

著者
ほうれい線治療専門
東京リンクルクリニック
院長 沖津茉莉子
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鏡に映る自分の顔。口元からあごにかけて、うっすら縦に伸びる線が気になったことはありませんか?
それは「マリオネットライン」と呼ばれるしわで、老け顔や不機嫌そうな印象を強めてしまう大きな原因の一つです。
まるで人形の口元のように見えることからこの名が付きましたが、その正体はただの「しわ」ではありません。
実はこのマリオネットライン、骨の萎縮・脂肪の下垂・皮膚のハリ低下という三重の老化現象が重なって生じる、非常に“根深い”ラインなのです。
だからこそ、スキンケアやマッサージだけではなかなか改善されず、
「どうにかしたいけど、何をすればいいのかわからない…」と悩む方も少なくありません。
この記事では、美容皮膚科医の視点から、マリオネットラインができる本当の原因と、
本質的に改善するために必要な治療法・予防ケアの選び方について、わかりやすく解説していきます。
「もう隠すのはやめて、根本から変えたい」と思ったときに、ぜひ参考にしてください。
目次 [非表示]
マリオネットラインができる原因とは?
マリオネットラインは、単なる皮膚表面のしわではなく、骨・脂肪・皮膚という3層構造の老化が重なって形成される深い溝です。
以下のような加齢変化が連鎖的に起こることで、口元から下顎にかけて深いしわが刻まれていきます。
骨の萎縮と靭帯のゆるみ
加齢により顔の土台となる骨が徐々に萎縮すると、それまで骨に支えられていた皮膚や脂肪、筋肉の支持力が弱まります。
さらに、骨と軟部組織をつなぐ靭帯も加齢とともに劣化しゆるむことで、頬や口元の軟部組織が下方向に移動しやすくなります。
頬の脂肪(ジョールファット)の下垂
骨と靭帯の支えが弱くなると、頬の脂肪、特に口元の横に位置するジョールファットが下垂します。
この脂肪が口角の下に集まり、ボリュームが偏ることで、マリオネットラインが深く目立つ原因となります。
咬筋の衰え(歯科矯正やエラボトックス後など)も、脂肪の下垂を助長させる要因となります。
皮膚のハリの低下による“折れ癖”の定着
加齢や紫外線によって真皮層のコラーゲンやエラスチンが減少すると、皮膚は薄くなり、ハリや弾力を失います。
ハリの低下した皮膚は、下垂した脂肪の重みに耐えきれず、口角の下で折れ曲がるようになります。
この“折れ癖”が次第に定着し、深い溝となって刻まれるのが、マリオネットラインの正体です。
マリオネットラインの治療法|根本改善にはフェイスリフトが有効
マリオネットラインは、骨の萎縮・脂肪の下垂・皮膚のハリの低下といった複合的な老化現象によって生じるため、スキンケアや機器による引き締め治療だけでは限界があります。
特に深く刻まれたマリオネットラインを改善するには、フェイスリフトなどの外科的アプローチによって「構造から引き上げる」根本治療が必要です。
フェイスリフト|マリオネットラインのたるみを根本から引き上げる外科治療
フェイスリフトは、皮膚だけでなく筋膜(SMAS層)までしっかりと引き上げることで、下垂した脂肪や皮膚を元の状態にリセットできる治療です。
マリオネットラインの主要因であるジョールファットの下垂や口角周囲のたるみに直接アプローチでき、長期的かつ本質的な改善が見込めます。
ただし、フェイスリフトによる引き上げだけでは、すでに深くなったしわや溝は完全に消しきれない場合もあります。
そのため、以下のような注入治療を併用することで、より高い完成度が得られます。
ヒアルロン酸注入|深いマリオネットラインを内側からふっくらと改善
深く刻まれたマリオネットラインには、ヒアルロン酸をピンポイントで注入することで、しわの溝を内側から持ち上げて自然な仕上がりを実現します。
また、加齢によって生じる骨の萎縮やボリュームロスを補う効果もあり、フェイスリフト後の微調整としても非常に有効です。
注入量や位置を繊細に調整することで、口元の不自然な膨らみを避けつつ、立体感のある若々しい印象を取り戻すことができます。
