

著者
ほうれい線治療専門
東京リンクルクリニック
院長 沖津茉莉子
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「まだ20代なのに、なんで私にほうれい線…?」
鏡を見てふと、口元のうっすらとした影が気になったことはありませんか?
まだしわなんて関係ないと思っていたのに、写真を撮るたびにモヤモヤしてしまう…。
「これって老化の始まり?」と、不安になる方も多いはずです。
でも、実は若いうちに目立つほうれい線の原因は、“老化”とは限りません。
生まれつきの骨格や脂肪のつき方、肌質や表情の癖など、実に多くの要因が関係しているのです。
そして意外なことに、こうした若い時期に現れるほうれい線こそ、将来的に“深く刻まれやすい”傾向があるのです。
この記事では、美容皮膚科医の視点から、「若くてもほうれい線ができる本当の理由」「今すぐできる対策とセルフケア」「予防や改善に有効な医療的アプローチ」をわかりやすく解説していきます。
「まだ大丈夫」と思っている今こそが、未来の肌を守る絶好のタイミングです。
目次
若いのにほうれい線が目立つのはなぜ?年齢に関係ない5つの原因
若い方でほうれい線が目立つ場合、それはしわというよりも「影」であることがほとんどです。
よく見られる特徴は、小鼻のわきがくぼみ、ほうれい線が短く、口の横までは伸びていないパターンです。
このタイプのほうれい線は、皮膚の老化やたるみの問題ではなく、生まれつきの骨格や頬の脂肪量が原因となります。
骨格の影響で小鼻の横に影ができるタイプ
顔の骨格的に鼻の横の骨の位置が低いと、小鼻の付け根がくぼみ、ほうれい線の上の方が深くなります。
また、頬骨の位置が高い場合や口元が前に出ている場合、ほうれい線を境に頬と口元の高低差が明瞭になることで、ほうれい線が目立つ傾向にあります。
頬の脂肪が多くて影になるタイプ
頬の脂肪量が多いと、そのボリュームで影ができたり、頬と口元の高低差が強調されることで、ほうれい線が目立つようになります。
生まれつき頬の脂肪量が多い場合や、体重が増加したり一時的に顔がむくんだときに目立ちやすくなります。
笑い癖が強く表情じわが目立つタイプ
こちらも若い方に多いお悩みですが、笑ったときにほうれい線が深く目立つパターンです。
誰しも笑ったときにはほうれい線が現れますが、口角や上唇を引き上げる筋肉の動作が強い場合、ほうれい線の食い込みが特に目立つ場合があります。
このケースは、若いうちは特別問題にはなりませんが、加齢とともに皮膚の弾力が低下すると、表情筋の折れ癖が元に戻りにくくなり、将来的に皮膚に刻まれてしまう可能性が高いため、早いうちからの予防は重要です。
乾燥肌や皮膚が薄くしわになりやすいタイプ
生まれつきアトピーや乾燥肌の方、皮膚が薄い方はほうれい線の表面に浅いしわが刻まれやすく、若い方でもほうれい線が目立つことがあります。
このような皮膚の状態で、さらに表情筋の動きが強い場合は、若くてもほうれい線のしわがくっきりと刻まれる可能性が高く、特に注意が必要です。
歯科矯正後にほうれい線が目立つことも
歯科矯正により噛む筋肉が痩せ衰えると、若くてもほうれい線が目立つことがあります。
これは噛み合わせの変化により、それまでよく使っていた筋肉(咬筋)の使用頻度が減り、筋肉が萎縮することで、それまで支えられていた皮膚がたるむことによって生じます。
また、今まで突出していた前歯を歯科矯正で直した場合、それまで歯によって支えられていた口元の皮膚がたるみ、ほうれい線が目立つこともあります。
20代・30代におすすめのほうれい線治療|老化以外が原因の場合の対策
上記のとおり、若い方で目立つほうれい線は老化やたるみの問題よりも、生まれつきの骨格や頬の脂肪量が原因となって生じることが多いです。
