ヒアルロン酸を溶かすことのできる成分が、ヒアルロニダーゼです。
今回はこの成分の特徴と注意点についてご紹介します。
ヒアルロニダーゼについて
ヒアルロン酸を溶かす性質をもつヒアルロニダーゼですが、これはもともと人間のからだの中に存在している酵素です。
ヒアルロニダーゼを使う場面
施術後の状態に納得できないとき
美容クリニックでヒアルロン酸注射を受けたものの、仕上がりに納得できず、もとの状態に戻したいときに使用します。
ヒアルロニダーゼを使って溶解することで、施術前の状態に戻すことができます。
ヒアルロン酸注射後に血流障害が起こったとき
ゼリー状になっているヒアルロン酸が、誤って血管内に入ってしまったり、血管を外側から圧迫してしまったりすると、血流が悪くなってしまいます。
これを血流障害といい、施術後のトラブルの一つです。
この血流障害は最悪の場合、皮膚の壊死や失明にもつながるため、早急な対処が必要となります。
このときに、たくさんのヒアルロニダーゼを使用して溶解を行います。
ただし、血流障害によって、すでに失明が起こってしまっている場合には、残念ながらこの処置を行っても改善しないことがほとんどです。
注射してから効果が出るまで
ヒアルロニダーゼには即効性があるため、注射したあとヒアルロン酸と反応すれば、すぐに溶解が始まります。
ただし、少しずつ浸透していった場合には、溶解されるまでに数日かかることもあります。
ヒアルロニダーゼの副作用とリスク
アレルギー
赤みやかゆみ、腫れといったアレルギー症状を引き起こすことがあります。
注入した箇所に、これらの症状が出るくらいであれば軽度ですが、稀にアナフィラキシーショックをも引き起こすことがあります。
この場合には、全身の腫れやむくみ、呼吸困難といった全身症状が現れます。
アレルギー反応を起こした場合には、ステロイドや抗ヒスタミン剤といったアレルギー薬を、内服したり点滴したりして投与します。
なお、アナフィラキシーショックのような重いアレルギー反応が出ている場合には、稀に筋肉注射によってアドレナリンを投与することもあります。
赤み・腫れ・内出血
ダウンタイムはほぼありませんが、注射による赤みや腫れ、内出血を起こすことがあります。
ほとんどの場合、赤みや腫れは数時間~数日、内出血は長くて2週間で改善します。
複数回の注射が必要になることもある
ヒアルロニダーゼがヒアルロン酸に浸透しなければ、溶解はされません。
しかし、皮膚の表面からは、どれぐらいの深さにどれぐらいのヒアルロン酸が注入されているかが分かりません。
皮膚にふくらみやしこりなどがない限り、注入されている深さや量を予測しながら、施術することになります。
このため、予測が外れて溶解したい部分に届いていなかったり、量が足りていなかったりした場合には、一度の注射では溶解しきれないことがあります。
残したい箇所も溶解されることがある
液体であるヒアルロニダーゼは、注入したあとに流れてしまうことがあります。
例えば、全体的な仕上がりには満足していて、一部のふくらみだけをなくしたかったのに、満足していた箇所までも溶解されてしまった、などといったことが起こり得ます。
このように、残したい部分までも、溶かしてしまうことがあるのです。
よくある疑問
痛みはどれぐらい?
注射するときの痛みに加えて、部分的に浸透圧の差が生じることよって痛みが出ます。
注射時については、極細の針と多くの場合カニューレを使用するため、痛みを軽減できます。
また、麻酔を使用することで、浸透圧の差による痛みも軽減することが可能です。
体内にもともとあるヒアルロン酸もなくなる?
たしかに、ヒアルロニダーゼの使用によって、注入した部分だけでなく、体内にもともとあるヒアルロン酸までも溶けてしまいます。
しかし、体内にもともとある成分であれば、数日で再生されます。
溶解後、同じ箇所への施術はいつからできる?
溶解した箇所に、再度ヒアルロン酸を注射したり、グロースファクターなどの他の施術を受けたりする場合は、最低1週間は空けた方が良いでしょう。
これは、ヒアルロン酸が十分に溶解されて、注射による腫れもひいた状態で施術した方がきれい仕上がるためです。
組織が、このようなもとの状態に戻るまでに、最低1週間を要します。