糸リフト|軽度のマリオネットラインに有効な短期的リフトアップ
糸リフトは、特殊な医療用の吸収糸を皮膚内に挿入してたるみを引き上げる比較的手軽なリフトアップ治療です。
ダウンタイムが短く、軽度のマリオネットラインには一定の効果が期待できます。
ただし、持続期間は数ヶ月〜1年程度と限られており、深く刻まれたしわに対しては根本的な改善には至りません。
あくまで補助的・予防的な選択肢として捉えるのが現実的です。
ショッピングリフト|肌のハリを高める予防的なコラーゲン治療
ショッピングリフトは、極細の吸収糸を多数挿入することで皮膚のコラーゲン生成を促し、肌にハリと弾力を与える治療です。
たるみの予防目的や、他の治療後のメンテナンスとしては有効ですが、マリオネットラインの構造的な改善には力不足です。
根本治療としてではなく、肌質改善や治療効果の補強目的で取り入れるのが理想的です。
ハイフ・高周波による治療|軽度たるみの引き締めに有効な補助的アプローチ
ハイフ(HIFU)や高周波(RF)は、熱エネルギーを用いて筋膜や真皮層にはたらきかけ、たるみを引き締める非侵襲的治療法です。
- ハイフ:SMAS層(筋膜)にドット状に超音波を照射し、たるみの軽度なリフトアップをはかる
- 高周波(RF):真皮層のコラーゲン生成を促進し、肌のハリを改善
いずれもダウンタイムがほぼなく、軽度なたるみや老化の予防には適していますが、すでに形成された深いマリオネットラインに対しては十分な改善効果は得られません。
そのため、フェイスリフトやヒアルロン酸注入などの根本治療の補助的役割として併用するのが望ましいです。
マリオネットラインのセルフケア|あくまでも補助的な対策
すでに深く刻まれたマリオネットラインをセルフケアのみで改善するのは難しいのが現実です。
しかし、美容医療による治療効果を長持ちさせたり、将来のしわ予防としては有効な手段です。
保湿と紫外線対策は皮膚老化の基本ケア
肌の乾燥は皮膚のバリア機能を低下させ、コラーゲンやエラスチンの減少を招きます。
特にマリオネットライン周辺は皮膚が薄いため乾燥しやすく、よく動く部位でもあることから皮膚への負担が生じやすい部位です。
日々のスキンケアでは、化粧水+乳液+クリームの三段階保湿を徹底し、肌のハリを保ちましょう。
また、紫外線(特にUVA)は真皮層にまで到達し、コラーゲンを破壊して肌の弾力を奪います。
日焼け止めの使用は通年で欠かせない予防策です。
美顔器や表情筋トレーニングは“やり方次第”
家庭用美顔器や表情筋トレーニングも、適切におこなえば血行促進や筋力の維持に貢献します。
ただし、誤った使い方や強すぎる刺激は逆効果になることもあり、
・過剰なEMSやローラー摩擦で皮膚にダメージが加わる
・間違った筋肉の動かし方で逆に表情じわを悪化させる
といったリスクがあるため、必要最小限の補助的ケアとして捉えるのが理想です。
まとめ|マリオネットライン改善の鍵は「構造的アプローチ」
マリオネットラインは、皮膚のたるみ・脂肪の下垂・骨の萎縮といった複合的な老化によって形成される、非常に“根深い”しわです。
そのため、スキンケアや機器による引き締め治療だけでは十分な改善は難しく、構造から見直す治療戦略が必要です。
根本的な改善を目指すなら、フェイスリフトによる土台からの引き上げが最も効果的です。
さらに、すでに深く刻まれたラインには、ヒアルロン酸注入による局所的な補正を併用することで、仕上がりの完成度が大きく向上します。
一方で、糸リフトやショッピングリフト、ハイフなどの機器治療は、あくまで補助的・予防的な手段として位置づけるのが現実的です。
マリオネットラインは、「一度できると治らない」と思われがちですが、正しい知識と治療選択によって改善は十分に可能です。
当院では、マリオネットラインに悩む方一人ひとりの顔の構造・状態に合わせ、オーダーメイドで最適な治療プランをご提案しています。
メールでの無料カウンセリングもおこなっておりますので、いつでもお気軽にご相談ください。
マリオネットラインに悩む日々に終止符を打ち、若々しい笑顔を取り戻しましょう。