しかし、骨格や脂肪量を根本から直すには美容外科的な治療が必要になり、ダウンタイムも大きくそれなりのコストもかかります。
より簡単なアプローチ方法としては、ほうれい線の凹みを注入で補う治療や、余分な脂肪を機械によって減少させる治療法などがあります。
若い方向けのほうれい線治療を、以下にあげます。
グロースファクター治療|若い肌でもコラーゲンを増やして予防&改善
グロースファクターとは、皮膚のコラーゲンを増やす作用のある製剤です。
もともと私たちの体に存在する成分であるため、皮膚に注入しても安全性に問題はありません。
これをほうれい線に直接注入することで徐々に真皮層のコラーゲンが増え、ほうれい線が目立たなくなります。
注射後もダウンタイムはほとんどなく、1回の治療で数年以上の長期的な効果が得られるため、何度もくり返し治療を受ける必要はありません。
また、コラーゲンが増えることほうれい線の改善だけでなく予防にもつながるため、笑い癖が強く放っておくと将来的にしわが刻まれる可能性のある方などには非常に有効です。
ただし同じ「グロースファクター」という名前の治療でも、クリニックによって使用する製剤や注入方法が大きく異なるため、仕上がりや得られる効果やリスクにも差があり、クリニックの選定が重要となる治療法です。
ヒアルロン酸注入|即効性はあるが定期的なメンテナンスが必要
ヒアルロン酸は透明なジェル状の製剤で、こちらももとから私たちの体に存在する安全な成分です。
ほうれい線にヒアルロン酸を直接注入することで、お肌がふっくらしほうれい線が目立たなくなります。
注射後すぐに効果がわかり、ダウンタイムもほとんどありません。
ただし、ヒアルロン酸は皮膚の中でゆっくり分解され吸収されていくため、持続効果は数ヶ月〜2年ほどで、定期的に施術を受ける必要があります。
また、ヒアルロン酸には血管を圧迫して血流障害を起こしたり、血管塞栓を起こすリスクがあるため注意が必要です。
ハイフ・高周波|脂肪の引き締めによる軽度改善向き
ハイフ(HIFU)
ハイフは皮膚の深部にある筋膜に超音波を照射することで、筋膜が引き締まりたるみが改善する機械治療です。
ダウンタイムはほとんどなく、気軽に受けやすい施術の一つです。
ただし、若い方のほうれい線はたるみが主な原因で生じることは少ないため、ハイフは予防には有効であっても改善はあまり期待できません。
高周波(サーマクール、サーマジェン、インモード、オリジオなど)
高周波で皮膚や脂肪に熱を与えることで、皮膚が引き締まったり脂肪が減少する治療で、最近若い世代でも人気が高いです。
頬の脂肪が多くてほうれい線が目立っている場合は、高周波で脂肪を減少させることである程度改善につながることもあります。
しかし、1回の治療で得られる効果はマイルドであるため、ある程度の効果を得るためには複数回の施術をくり返す必要があります。
ボトックス注射|笑いじわが強い方に有効な選択肢
ボトックスには筋肉の過剰なはたらきを抑える作用があります。
若い方のほうれい線のお悩みに多い「笑ったときにほうれい線が深くなる」ケースでは、上唇を引き上げる筋肉(上唇鼻翼挙筋・上唇挙筋)の動きが強い場合が多く、この筋肉にボトックスを打つことでほうれい線が深くなることを抑えられます。
ただし、真顔のときにもほうれい線が目立っている場合は、ボトックスは効果がありません。
糸リフト(スレッドリフト)|若いほうれい線には不向きなケースが多い
糸の表面にコグ(小さなトゲ)の付いた医療用の溶ける糸を皮膚の中に挿入し、頬のたるみを引き上げる治療です。
同時に、糸が皮膚の中で吸収される過程で自己のコラーゲンが生成され、将来的なたるみの予防につながります。
