
著者
ほうれい線治療専門
東京リンクルクリニック
院長 沖津茉莉子
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「頬の脂肪のせいで、ほうれい線が目立っている気がします。」
「バッカルファットを取れば小顔にもなるし、ほうれい線も目立たなくなるのでしょうか。」とご相談いただくことがあります。
バッカルファット除去は、頬の深い位置にある脂肪を減らし、下膨れの改善や下顔面の輪郭を整えるために行われる手術です。
適応が合えば頬の重たさが軽減し、その結果としてほうれい線周囲の影が目立ちにくくなることはあります。
一方で、バッカルファット除去は、皮膚に形成されたほうれい線の「溝」そのものを直接改善する治療ではありません。
また、もともと頬のボリュームが少ない方や、脂肪を取りすぎた場合には、頬がこけて老けた印象になったり、かえってほうれい線が目立ったりする可能性もあります。
東京リンクルクリニックは、ほうれい線治療を専門とする美容皮膚科です。
当院では、ほうれい線を一本の線として見るのではなく、皮膚に形成された「溝」と、頬や骨格との高低差によって生じる「影」を分けて考えています。
バッカルファットがほうれい線の見え方に関係している方もいますが、実際には鼻横の骨格的なくぼみ、頬全体の位置やボリューム、皮膚のハリ低下、折れ癖など、別の要因が大きいことも少なくありません。
そのため、ほうれい線を改善する目的でバッカルファット除去を検討するときには、「脂肪を取ればほうれい線が消えるか」ではなく、「今見えているほうれい線のどの部分を変えられる治療なのか」を考えることが大切です。
この記事では、バッカルファット除去によるほうれい線への効果、頬こけや将来的な変化との関係、治療が向いている人・慎重に考えた方がよい人について解説します。
この記事を読んでわかること
- バッカルファット除去でほうれい線が改善する可能性
- バッカルファット除去で変えられる「影」と変えにくい「溝」
- 頬こけやほうれい線悪化につながる可能性
- バッカルファット除去が向いている人・慎重に考えた方がよい人
- メーラーファットや注入治療との違い
自分のほうれい線が脂肪によるものなのか分からない方へ
ほうれい線は、脂肪だけでなく皮膚の溝や骨格、頬の位置など複数の原因が重なって目立つことがあります。当院ではメールでの無料相談も行っています。
バッカルファット除去でほうれい線は改善する?

バッカルファットは、頬の深い位置にある脂肪組織です。
バッカルファット除去では、口の中からこの脂肪の一部を取り除くことで、下顔面のボリュームを減らし、輪郭をすっきり見せることを目指します。
適切な症例で行った場合には、輪郭の改善だけでなく、ほうれい線やマリオネットラインがわずかに目立ちにくくなることがあります。
中年患者を対象とした2022年の報告では、術後1年で下顔面のボリューム減少に加え、ほうれい線やマリオネットラインの改善が報告されています。
ただし、その変化はフェイスリフトのように組織を大きく引き上げるものではなく、あくまで控えめな改善です。
つまり、「バッカルファットを取ればほうれい線が消える」と考えるのではなく、頬のボリュームや高低差がほうれい線の見え方に関係している場合に、間接的な改善が期待できる治療と考えた方がよいでしょう。
▶︎[頬の脂肪が多いと本当にほうれい線は深くなる?詳しく見る>]
参考文献:Kubo T. Aesthetic Values of the Buccal Fat Pad Excision in Middle-Aged Patients. Aesthet Surg J Open Forum. 2022;4:ojac015. PubMed
バッカルファット除去で変えられるのは主に「頬のボリューム」

ほうれい線が目立つ原因は一つではありません。
同じ一本のほうれい線に見えても、実際には皮膚に形成された「溝」と、周囲との高低差による「影」が重なっています。
例えば、真顔でも皮膚に線が残っている場合には、真皮のコラーゲン低下や長年の折れ曲がりによって、皮膚そのものに溝が形成されている可能性があります。
一方、正面から光が当たるとそれほど目立たないのに、斜めから見ると鼻横や頬の下が暗く見える場合には、頬のボリュームや骨格との高低差による影の影響が大きいことがあります。
バッカルファット除去が主に変えるのは、このうち頬深部のボリュームや輪郭です。
そのため、頬の厚みによる高低差がほうれい線を強調している方では影が軽くなることがありますが、すでに皮膚に刻まれた溝を脂肪除去だけで改善することは難しいです。
また、鼻横が大きくへこんで見える方では、バッカルファットではなく鼻翼基部などの骨格的なくぼみが影の原因になっている場合もあります。
▶︎[ほうれい線の「影」ができる原因を詳しく見る>]
▶︎[皮膚に残るほうれい線の折れ癖について見る>]
バッカルファット除去でほうれい線が悪化することはある?

