
著者
ほうれい線治療専門
東京リンクルクリニック
院長 沖津茉莉子
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「美容鍼を受けた直後は、なんとなく顔がすっきりして、ほうれい線も少し薄くなった気がしました。でも、しばらくするとまた気になります。」
実際、当院にも美容鍼を受けたことがある方が多く相談に来られます。
お話を伺っていると、「受けたあとは少し良くなった気がする」「なんとなく顔がすっきりする」と感じている方も少なくありません。
その感覚を、すべて「気のせい」と否定する必要はないと思います。
実際、美容目的の鍼によって、ほうれい線の見え方や顔の弾力が改善したとする臨床研究も報告されています。
ただし、ここで大切なのは、「一時的にほうれい線が薄く見えること」と「ほうれい線そのものが治ること」は別だということです。
美容鍼で見た目の変化を感じることがあっても、すでに形成されたほうれい線そのものまで十分に改善できるとは限りません。
東京リンクルクリニックは、ほうれい線治療を専門とする美容皮膚科です。
当院では、美容鍼を受けた経験のある患者さんを診察する機会も少なくありません。その中には、「一時的には良かったけれど、ほうれい線そのものは残っている」と感じて来院される方もいらっしゃいます。
この記事では、美容鍼を頭ごなしに「効かない」と否定するのではなく、現在報告されている研究と実際の診療経験の両方から、美容鍼でどこまで期待できるのか、そしてどこから先は美容鍼だけでは難しいのかを詳しく解説します。
この記事を読んでわかること
- 美容鍼でほうれい線が薄くなる可能性はあるのか
- 美容鍼について現在どこまで研究されているのか
- 美容鍼は何回くらい受けるのか、効果はどのくらい続くのか
- 美容鍼で改善が期待できること・難しいこと
- 美容鍼を続けてもほうれい線が残る場合の治療法
美容鍼を続けてもほうれい線が気になる方へ
ほうれい線は、見た目が似ていても原因は一人ひとり異なります。当院では、ほうれい線の状態を診察したうえで、必要な治療をご提案しています。
美容鍼でほうれい線は薄くなる

美容鍼によって、ほうれい線が一時的に薄く見える可能性はあります。
実際、2025年には、ほうれい線を対象として美容目的の鍼治療を行った臨床研究が報告されています。
この研究では25人を対象に、週3回、2週間で合計6回の鍼治療を実施しました。
治療後には、ほうれい線の長さやWrinkle Severity Rating Scale(WSRS)などの評価指標で改善が認められ、治療終了後2週間、4週間の時点でも評価が行われています。
つまり、美容鍼によってほうれい線の見え方が改善する可能性そのものは、臨床研究でも示されています。
一方、この研究は25人という小規模な研究であり、鍼治療を受けなかった人と比較する対照群がありません。
そのため、「美容鍼を受けたから改善した」とどこまで断定できるのか、また、その変化が長期的に持続するのかについては、まだ十分なデータがあるとはいえません。
美容鍼によって短期的な変化を感じる可能性はある。しかし、それを「ほうれい線そのものが治った」と考えるのは少し違う。
まずはこの違いを理解しておくことが大切です。
参考文献:Nurmawati V, Nareswari I, Jusuf AA. Manual Acupuncture for Improvement of Nasolabial Fold: A Quasi-Experimental Research. Med Acupunct. 2025;37(3):252-259. PubMed
美容鍼とはどんな施術?

美容鍼は、顔や頭部などに細い鍼を刺し、美容上の変化を目的として行われる施術です。
「顔がすっきりした」「フェイスラインが引き締まった気がする」「ほうれい線が薄く見えた」などの変化を期待して受ける方もいます。
ただし、ひとことで「美容鍼」といっても、すべて同じ施術ではありません。
鍼を刺す場所、本数、深さ、角度、施術頻度などは施術者や施設によって異なります。
研究で用いられている方法もさまざまです。
2013年に行われた顔面弾力についての研究では、40〜59歳の女性を対象に、頭・顔・首へ鍼を刺す施術を3週間で5回行っています。
一方、2025年のほうれい線研究では、顔だけでなく頭部や身体の特定部位にも鍼を行い、2週間で6回施術しています。
そのため、「美容鍼の研究で効果が報告された=どこの美容鍼でも同じ効果が得られる」とは考えない方がよいでしょう。
美容鍼でほうれい線が改善した研究もある