ただし若い方のほうれい線は皮膚のたるみが原因になることは少なく、また、ほうれい線の部分は糸で引き上げても元に戻りやすいことから、最適な治療であるとはいえません。
若いうちから始めるセルフケア|ほうれい線の進行を止める日常習慣
しっかり保湿して肌のキメとハリを守る
皮膚が乾燥すると、角層のキメが荒くなりほうれい線のしわが目立ちやすくなります。
特に笑ったときにほうれい線が深く入るような方では、乾燥状態が続くと若くてもしわが皮膚に刻まれやすくなるため、しっかりとした保湿ケアが大事です。
保湿のポイントは、洗顔後に化粧水で水分を補い、乳液で油分のバランスを整え、最後に水分が逃げないようクリームで蓋をする、必ずこの順番を守ることです。
基礎化粧品はきちんとした保湿ができるものであれば十分で、多種類の美容成分を含んだ高価な美容液などは必ずしも必要ありません。
紫外線対策でコラーゲン破壊を防ぐのが基本
紫外線は皮膚にダメージを与えコラーゲンを破壊し、しわやたるみの大きな原因となります。
季節や天候に関わらず日焼け止めをこまめに使用し、適宜帽子や日傘で遮光するなど、日常的な紫外線対策をしっかりおこないましょう。
汗を多くかいたり長時間屋外にいるような場合は、飲む日焼け止めの併用も有効です。
また、肌老化の原因となる紫外線A波(UVA)は窓ガラスを通過し屋内や車内にも到達するため、対策を怠らないようにしましょう。
家庭用美顔器の効果と限界を正しく知る
最近では、家庭用の高周波やイオン導入など、自宅で使用できる美容機器が数多く市販されています。
こういった機器はやらないよりは良いのかもしれませんが、しわやほうれい線を改善するためのものでありません。
しわやほうれい線がすでにでき始めている場合は、家庭用美顔器に固執するのではなく、早めに美容クリニックなどの専門機関に相談すると良いでしょう。
マッサージのやりすぎは逆効果になることも
アンチエイジングや小顔を目的として、頻繁に顔のマッサージをおこなうことで、逆に皮膚に過剰な負担がかかり、しわやたるみの悪化につながる可能性があります。
ご自宅やサロンで顔のマッサージをおこなう場合は、やり過ぎには気をつけましょう。
表情筋トレーニングは適度がカギ
口まわりの筋肉を鍛えることで、表情筋の衰えによる顔のたるみやほうれい線の予防を目的としたものです。
費用もかからず自宅でも簡単におこなえるため、お手軽な方法ではありますが、予防以上の効果は期待できません。
過度なトレーニングは逆に皮膚の負担になり、ほうれい線やしわの悪化につながるため、やり過ぎには気をつけましょう。
まとめ|若いほうれい線は早期ケアが未来の見た目を変える
まだ若いのにほうれい線が目立つ場合、それは老化によるものではなく、生まれつきの骨格や笑い方の問題であることがほとんどです。
ただし、若いうちからほうれい線ができている方は、その後老化によりほうれい線が悪化するスピードも他の方と比べて速いため、できる限り早めの対処や予防が必要であることは間違いありません。
ほうれい線は放っておくと将来的に皮膚にしわとして刻まれることが多く、こうなってしまうといざ治療をしようとしても簡単にはいかなくなります。
ほうれい線が目立ちはじめている場合は、ご自宅でのスキンケアや紫外線対策など日常的にできる予防法から実践しましょう。
また、すでにほうれい線が目立っていて改善を希望する場合は、セルフケアでは限界があるため早めに美容クリニックなどの専門施設に相談すると良いでしょう。
当院はほうれい線治療を専門とするクリニックです。
20〜30代のお若い方でも、ほうれい線の改善や予防のために、多くの方が治療を受けられています。
メールでの無料カウンセリングもおこなっておりますので、ほうれい線でお悩みの方はぜひ一度お気軽にご相談ください。