バッカルファット除去を検討するときに、「将来、頬がこけたり、ほうれい線が深くなったりしないでしょうか」と心配される方も多いと思います。
結論からいうと、もともとの脂肪量や顔立ち、除去量によっては、頬のボリュームが減ることでほうれい線がかえって目立つ可能性があります。
特にもともと頬が薄い方では、さらに脂肪が減ることで頬の高低差が強くなり、やつれた印象や頬こけにつながることがあります。
ただし、「若いうちにバッカルファットを取ると将来必ず老ける」「必ずほうれい線が悪化する」とまではいえません。
2026年に発表されたバッカルファット減量術の系統的レビューでは、10研究・1,123例が解析され、下顔面のボリューム減少や高い患者満足度が報告されています。
その一方で、研究の追跡期間は全体として短く、長期的な加齢変化については十分に評価されていないとされています。
したがって、将来の変化を正確に予測することはできませんが、目の前の小顔効果だけでなく、もともとの頬のボリュームや加齢に伴う変化まで考え、脂肪を取りすぎないことが重要です。
▶︎[ほうれい線目的の脂肪吸引で後悔しないための注意点を見る>]
参考文献:Shapiro J, Zgardau A, Pundkay G, et al. Aesthetic Outcomes, Complications, and Reported Long-Term Effects of Buccal Fat Pad Reduction: A Systematic Review. 2026. doi:10.1055/a-2875-0465. PubMed
バッカルファット除去が向いている人・慎重に考えた方がよい人

バッカルファット除去の適応を考えるとき、年齢だけで「若いから大丈夫」「50代だから受けない方がよい」と判断することはできません。
重要なのは、現在の頬の脂肪量、皮膚の弾力、顔全体のボリュームバランス、そして何を改善したいのかです。
バッカルファット除去が選択肢になりやすい人
頬深部の脂肪量が多く、下膨れや下顔面の重たさが気になっている方では、バッカルファット除去によって輪郭がすっきりする可能性があります。
その中でも、皮膚の弾力が保たれており、脂肪による頬のボリュームや高低差がほうれい線の影を強調している場合には、ほうれい線の見え方も多少改善する可能性があります。
ただし、この場合でも主目的はあくまで輪郭改善です。ほうれい線そのものを消すためだけにバッカルファットを取るという考え方には慎重になる必要があります。
慎重に考えた方がよい人
もともと頬の脂肪が少ない方、すでに頬こけがある方、急激なダイエットなどで顔のボリュームが減っている方では、バッカルファットをさらに減らすことでやつれた印象が強くなる可能性があります。
また、皮膚のハリが低下し、頬の下垂が強くなっている方では、脂肪だけを減らしても十分な改善につながらず、皮膚の余りやたるみが目立つことがあります。
若い方でも脂肪量が少なければ慎重な判断が必要ですし、中高年の方でも脂肪量や皮膚の状態によって適応は異なります。
年齢そのものより、「取った後にどの部分のボリュームが不足する可能性があるか」を考えることが大切です。
参考文献:Kubo T. Aesthetic Values of the Buccal Fat Pad Excision in Middle-Aged Patients. Aesthet Surg J Open Forum. 2022;4:ojac015. PubMed
メーラーファットとバッカルファットはどちらがほうれい線に関係する?

