著者
ほうれい線治療専門
東京リンクルクリニック
院長 沖津茉莉子
ほうれい線が目立ち始めてきたら、まず自分でできる予防法の一つに食生活の改善があげられます。
一見、ほうれい線と食事はまったく関係がないものに思えますが、実は日々の食習慣は皮膚や骨格の維持に深く関与し、長期的にみるとほうれい線の形成に大きく影響するのです。
今回は、ほうれい線の予防に効果のある栄養素と、効果的な食事のポイントを解説します。
目次
ほうれい線に効果のある栄養素
ほうれい線ができる主な原因に、皮膚の老化と骨の萎縮があります。
そのため、皮膚のハリや弾力を保ち老化を防止する栄養素や、骨を維持するための栄養素を十分に摂取することがほうれい線の予防につながります。
コラーゲン生成を助ける栄養素
皮膚のハリや弾力を維持するコラーゲンやエラスチンは加齢にとり減少します。
これらの生成を助ける栄養素を摂ることで、皮膚のハリを保ち、ほうれい線の予防につながります。
タンパク質
皮膚のハリを保つコラーゲンやエラスチンはアミノ酸からつくられます。
肉や魚などの動物性タンパク質を積極的に摂ることで、コラーゲンの材料となるアミノ酸を補給できます。
鶏胸肉、卵白、サーモン、豆腐、ギリシャヨーグルトなどに多く含まれています。
ビタミンC
コラーゲンを生成する酵素のはたらきを助け、コラーゲン生成をうながし肌の老化を防ぎます。
柑橘類、イチゴ、キウイ、ブロッコリー、パプリカなどに多く含まれています。
亜鉛
コラーゲンを生成する酵素のはたらきを助け、コラーゲン生成をうながし肌の老化を防ぎます。
また、亜鉛は皮膚の水分保持にはたらくことで、皮膚の乾燥を防ぎ、しわを予防します。
牡蠣、牛肉、カボチャの種、レンズ豆、チェダーチーズなどに多く含まれています。
抗酸化作用のある栄養素
紫外線や環境汚染物質によって肌にダメージが加わると、活性酸素が発生し皮膚の老化を引き起こします。
抗酸化作用のある栄養素を摂ることで、皮膚の老化を防ぎ、ほうれい線の予防につながります。
ビタミンC
ビタミンCはコラーゲンの生成をうながし、抗酸化作用もあることから一石二鳥の成分です。
柑橘類、イチゴ、キウイ、ブロッコリー、パプリカなどに多く含まれています。
ビタミンE
ビタミンEは抗酸化作用があり、皮膚の老化を防ぎます。
アーモンド、アボカド、ほうれん草、ピーナッツ、ひまわりの種などに多く含まれています。
βカロテン
βカロテンは体内でビタミンAに変換され、抗酸化作用を発揮します。
ニンジン、カボチャ、マンゴー、ケール、赤パプリカなどに多く含まれています。
アントシアニン(ポリフェノール)
アントシアニンはポリフェノールの一種で、強力な抗酸化作用があり、肌の老化を予防します。
カカオ、ブルーベリー、緑茶、赤ワイン、オリーブオイルなどに多く含まれています。
骨格づくりをサポートする栄養素
ほうれい線は皮膚の老化だけでなく、骨が萎縮することにより頬が下がることも原因の一つです。
骨を維持するはたらきのある栄養素を摂ることで、顔の骨格が保たれ、ほうれい線の予防につながります。
カルシウム
骨の主成分であり、骨密度を維持する上で不可欠な栄養素です。
また、カルシウムには皮膚の保湿作用やターンオーバーをうながす作用があります。
牛乳、ヨーグルト、チーズ、小魚、豆腐などに多く含まれています。
ビタミンD
カルシウムの吸収を促進し、骨を強化し、骨の破壊を防ぐはたらきがあります。
サーモン、マグロ、イワシ、卵黄、干し椎茸などに多く含まれています。
マグネシウム
カルシウムと並び、骨を強化するはたらきがあります。
アーモンド、カシューナッツ、ほうれん草、玄米、カカオなどに多く含まれています。
ほうれい線に効果的な食事のポイント
バランスの良い食事
様々な食品をバランスよく摂取することが大事です。
美容と健康維持のためのカロリーバランスは、タンパク質20%、炭水化物50%、脂質30%が理想です。
タンパク質を十分に摂る
タンパク質は皮膚のコラーゲンの材料になります。
1日あたり男性では75〜95g、女性では55〜75gを目安に摂取しましょう。
糖質を摂りすぎない
糖質の取りすぎによって体内にAGEs(終末糖化産物)が生成され、AGEsがコラーゲンを破壊することで皮膚の老化を加速させます。
新鮮な食材を選ぶ
なるべく新鮮な食材を選び、調理法も工夫することで、栄養素を効率よく摂取できます。
加工食品を控える
加工食品には糖分や塩分、添加物が多く含まれていることが多く、加工の過程で栄養素が失われていることも多いため、摂りすぎないようにしましょう。
過度な飲酒を控える
アルコールの過剰摂取によりビタミンやミネラルの吸収が阻害されるほか、アルコールの代謝時にビタミンを消費するため肌老化の原因にもなります。
水分をこまめに摂る
皮膚の水分量を保ち乾燥を防ぐためには、適切な水分摂取が不可欠です。
1日1.5〜2Lの水を目安に摂取しましょう。
まとめ
ほうれい線の予防には、皮膚の老化や骨の萎縮を防ぐことが重要で、日々の食生活からのアプローチも重要です。
栄養バランスの良い食事を心がけ、特に皮膚の老化を防ぐためのタンパク質やビタミン・ミネラルを十分に摂取し、糖質を摂りすぎないよう注意しましょう。
食生活や日々のスキンケアなどで改善できないようなほうれい線やしわのお悩みは、美容医療の力を組み合わせることで、より若々しい印象に改善することが可能です。
当院はほうれい線の治療を専門におこなっており、メールでも無料カウンセリングも受け付けております。
ほうれい線でお悩みの方はぜひお気軽にご相談ください。
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