻の横に骨格的なくぼみがある方では、体重が減ることで顔の骨格が目立ちやすくなり、ほうれい線の影が強調されることがあります。
だからといって、ほうれい線のためにダイエットをやめる必要はありません。
健康のために減量が必要な方もいます。
大切なのは、極端な食事制限だけで短期間に体重を落とすのではなく、必要な栄養をとりながら無理のないペースで減量することです。
また、喫煙は皮膚老化に関連する要因の一つです。喫煙と顔面のしわとの関連を示した研究もあり、肌全体の老化を予防するという意味でも禁煙は重要です。
睡眠不足やストレスについても同じです。
睡眠時間を増やしたからといって、ほうれい線が浅くなるわけではありません。
しかし、慢性的な睡眠不足やストレスによって生活リズムや食生活が乱れれば、肌のコンディションにも影響します。
▶︎[寝不足だとほうれい線が悪化する理由をみる>]
▶︎[ストレスでほうれい線が悪化する理由と対策をみる>]
美容のために特別なことを始める前に、まず日々の生活を整える。
地味に見えますが、長期的な若々しさを保つためには大切なセルフケアです。
セルフケアに何年もかけるより、気になったら一度相談してほしい

この記事で、私が最もお伝えしたいのはここです。
ほうれい線がすでに気になっているのであれば、セルフケアだけで何年も様子を見る必要はありません。
マッサージを半年続ける。
変わらないから美顔器を買う。
それでも変わらないから、今度は高価な美容液を試す。
その間にも、ほうれい線は少しずつ進行します。
私は患者さんに、ほうれい線の折れ癖について紙の折り目を例に説明することがあります。
一度軽く折った紙なら、広げるとある程度元に戻ります。
しかし、同じ場所を何度も折り続ければ、折り目は深く残ります。
ほうれい線の折れ癖も似ています。
若いうちは笑ったときだけ線ができ、真顔になると元に戻っていたものが、年齢とともに真顔でもうっすら残るようになる。
さらに時間が経つと、その線が深く刻まれていく。
このような変化は珍しくありません。
折れ癖が定着する前の段階ほど改善しやすい一方で、長年深く刻まれたしわは、治療を行っても完全に消すことが難しくなります。
だからこそ、私は気になり始めた段階で、専門家や医療機関に一度相談してほしいと思っています。
もちろん、相談したからといって必ず治療を受ける必要はありません。
まず、自分のほうれい線がなぜ目立っているのかを知る。
それだけでも意味があります。
原因が分かれば、今すぐ治療した方がよいのか、セルフケアを続けながら様子を見てもよいのかも判断しやすくなります。
原因を知らないままセルフケアを続けるより、最初に方向性を確認しておく。
その方が、遠回りしないと私は考えています。
▶︎[ほうれい線治療の選び方|失敗しないための基本をみる>]
▶︎[ほうれい線の予防法|セルフケアから美容医療までをみる>]
セルフケアは治療後も続けるべき