「頬の脂肪を取ればほうれい線が改善する」と聞くと、バッカルファットもメーラーファットも同じように考えてしまいがちですが、位置も役割も異なります。
バッカルファットは頬の比較的深い位置にあり、除去による主な変化は下顔面のボリュームや輪郭です。
一方、メーラーファットやナゾラビアルファットは、ほうれい線周囲の高低差により直接関与することがあります。
そのため、ほうれい線直上の脂肪の膨らみが強く、その高低差によって影ができている方では、バッカルファットよりもメーラーファットやナゾラビアルファットの状態を考えた方がよい場合があります。
ただし、こちらも「脂肪があるから取ればよい」という単純なものではありません。
脂肪は顔の立体感や若々しさを保つ役割もあるため、除去量や適応を誤ると頬こけや凹凸につながる可能性があります。
ほうれい線だけを改善したいのであれば、まずどの脂肪が多いのか、そもそも脂肪が主な原因なのかを見極めることが重要です。
ほうれい線を改善したいなら「脂肪」だけを見ないことが大切
ほうれい線が目立つと、「頬が重いから脂肪を減らした方がよいのでは」と考える方は少なくありません。
しかし、実際には脂肪を減らしても残るほうれい線が多くあります。
例えば、皮膚そのものに形成された溝が主体であれば、脂肪を取ってもその溝は残ります。
当院では、このような皮膚側の溝に対して、グロースファクターによって皮膚のハリや厚みを改善しながら、自然に溝を目立ちにくくする治療を行っています。
一方、鼻横の骨格的なくぼみが大きく、そこから強い影が生じている場合には、ヒアルロン酸などでボリュームを補う方法が適していることがあります。
グロースファクターでも皮膚の厚みやハリが改善することで鼻横の影が多少目立ちにくくなることはありますが、骨格的なくぼみそのものを大きなボリュームで補う治療ではありません。
また、頬全体の下垂が大きい場合には、ハイフ、糸リフト、フェイスリフトなど、たるみに対する治療を検討した方がよい場合もあります。
つまり、バッカルファットを取るかどうかを考える前に、「今見えているほうれい線が、皮膚の溝なのか、脂肪や骨格による影なのか」を分けて考えることが、遠回りをしないために重要です。
▶︎[脂肪ではなく皮膚の「溝」が原因の場合の治療を見る>]
▶︎[グロースファクターとヒアルロン酸はどう使い分ける?詳しく見る>]
脂肪を取るべきか、注入治療が合うのか迷っている方へ
ほうれい線の原因は、写真だけでもある程度判断できることがあります。施術を決める前に、ご自身のほうれい線が「溝」と「影」のどちらが主体なのか確認しておくことをおすすめします。
バッカルファット除去とほうれい線のよくある質問

バッカルファットを取ればほうれい線は消えますか?
バッカルファット除去によってほうれい線が目立ちにくくなることはありますが、すべてのほうれい線が消えるわけではありません。
特に、すでに皮膚に形成されている溝や折れ癖、鼻横の骨格的なくぼみによる影は、バッカルファットを取っても残る可能性があります。
バッカルファット除去でほうれい線が悪化することはありますか?
あります。もともと頬のボリュームが少ない方や、脂肪を多く取りすぎた場合には、頬こけや周囲との高低差によってほうれい線が目立つ可能性があります。
ただし、術後何年も経ってからどの程度影響するのかについては、現時点では十分な長期研究がありません。
若いうちにバッカルファットを取ると将来老けますか?
若いうちにバッカルファットを取った人が将来必ず老けるとはいえません。
ただし、もともと頬の脂肪が少ない方や、将来的にボリューム不足が目立ちやすい顔立ちでは慎重に考える必要があります。
年齢だけではなく、現在の脂肪量や骨格、頬のボリュームバランスを見た上で判断することが重要です。
メーラーファットとバッカルファットはどちらを取るべきですか?
輪郭をすっきりさせたいのか、ほうれい線周囲の膨らみや影を改善したいのかによって異なります。
バッカルファットは主に頬深部のボリュームや下顔面の輪郭に関係し、メーラーファットなどはほうれい線周囲の高低差により直接関係することがあります。
ただし、どちらも脂肪を取れば取るほどよいわけではありません。顔全体のボリュームバランスを見ながら判断する必要があります。
まとめ|バッカルファットを取る前にほうれい線の原因を見極める

バッカルファット除去は、頬の深い位置にある脂肪を減らし、下顔面のボリュームや輪郭を整える治療です。
頬深部の脂肪量が多く、下顔面の重たさや高低差がほうれい線の見え方に関係している方では、輪郭がすっきりすることでほうれい線も多少目立ちにくくなる可能性があります。
一方で、皮膚に形成されたほうれい線の溝を直接改善する治療ではありません。
また、もともと頬のボリュームが少ない方や脂肪を取りすぎた場合には、頬こけや高低差が目立ち、かえって老けた印象につながる可能性があります。
長期的な影響については現在も十分な医学的データがなく、「若いうちに取れば必ず将来老ける」「取っておけば将来のたるみ予防になる」と、どちらか一方に断定することもできません。
大切なのは、年齢だけで判断するのではなく、今あるほうれい線の「溝」と「影」のどちらにバッカルファットが関係しているのかを見極めることです。
ほうれい線の原因が皮膚の溝であればグロースファクター、鼻横の骨格的なくぼみによる影が強ければヒアルロン酸など、脂肪を減らす以外の方法が適していることもあります。
東京リンクルクリニックでは、ほうれい線の状態を診察した上で、どの部分を治療すると変化につながりやすいのかをご説明しています。