美容鍼については研究数がまだ多いとはいえませんが、顔の見た目やほうれい線を評価した研究はいくつかあります。
ほうれい線を直接評価した研究
2025年の研究では、25人全員が2週間で6回の鍼治療を受けました。
その結果、ほうれい線の長さ、WSRS、Global Aesthetic Improvement Scale(GAIS)などで治療前後の改善が報告されています。
ほうれい線そのものを評価対象としている点では、興味深い研究です。
ただし、比較対象となる無治療群や偽鍼群がないため、研究結果をそのまま「美容鍼にはこれだけの効果がある」と一般化することはできません。
顔の弾力を評価した研究
2013年には、28人の女性を対象とした美容鍼のパイロット研究も報告されています。
3週間で5回の施術を行い、27人が治療を完了しました。
顔面弾力を評価する指標では改善が認められましたが、この研究も対照群のない小規模な研究です。
研究者自身も、より大規模で対照群を設けた研究が必要としています。
参考文献:Yun Y, Kim S, Kim M, et al. Effect of Facial Cosmetic Acupuncture on Facial Elasticity: An Open-Label, Single-Arm Pilot Study. Evid Based Complement Alternat Med. 2013;2013:424313. PubMed
通常の美容鍼とは異なる手技の研究もある
2024年には、ほうれい線とマリオネットラインを対象とした100人の後ろ向き研究も報告されています。
この研究では、通常の鍼治療を行った50人と、皮膚の下へ平行にneedle-knifeを刺入する手技を受けた50人を比較し、後者の方が良好な評価だったと報告されています。
ただし、これは日本で一般的にイメージされる美容鍼と同一の手技ではありません。
また、ランダム化比較試験ではなく、研究者も前向きランダム化研究が必要であることを課題として挙げています。
「鍼」という言葉だけを見て同じ施術だと考えず、実際にどのような方法で行われた研究なのかを見る必要があります。
参考文献:Cheng H, Xie L, Wang T, Shi B. Effectiveness of acupuncture therapy on improvement of nasolabial folds and marionette lines: A retrospective study. Health Sci Rep. 2024;7(8):e70014. PubMed
美容鍼で「一時的に良くなった」と感じる人がいるのは不思議ではない

当院で患者さんのお話を聞いていても、美容鍼を受けた経験のある方は珍しくありません。
そして意外と多いのが、
「まったく変わらなかったわけではないんです。」
「受けた直後は、なんとなく良かった気がします。」
「でも、結局ほうれい線自体は気になっています。」
というお話です。
私は、この感覚をすべて否定する必要はないと考えています。
実際に短期的な変化を報告した研究がありますし、美容鍼を受けたあとに何らかの見た目の変化を感じる方がいること自体は不自然ではありません。
ただし、美容鍼による変化のメカニズムについては、まだ十分に確立されているとはいえません。
よく「血流が良くなるから」「筋肉がほぐれるから」「鍼を刺すことでコラーゲンが増えるから」と説明されることがありますが、それだけで実際のほうれい線の変化をすべて説明できるわけではありません。
だからこそ、美容鍼を受けたあとに一時的な変化を感じたとしても、それをそのまま「ほうれい線そのものが治った」と考えないことが重要です。
美容鍼で変わる可能性があるものと、変わりにくいもの

ここからは、美容鍼を受けてもほうれい線が残る理由を考えてみましょう。
東京リンクルクリニックでは、ほうれい線を一本の「しわ」としてではなく、皮膚が繰り返し折れ曲がることで形成された「溝」と、鼻横の骨格的なくぼみや頬との高低差などによって生じる「影」に分けて考えています。
さらに、溝の表面には長年の表情筋の動きによって「折れ癖」が刻まれていることもあります。
美容鍼を考える場合も、今目立っているほうれい線の何が変化しているのかを見ることが重要です。
ほうれい線の「見え方」が変化する可能性はある
美容鍼によってほうれい線の評価指標が短期的に改善した研究がある以上、見た目が変化する可能性まで否定する必要はありません。
実際、当院へ来られる患者さんの中にも、「美容鍼を受けた直後は少し良かった」と感じている方がいます。
美容鍼を美容ケアの一つとして気に入っているのであれば、それ自体を否定するものではありません。
ただし、一時的に見え方が変化することと、形成されたほうれい線を治療することは分けて考える必要があります。
皮膚に形成された「溝」には限界がある

ほうれい線の溝は、皮膚が長年繰り返し折れ曲がることで形成された構造的な変化です。
一度形成された溝は、単に顔がすっきり見えたり、肌の状態が一時的に変わったりすることとは別に考える必要があります。
美容鍼によってほうれい線の改善を示した研究はありますが、形成された溝を長期的かつ安定して改善する治療として確立されているわけではありません。
美容鍼を何度も受けているのに、真顔でもほうれい線が同じ位置に残っている場合には、溝そのものが形成されている可能性があります。
▶︎[ほうれい線の溝に刻まれる「折れ癖」について詳しく見る>]
鼻横の骨格的なくぼみなどによる「影」は別の問題

もう一つ、美容鍼だけでは変えにくいのが、骨格やボリューム差によって生じる影です。
たとえば、鼻の横がもともとくぼんでいる方では、その高低差によってほうれい線の上部に濃い影ができます。
これは皮膚表面だけの問題ではありません。
骨格的なくぼみそのものを美容鍼で補うことはできません。
「美容鍼を受けた直後は良いのに、鼻横のほうれい線だけはずっと残る」という場合には、このような構造が関係していることがあります。
▶︎[鼻横のくぼみがほうれい線を目立たせる理由を見る>]
▶︎[ほうれい線の「影」が濃く見える原因を詳しく見る>]
美容鍼は何回受ければいい?効果はどのくらい続く?