セルフケアだけで構造的なほうれい線を改善することには限界があります。
しかし、治療を受けたからといってセルフケアが不要になるわけではありません。
グロースファクターやヒアルロン酸などで今あるほうれい線を改善しても、加齢そのものが止まるわけではないからです。
治療で今あるほうれい線を改善し、セルフケアでこれからの老化をできるだけ予防する。
この2つを組み合わせることが大切です。
治療後も基本的なスキンケアや紫外線対策、生活習慣を続けることで、肌全体の健康を保つことにつながります。
セルフケアと美容医療は、どちらか一方を選ぶものではありません。
それぞれにできることと、できないことがあります。
役割を分けて上手に取り入れることが、自然な若々しさを長く保つための現実的な方法だと私は考えています。
▶︎[グロースファクター治療の詳細をみる>]
▶︎[ヒアルロン酸注入の詳細をみる>]
よくある質問
ニベアやワセリンでほうれい線は改善しますか?
保湿には役立ちますが、構造的なほうれい線を改善することはできません。
乾燥によって口元の細かなしわが目立っている場合は、保湿によって肌表面が整い、見え方が多少和らぐことはあります。
ただし、骨格によるくぼみや頬の厚みによる影、たるみなどが変わるわけではありません。
▶︎[ワセリンでほうれい線は改善する?効果と注意点をみる>]
▶︎[ニベアでほうれい線は改善する?保湿ケアの限界ををみる>]
レチノール化粧品はほうれい線に効果がありますか?
レチノールには、光老化による細かなしわなどの皮膚変化に対する効果が報告されています。
ただし、構造的なほうれい線を単独で改善するものではありません。
ほうれい線が目立つ原因が骨格や頬の厚み、たるみなどにある場合は、レチノールを使用しても原因そのものは変わりません。
また、レチノールは刺激や乾燥を感じることもあるため、使用する場合は肌の状態を見ながら取り入れることが大切です。
ローラー美顔器は使わない方がよいですか?
使用すること自体が問題なのではありません。
ただし、ほうれい線を消そうとして強い力で何度も皮膚をこすったり、長時間使用したりすることはおすすめしません。
使用後に赤みや痛み、ヒリヒリ感が出るのであれば、一度使用を中止してください。
▶︎[美顔ローラーでほうれい線は改善する?効果と注意点をみる>]
片側だけほうれい線が深い場合もセルフケアで改善できますか?
ほうれい線の左右差には、骨格や頬の厚み、表情の動きなど、様々な要素が関係しています。
原因によってはセルフケアだけで左右差を改善することは難しいため、左右差が目立って気になる場合は、一度原因を確認することをおすすめします。
▶︎[片側だけ目立つほうれい線|原因と対策をみる>]
▶︎[片側だけ目立つほうれい線の治療法をみる>]
ほうれい線が気になり始めたら、いつ治療を検討すればよいですか?
私がおすすめしているのは、気になり始めた段階で一度相談することです。
必ずしも、その場で治療を受ける必要はありません。
ただ、ほうれい線は原因によって適した治療が異なります。
早い段階で自分のほうれい線の原因を知っておけば、必要のないセルフケアに何年も時間や費用をかけずに済むこともあります。
まとめ|セルフケアは予防、改善したいなら原因に合った治療を

ほうれい線のセルフケアについて、私の考えはシンプルです。
予防したいなら、保湿と紫外線対策を続ける。
すでに目立っているほうれい線を改善したいなら、原因を見極めて適切な治療を選ぶ。
セルフケアは大切ですが、できることには限界があります。
一方で、美容医療を受ければセルフケアが必要なくなるわけでもありません。
予防と改善を分けて考え、それぞれに適した方法を選ぶことが大切です。
セルフケアを続けても以前よりほうれい線が目立ってきたと感じるのであれば、一度専門家に相談してみてください。
早い段階で自分のほうれい線の原因を知ることが、遠回りをせず、自分に合った改善方法を選ぶための第一歩です。
正しいセルフケアと必要な治療を上手に使い分け、将来、もっと早く相談すればよかったと後悔しない選択をしていただければと思います。
当院はほうれい線治療を専門に行っており、メールでの無料カウンセリングも実施しております。
お寄せいただいたご相談メールには、本記事を執筆している院長の私がすべて丁寧にご返信いたします。
ほうれい線でお悩みの方は、どうぞお気軽にご相談ください。
《出典》
Moisturizers: The Slippery Road
Indian Journal of Dermatology. 2016;61(3):279-287.
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC4885180/
Photoaging: Mechanisms and Prevention
Clinical, Cosmetic and Investigational Dermatology. 2013;6:241-251.
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC3790843/
Intrinsic Aging vs. Photoaging of the Skin: A Review of the Molecular Mechanisms
International Journal of Molecular Sciences. 2023;24(2):1881.
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC9865718/
The Association Between Smoking and Facial Wrinkling: A Meta-Analysis
Journal of Epidemiology. 2012.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/
Evidence of the Effectiveness of Facial Exercises for Facial Rejuvenation: A Systematic Review
Aesthetic Surgery Journal. 2014;34(1):22-27.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/24327764/






