

著者
ほうれい線治療専門
東京リンクルクリニック
院長 沖津茉莉子
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「中顔面の糸リフトでほうれい線も引き上がるって聞いたけど、本当に効果あるの?」
美容医療のトレンドとして注目されている“中顔面リフト”。
チークトップが上がり、ナチュラルに若返るというイメージから、「ヒアルロン酸より良さそう!」と感じている方も多いかもしれません。
実際に、ほうれい線治療としてこの施術を紹介するクリニックもありますが――
結論からお伝えすると、「中顔面リフト=ほうれい線治療」とは言い切れません。
本記事では、美容皮膚科専門医としての臨床経験をもとに、
- 中顔面リフトがほうれい線に効果的とされる理由
- 実際にはなぜ“根本的改善”につながりにくいのか
- そして本当に効果的な治療法とは?
という3点をわかりやすく解説します。
正しい情報をもとに適切な美容医療を受けて、若々しい笑顔をキープしましょう。
目次
中顔面リフトとは?特徴と施術の概要
中顔面リフトとは、目の下から口元にかけての「中顔面」を専用の溶ける糸でリフトアップする美容施術です。
ターゲットは、メーラーファットやナゾラビアルファットなどの脂肪のたるみであり、この部分を引き上げることで、チークトップ(頬の高い位置)が上がり、顔全体が若々しく見える効果が期待されます。
さらに、施術は短時間でダウンタイムも少なく、メスを使わないことも人気の理由です。
中顔面リフトが“ほうれい線治療”に向かない理由
中顔面リフトは、顔全体の印象を若々しく向上させる点では効果的ですが、ほうれい線の改善を目的としておこなうべき治療ではありません。
実際には、ほうれい線治療の一環として中顔面リフトを推奨しているクリニックもあり、その影響もあるせいか「ほうれい線が気になっているからひとまず糸で上げたい」といった誤った認識が浸透しているお客様も多くいらっしゃいます。
ここでお伝えしたいのは、中顔面リフトはほうれい線の有効な解決策ではないということです。
その理由として、以下の3点があげられます。
ほうれい線の原因は「頬のたるみ」だけではない
ほうれい線は、加齢による皮膚のハリ低下、脂肪や筋肉の変化、骨格の萎縮など、複数の要因が複雑に絡み合って形成されます。
中顔面リフトがアプローチできるのは「たるみ」だけであり、皮膚そのものに刻まれた溝やしわには直接作用しません。
リフトアップ効果は部分的で持続も短い
糸リフトは「即効性」こそありますが、その引き上げ効果は半年~1年が一般的です。
特に中顔面エリアはよく動くこともあり、引き上げても戻りやすい部位です。
リフトアップ効果を維持するには、定期的な施術が必要で、結果として費用対効果が悪くなりがちです。
無理な引き上げは不自然な仕上がりに
「ほうれい線を糸で引き上げたい」と過度に期待しすぎると、皮膚に引きつれが生じたり、頬骨の張り出しが過度に強調されるなど意図しない仕上がりになる可能性があります。
自然な若返りを望む方には、慎重な適応判断が欠かせません。
中顔面リフトの「正しい活用法」とは?
中顔面リフトが“まったく意味のない施術”というわけではありません。
以下の3点を目的に施術すれば、非常に満足度の高い選択肢となり得ます。
顔全体の若返りやチークトップの位置調整には効果的
中顔面リフトは、加齢で下がったチークトップ(頬の高い位置)を持ち上げることで、顔全体を若々しく見せる施術です。
特に「顔の重心が下がって見える」「頬が平坦になった」と感じる方には有効で、立体感と明るい印象が戻ります。
また、頬の位置が上がることで、横顔やマスクを外したときの印象も改善されやすく、メイクの映えも良くなる効果があります。
たるみの進行を「予防」するメンテナンスに
中顔面リフトは、すでに深いたるみを改善するよりも、軽度なたるみの進行を予防する目的に向いています。
糸の刺激でコラーゲン線維が再生され、皮膚の支持力を高めてくれるためです。
ただし、過度に繰り返すと皮下が硬くなるリスクがあるため、年1回程度が理想的です。
早い段階で定期的におこなうことで、自然なエイジングケアとして効果を発揮します。
注入治療との“併用”で最大限の効果に
中顔面リフト単独では、ほうれい線の溝までしっかりカバーするのは難しいため、ヒアルロン酸やグロースファクターとの併用が有効です。
ヒアルロン酸は内側から凹みを持ち上げ、構造的な支えとなり、グロースファクターは皮膚のコラーゲンを再生させて肌そのものを改善します。
糸リフトと注入治療を組み合わせることで、自然で立体的な仕上がりと持続性を両立できます。
中顔面リフト以外で有効な“ほうれい線治療”とは?
ヒアルロン酸注入
ヒアルロン酸は、透明のジェル状の製剤をほうれい線の溝に直接注入することで、皮膚の深部からボリュームを補い、即効性のある改善効果が得られる注入治療です。
また、単に溝を埋めるだけでなく、中顔面の適切な位置に注入することでチークトップの位置を高く整えることも可能です。
これにより、顔全体の重心が上がり、中顔面リフトのような若々しい印象を演出することができます。
グロースファクター治療
グロースファクターは、肌内部の線維芽細胞を活性化し、コラーゲンやエラスチンの生成を促す再生医療的アプローチです。
1回の注射の施術により皮膚のハリや弾力が徐々に回復し、ほうれい線が浅く目立たなくなるだけでなく、肌質そのものの若返り効果が期待できます。
効果が実感できるまで1〜3ヶ月と時間はかかりますが、ナチュラルで持続的な改善を望む方に適しています。
まとめ
中顔面リフトは、頬のたるみや顔全体の印象を若々しく整えるには効果的な施術です。
しかし、ほうれい線の根本的な改善を目指す場合には、糸リフトだけでは不十分です。
ヒアルロン酸やグロースファクターなどの注入治療が第一選択となるケースがほとんどです。
美容医療で大切なのは、「ご自身の目的に合った治療法を正しく選ぶこと」。
SNSや広告の情報だけに左右されず、専門医との丁寧なカウンセリングを通じて、自分にとって最適な方法を見つけることが重要です。
当院では、ほうれい線治療に特化した無料カウンセリングを実施しており、お一人おひとりの状態やご希望に合わせて、最適な治療プランをご提案しています。
メールでのご相談も受け付けておりますので、どうぞお気軽にご利用ください。