美容鍼について調べると、「週1回がおすすめ」「最初は○回受けるとよい」といった説明を目にすることがあります。
しかし現時点では、「○回受ければほうれい線が治る」という医学的に確立された回数はありません。
研究で使われている施術回数も統一されていません。
2013年の顔面弾力についての研究では3週間で5回、2025年のほうれい線研究では2週間で6回の施術が行われています。
2024年の研究では3回を1コースとして施術し、その後の満足度を3か月、6か月、9か月後に調査していますが、使用された手技も一般的な美容鍼だけではありません。
つまり、現在の研究から分かるのは、「複数回の施術後に変化が報告された研究がある」というところまでです。
美容鍼を5回、10回、20回と続ければ、ほうれい線の溝が徐々になくなっていくと証明されているわけではありません。
持続期間についても同様です。
短期的なフォローアップを行った研究はありますが、一般的な美容鍼によるほうれい線改善がどの程度持続するのかについて、十分に確立されたデータはありません。
そのため、「最初は週1回、その後は月1回受ければほうれい線を維持できる」といった一律の説明については、医学的に確立された持続期間とは分けて考えた方がよいでしょう。
美容鍼のデメリット・リスク

美容鍼は切開手術などと比べれば身体への負担が小さい施術ですが、まったくリスクがないわけではありません。
代表的なのは、鍼を刺した部分の痛み、出血、内出血などです。
2013年の研究では、140回の施術のうち20回で軽度の内出血が報告され、1人は初回施術後の痛みを理由に研究から離脱しています。
一方、この小規模研究では瘢痕や神経障害、長期間の回復を要する有害事象は報告されませんでした。
ただし、研究規模が小さいため、「重大な合併症が絶対に起こらない」という意味ではありません。
また、鍼を刺す部位や深さ、使用する器具によってもリスクは異なります。
特に2024年の研究で用いられたneedle-knifeのような手技は、一般的な細い美容鍼と同じものとして安全性を考えるべきではありません。
参考文献:Yun Y, Kim S, Kim M, et al. Effect of Facial Cosmetic Acupuncture on Facial Elasticity: An Open-Label, Single-Arm Pilot Study. Evid Based Complement Alternat Med. 2013;2013:424313. PubMed
美容鍼でほうれい線が残る場合の治療法

美容鍼を続けてもほうれい線が気になる場合、重要なのは「もっと美容鍼の回数を増やすこと」とは限りません。
何が原因でほうれい線が残っているのかを見極めることが大切です。
| 気になる状態 | 主な要素 | 治療の考え方 |
|---|---|---|
| 真顔でも線が残る | 皮膚に形成された溝 | グロースファクターなど |
| 鼻横の影が特に深い | 骨格的なくぼみ・高低差 | ヒアルロン酸など |
| 頬が下がって影が強い | 頬の下垂 | HIFUなどを適応に応じて検討 |
| 細かな小じわ・肌質が気になる | 肌質 | 肌質改善を目的とした治療 |
皮膚に形成された溝にはグロースファクター
当院では、皮膚が繰り返し折れ曲がることで形成されたほうれい線の「溝」に対して、グロースファクター治療を行っています。
グロースファクターは、ヒアルロン酸のように大きなボリュームを加えるのではなく、皮膚側から徐々に変化させていく治療です。
そのため、何かを入れたことが分かるような仕上がりをできるだけ避けながら、自然にほうれい線の溝を浅くしたい方に向いています。
美容鍼を受けた直後には少し良く見えるものの、真顔になるといつも同じ位置に線が残っている方では、こうした溝が形成されていることがあります。
美容鍼を否定する必要はありませんが、形成された溝を改善したいのであれば、その溝自体に合った治療を選ぶことが重要です。
▶︎[ほうれい線の溝を自然に改善するグロースファクター治療を見る>]
鼻横の骨格的なくぼみ・影にはヒアルロン酸

