
著者
ほうれい線治療専門
東京リンクルクリニック
院長 沖津茉莉子
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「舌回しをすると、ほうれい線が消えると聞きました。」
「毎日続ければ、本当に薄くなるのでしょうか。」と疑問に思っている方もいらっしゃるでしょう。
舌回しは、「ベロ回し」「ベロ回し体操」と呼ばれることもある、舌を歯列に沿ってぐるぐると動かすトレーニングです。
特別な道具が必要なく、自宅で簡単にできるため、ほうれい線対策として取り入れている方もいらっしゃいます。
SNSやインターネットでは、「口周りの筋肉が鍛えられる」「顔が引き締まる」「ほうれい線が薄くなる」と紹介されることもあります。
舌回しは、舌や口周りを動かす手軽な運動です。ただし、口周りを動かすことと、すでに形成されたほうれい線そのものを改善することは分けて考える必要があります。
現時点では、舌回しそのものによって、すでに目立っているほうれい線が改善することを示す十分な医学的根拠はありません。
ほうれい線は、単純に表情筋の衰えだけでできるものではないからです。
皮膚が折れ曲がることで形成された「溝」や、頬との高低差、骨格などによって生じる「影」など、さまざまな要因が重なって目立ちます。
東京リンクルクリニックは、ほうれい線治療を専門とする美容皮膚科です。
実際の診療でも、「舌回しや表情筋トレーニングを続けているのに、ほうれい線が変わりません」とご相談いただくことがあります。
診察すると、トレーニングが足りなかったのではなく、皮膚にすでに形成された溝や、頬との高低差による影など、そもそも舌回しでは変えにくい要因が目立っていたということは珍しくありません。
この記事では、舌回しでほうれい線は改善するのか、なぜ効果があると言われているのか、行う場合の方法や注意点、続けても変わらない場合に考えたいことを解説します。
この記事を読んでわかること
- 舌回しでほうれい線は改善するのか
- 舌回しがほうれい線に良いと言われる理由
- 舌回しでは改善しにくいほうれい線
- 舌回しを行う場合の方法と注意点
- 続けてもほうれい線が変わらない場合に考えたいこと
舌回しを続けてもほうれい線が変わらない方へ
「毎日舌回しをしているのに変わらない」「自分のほうれい線は表情筋が原因なのか知りたい」という方は、無料メール相談をご利用いただけます。
お写真からほうれい線の状態を確認し、院長が一通ずつご返信しています。
舌回しでほうれい線は消える?

舌回しだけで、すでに目立っているほうれい線を消すことは難しいと考えられます。
舌回しをすると、舌だけでなく口周りも動きます。
そのため、「口周りの筋肉を鍛えれば、頬が引き上がってほうれい線も改善するのでは」と考える方もいらっしゃるでしょう。
しかし、筋肉を動かすことと、すでに形成されたほうれい線を改善することは同じではありません。
舌回しそのものによるほうれい線改善を検証した質の高い研究は乏しく、顔面エクササイズ全般についても、有効性を裏付ける十分なエビデンスは確立されていません。
そのため、「舌回しを毎日○回行えば、ほうれい線が薄くなる」といった効果を医学的に保証することはできません。
一方で、これは「舌を動かすことに意味がない」ということではありません。
大切なのは、口周りを動かすための運動と、ほうれい線そのものを改善する方法を分けて考えることです。
参考文献:De Vos MC, Van den Brande H, Boone B, Van Borsel J. Facial exercises for facial rejuvenation: a control group study. Folia Phoniatr Logop. 2013;65(3):117-122. PubMed
舌回しがほうれい線に良いと言われる理由