鼻横の骨格的なくぼみが強い場合には、ヒアルロン酸が適していることがあります。
ヒアルロン酸はボリュームを補うことができるため、骨格的なくぼみによる影を直接的に改善しやすく、即効性があることもメリットです。
また、深い溝であればヒアルロン酸によってある程度浅くできる場合もあります。
一方、浅い溝では改善に限界があり、溝の表面に刻まれた「折れ癖」には基本的に効果を期待しにくくなります。
さらに鼻横・鼻唇溝周囲へのヒアルロン酸注入には、非常にまれではあるものの血管閉塞による皮膚壊死や視覚障害などの重大な合併症があります。
そのため、即効性だけで選ぶのではなく、どこに何を改善するために注入するのかを慎重に判断する必要があります。
▶︎[ほうれい線のヒアルロン酸治療について詳しく見る>]
▶︎[ヒアルロン酸の血管閉塞・失明などのリスクを確認する>]
頬の下垂による影にはリフトアップ治療

頬が下がることでほうれい線周囲の高低差が大きくなり、影が濃く見えている方では、HIFUなどのリフトアップ治療によって見え方が改善することがあります。
ただし、HIFUで皮膚に形成された深い溝そのものを消すことはできません。
「顔全体を引き締めたい」のか、「真顔でも残るほうれい線の溝を浅くしたい」のかによって、選ぶ治療は変わります。
よくある質問

美容鍼でほうれい線は消えますか?
美容鍼によってほうれい線の評価が改善した研究はあります。そのため、一時的に薄く見えたり、見た目の変化を感じたりする可能性まで否定する必要はありません。
ただし、形成されたほうれい線の溝そのものを長期的に消せる治療として確立されているわけではありません。
美容鍼は何回受ければ効果が出ますか?
医学的に「○回受ければほうれい線に効果が出る」と確立された回数はありません。
研究では3週間で5回、2週間で6回など複数回の施術が行われていますが、施術方法も異なるため、特定の回数をすべての美容鍼に当てはめることはできません。
美容鍼の効果はどのくらい持続しますか?
短期的な改善を報告した研究はありますが、一般的な美容鍼によるほうれい線改善がどの程度持続するのかについて、十分に確立されたデータはありません。
「月1回受け続ければ維持できる」などの説明についても、医学的に確立された持続期間とは分けて考える必要があります。
深いほうれい線にも美容鍼は効きますか?
深いほうれい線では、皮膚に形成された溝だけでなく、鼻横の骨格的なくぼみ、頬との高低差、頬の下垂など複数の要素が重なっていることがあります。
美容鍼で見え方が多少変化する可能性はありますが、こうした構造的な要素すべてを美容鍼だけで改善することは難しいと考えます。
美容鍼とヒアルロン酸はどちらがいいですか?
目的が異なるため、一概にどちらが優れているとはいえません。
美容鍼は美容ケアとして見た目の変化を感じる方がいる一方、ヒアルロン酸はボリュームを補う注入治療です。
特に鼻横の骨格的なくぼみや、それによって生じる影を改善したい場合には、ヒアルロン酸の方が直接的です。
美容鍼を受けたあとに美容医療を受けられますか?
美容鍼の施術内容や、受けたい美容医療によって判断が異なります。
内出血、腫れ、赤みなどが残っている場合や、通常の美容鍼とは異なる深い手技を受けている場合には、状態を確認してから治療時期を判断した方が安全です。
美容医療を検討している場合は、美容鍼を受けた日、施術部位、どのような施術だったかを診察時に伝えてください。
まとめ|美容鍼で一時的に変化を感じても、ほうれい線そのものが治るとは限らない

美容鍼については、「ほうれい線にはまったく意味がない」と言い切る必要はありません。
実際、ほうれい線の見え方や顔面弾力の改善を報告した臨床研究がありますし、当院へ来られる患者さんの中にも「美容鍼を受けたあとは、一時的には少し良くなった気がする」と話される方は少なくありません。
ただし、現在の研究は小規模な単群研究や後ろ向き研究などが中心であり、長期的な効果まで十分に確立されているとはいえません。
そして何より、「一時的にほうれい線が薄く見えること」と、「皮膚に形成されたほうれい線の溝そのものを改善すること」は別です。
美容鍼を美容ケアとして気に入っているのであれば、無理にやめる必要はありません。
一方で、何度受けても真顔で同じ位置にほうれい線が残る、鼻横の影が深い、年々ほうれい線がくっきりしてきたという場合には、回数を増やす前に、一度「なぜそのほうれい線が残っているのか」を見直してみることをおすすめします。
ほうれい線は、原因に合った治療を選ぶことで、必要以上に治療を重ねずに改善を目指すことができます。
美容鍼を続けても残るほうれい線が気になる方へ
東京リンクルクリニックでは、ほうれい線の状態を診察し、「溝」「影」、骨格や頬の状態まで見ながら、今のほうれい線にどの治療が必要なのかをご説明しています。まず原因を知りたいというご相談でも構いません。