舌回しがほうれい線対策として紹介される背景には、舌や口周りの筋肉を動かす運動であることがあります。
舌や口周りを大きく動かす運動
一般的な舌回しでは、口を閉じた状態で舌先を歯と唇・頬の間に入れ、歯列に沿わせるように一周させます。
普段の会話や食事とは異なる方向へ舌を大きく動かすため、舌や口周りの筋肉を使います。
このことから、「口周りの筋肉が鍛えられる」「顔が引き締まる」「ほうれい線も改善する」と説明されることがあります。
しかし、この最後の部分は分けて考える必要があります。
口周りを動かすことと、ほうれい線改善は別の問題
ほうれい線は、単純に「口周りの筋肉が衰えたからできる線」ではありません。
そのため、筋肉を動かしたからといって、ほうれい線を目立たせている原因まで改善するとは限りません。
口周りの筋肉を使ったトレーニングで、顔貌の変化を検討した研究はあります。
ただし、これは舌回しそのものを検証した研究ではなく、ほうれい線の改善効果を示した研究でもありません。また、トレーニング終了後には開始前との差がみられなくなった項目も報告されています。
舌回しで筋肉が動くことと、ほうれい線の溝や影が改善することは別の話です。
参考文献:Namura M, Motoyoshi M, Namura Y, Shimizu N. The effects of PNF training on the facial profile. J Oral Sci. 2008;50(1):45-51. PubMed
ほうれい線は表情筋だけでできるものではない
舌回しの効果を考える上で知っておきたいのが、そもそもほうれい線がなぜ目立つのかということです。
当院では、ほうれい線を一本の線として見るのではなく、特に「溝」と「影」を分けて考えています。
実際、ほうれい線の形成には加齢だけでなく、皮膚の弾力や頬の組織、頬の下垂など複数の要因が関係することが報告されています。
参考文献:Ezure T, Amano S. Involvement of upper cheek sagging in nasolabial fold formation. Skin Res Technol. 2012;18(3):259-264. PubMed
皮膚に形成された「溝」
ほうれい線では、笑ったときなどに皮膚が繰り返し折れ曲がります。
若い頃は真顔に戻ると目立たなくても、加齢によって皮膚のハリや弾力が低下すると、次第にその部分に構造的な変化が生じます。
当院では、皮膚が折れ曲がることで形成された構造的な変化を「溝」と考えています。
一度皮膚に形成された溝を、舌を回して口周りの筋肉を動かすだけで元の状態へ戻すことは難しいと考えられます。
特に、笑ったときだけではなく、真顔でもほうれい線が残っている方では、皮膚そのものの変化が関係している可能性があります。
頬との高低差による「影」
ほうれい線が深く見える原因は、線そのものだけではありません。
頬とほうれい線の間に高低差があると、光が当たったときに影ができます。
頬の厚みや位置、加齢による下垂、鼻横の骨格的なくぼみなどによって、この影が強くなることがあります。
こうした構造的な影は、舌回しで舌や口周りを動かしても、その原因自体をなくすことはできません。
例えば、鼻横に骨格的なくぼみがある場合、舌回しによって骨格の形が変わるわけではありません。
また、頬の位置が下がって影が強くなっている場合も、舌を回すだけで頬の位置を元へ戻せるとは考えにくいでしょう。
溝の表面に残る「折れ癖」
皮膚に形成された溝の表面には、さらに細かな線が残っていることがあります。
当院では、溝の表面に長年の表情の動きによって刻まれた表層の変化を「折れ癖」と考えています。
「表情筋を鍛えれば、折れ癖も伸びるのでは」と思われるかもしれません。
しかし、すでに皮膚表面に刻まれた変化を、筋肉を動かすだけで消すことは難しいと考えられます。
そのため、「表情筋は鍛えれば鍛えるほど、ほうれい線に良い」と単純に考えないことが大切です。
舌回しを続けてもほうれい線が変わらない理由

「毎日舌回しをしているのに、ほうれい線が全然変わりません。」
このような場合、「やり方が悪いのかな」「もっと回数を増やしたほうがいいのかな」と考える方もいらっしゃるでしょう。
しかし、必ずしもトレーニングが足りないわけではありません。
そもそも舌回しでは変えにくい原因が、ほうれい線を目立たせている可能性があります。
例えば、真顔でも皮膚に溝が残っている方、頬を引き上げても溝そのものは残る方、鼻横のくぼみが強い方、頬との高低差による影が目立つ方などです。
実際の診療でも、患者様ご自身は「筋肉が衰えたからほうれい線が深くなった」と考えていても、診察すると皮膚に形成された溝や骨格、頬との高低差などの影響が大きいことがあります。
このような場合に舌回しの回数だけを増やしても、原因に対するアプローチにはなりません。
「舌回しが効かなかった」のではなく、「舌回しで変えられる部分が原因ではなかった」と考えた方が分かりやすいことがあります。
舌回しをするなら無理なく行う

ほうれい線を消す目的で舌回しを積極的におすすめするわけではありませんが、行うのであれば無理をする必要はありません。
基本的な舌回しの方法
一般的には、口を軽く閉じ、舌先を歯と唇・頬の間へ入れ、歯列の外側をなぞるようにゆっくり一周させます。反対方向にも同じように動かします。
大切なのは、舌を強く押し付けたり、痛みを我慢して行ったりしないことです。
ほうれい線を内側から強く押せば、その部分が伸びて改善するというわけでもありません。
1日何回行えばよい?
「右回り20回、左回り20回」など、さまざまな回数が紹介されています。
しかし、1日何回舌回しをすればほうれい線が改善するという医学的に確立された回数はありません。
そのため当院では、ほうれい線を改善する目的で「1日○回行ってください」といった回数をおすすめしていません。
回数を増やせば、その分ほうれい線への効果が高くなるともいえません。
痛みや違和感があれば中止する
舌回しを無理に続けると、舌や口周りが疲れたり、顎に負担を感じたりすることがあります。
痛みや強い違和感がある場合には中止してください。
「たくさん行った方が早くほうれい線が消える」と考えて、無理に回数を増やす必要はありません。
舌回しをすると逆にほうれい線が深くなる?

舌回しをするとほうれい線が悪化する、という十分な医学的根拠はありません。
そのため、必要以上に怖がる必要はありません。
一方で、ほうれい線を改善するために痛みが出るほど繰り返したり、強い力で皮膚を内側から押したりする必要もありません。
また、回数を増やせば増やすほど効果が高くなるという根拠もありません。
「効かないから回数を増やす」のではなく、続けても変化がない場合には、ほうれい線を目立たせている別の原因を考えることが大切です。
舌回しで改善しない場合は原因に合った方法を考える
舌回しを続けてもほうれい線が変わらない場合、次に考えたいのは「もっとトレーニングすること」ではありません。
何が自分のほうれい線を目立たせているのかを確認することです。
溝が主体の場合
真顔でも皮膚に溝が残っている場合には、皮膚そのものへのアプローチが必要になることがあります。
グロースファクターなど、皮膚側からほうれい線の溝の改善を目指す治療が選択肢になることがあります。
頬の下垂による影が主体の場合

頬の位置が下がることでほうれい線との高低差が大きくなり、影が強調されている場合には、リフトアップ治療が選択肢になることがあります。
ただし、頬を引き上げても、皮膚に形成された溝そのものまでなくなるわけではありません。
そのため、影と溝を分けて考えることが重要です。
鼻横の骨格的なくぼみが主体の場合
鼻の横が骨格的にくぼんでいる場合には、その高低差によってほうれい線の影が強く見えることがあります。
このような場合には、ヒアルロン酸などで土台となるボリュームを補う治療が選択肢になることがあります。
グロースファクターでも、皮膚の厚みやハリが改善することで見た目が多少改善することはありますが、骨格的なくぼみそのものをボリュームで補う治療ではありません。
何が主体なのかによって、適した治療は異なります。
よくある質問

舌回しは毎日しても大丈夫?
無理のない範囲で行い、舌や顎、口周りに痛みや違和感がある場合には中止してください。
ほうれい線改善を目的として、毎日行わなければならないという医学的根拠はありません。
1日何回すればほうれい線に効果がある?
ほうれい線改善について、効果が確認された回数は確立されていません。
「○回以上行えば効果が高くなる」ともいえないため、無理に回数を増やす必要はありません。
舌回しをするとほうれい線が悪化する?
舌回しによってほうれい線が必ず悪化すると断定できる十分な根拠はありません。
ただし、強く押したり、痛みが出るほど繰り返したりする必要もありません。
舌回しをすると小顔になる?
舌や口周りを動かすことはできますが、舌回しによって顔の脂肪や骨格そのものが変わるわけではありません。
一時的な見え方の変化と、顔の構造そのものが変化することは分けて考える必要があります。
舌回しを何か月続けても変わらない場合は?
回数や期間が足りないとは限りません。
皮膚に形成された溝、頬との高低差による影、骨格的なくぼみなど、舌回しでは改善しにくい原因が目立っている可能性があります。
何がほうれい線を目立たせているのかを確認することが大切です。
まとめ|舌回しだけでほうれい線を消すことは難しい

舌回しは、舌や口周りを動かす運動です。
しかし、舌回しによって、すでに形成されたほうれい線そのものを消せるという十分な医学的根拠はありません。
ほうれい線には、皮膚が折れ曲がることで形成された溝や、頬との高低差、骨格などによって生じる影が関係しています。
また、溝の表面には、長年の表情の動きによる折れ癖が残っていることもあります。
こうした変化は、単純に口周りの筋肉を鍛えれば元へ戻るものではありません。
舌回しを続けても変化がない場合には、回数を増やすのではなく、自分の場合は何がほうれい線を目立たせているのかを確認することが大切です。
東京リンクルクリニックでは、ほうれい線の溝と影を中心に、皮膚、脂肪、骨格、表情筋などを確認し、一人ひとりの状態に合わせて治療をご提案しています。
舌回しやセルフケアを続けても変わらない方へ
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