• しわ, ほうれい線

ほうれい線にジュベルックは効く?効果・持続・リスクを医師が解説

説明


著者
ほうれい線治療専門
東京リンクルクリニック
院長 沖津茉莉子
ドクター紹介はこちら

ほうれい線が気になり始めて治療を調べていると、ジュベルックという名前を見かけることがあります。

ヒアルロン酸は定期的に続ける必要がありそうで抵抗がある。
グロースファクターは自然に改善できそうだけれど、なんとなく怖い。
できれば不自然に膨らませるのではなく、自分のコラーゲンで自然に改善したい。

そんな方にとって、ジュベルックはとても魅力的に見える治療だと思います。

実際、当院にも、「ジュベルックはほうれい線に効きますか」「ジュベルックボリュームならヒアルロン酸より自然ですか」「コラーゲンが増えるなら長持ちしますか」といったご相談をいただくことがあります。

実は、ほうれい線治療においてジュベルックは、イメージされるほど万能な治療ではありません。

ほうれい線は、単なる肌表面のハリ不足だけでなく、皮膚の折れ曲がりによる溝、表情筋の折れ癖、骨格のくぼみ、頬の脂肪や厚みによる影など、複数の要素が重なって目立つことが多いからです。

この記事では、ほうれい線治療を専門に行う立場から、ジュベルックの効果、持続、リスク、グロースファクターとの違いをわかりやすく解説します。

まず結論|ほうれい線にジュベルックは効くのか

ほうれい線を浅くしたい、できれば長く持たせたい、でも不自然にはなりたくない。

そう考えている方に対して、私はジュベルックの注入を積極的にはおすすめしていません。

ジュベルックには、ジュベルックスキンと、ジュベルックボリュームの2種類があります。

一般的に「ジュベルック」と称されるものはジュベルックスキンであることが多く、毛穴、キメ、小じわ、ハリ感などの肌質改善を目的とする治療です。

肌全体の質感や印象を整えるのには適していますが、ほうれい線という構造的な溝を浅くする治療としては効果が及びません。

一方で、ジュベルックボリュームは、レニスナとも呼ばれ、よりボリュームアップ寄りの治療です。

ほうれい線に注入する場合、多くはこちらが採用されていると思われます。

ただし、ジュベルックボリュームも、ほうれい線の溝そのものを狙って、確実に浅くする治療ではありません。

軽度のハリ不足や厚みの補助として見た目が少しやわらぐ可能性はありますが、真顔でも深く目立つほうれい線や、笑ったときに強く折れ込む線には、十分な改善が出にくいと私は考えています。

例えるなら、ジュベルックスキンは壁紙の細かい傷を整える治療、ジュベルックボリュームは壁の一部に少し厚みを足す治療に近いです。

しかし、ほうれい線のように深く折れ込んだ溝は、壁紙だけを整えても、少し厚みを補強しても、壊れた壁を根本的に修復しない限り、十分な改善には至らないことがあります。

▶︎[ほうれい線治療の正しい選び方をみる>

ではなぜ、ジュベルックボリュームはほうれい線に使われるのか

ジュベルックボリュームがほうれい線治療として選ばれる理由は、「コラーゲンを増やして自然なボリュームを補う治療」という内容が、患者さんにとって非常に魅力的に聞こえるからです。

ヒアルロン酸のように人工的に埋めるのではなく、自分のコラーゲンを増やして自然に改善する。
しかもヒアルロン酸より長持ちしそう。

そう聞くと、とても理想的な治療に感じると思います。

ただし、ここで注意が必要です。

ジュベルックボリュームで起こるコラーゲン産生は、主にPDLLAという粒子に対する生体反応を利用したものです。

体内に粒子が入ると、周囲で炎症反応や創傷治癒反応が起こり、その過程で線維芽細胞が刺激されてコラーゲン産生が促されます。

この仕組みだけを見ると、コラーゲンが増えるならほうれい線にも効きそう、と感じるかもしれません。

ですが、ここで知っておきたいのが、同じくコラーゲン産生を促す治療として比較されやすいグロースファクターとの違いです。

同じ「コラーゲンを増やす治療」でも、グロースファクターとは何が違うのか

ジュベルックもグロースファクターも、最終的にはコラーゲン産生を促す治療です。

ただし、同じ「コラーゲンを増やす治療」でも、増え方は同じではありません。

ジュベルックでは、PDLLA粒子に対する生体反応をきっかけに、周囲でコラーゲン産生が促されます。

これにより皮膚のハリや厚みが補われ、見た目がやわらぐことはありますが、ほうれい線の折れ込んだ溝そのものを修復するには限界があります。

一方、グロースファクターは線維芽細胞の働きを促し、真皮のコラーゲン産生や再構築を目指す治療です。

そのため、単に皮膚が厚くなるだけでなく、折れ込みやすくなった真皮そのものに変化を起こし、ほうれい線の改善につながりやすいと考えています。

つまり、差が出るのは「コラーゲンが増えるかどうか」ではなく、どこに、どのような形で増え、真皮の構造がどこまで立て直されるかです。

この違いを踏まえると、ジュベルックボリュームは、ほうれい線の原因そのものにアプローチする治療というより、皮膚のハリ感や厚みを補うことで見え方をやわらげる治療として理解した方が実態に近いと思います。

▶︎[グロースファクター治療の詳細をみる>

ほうれい線は、ただコラーゲンを増やせば消えるわけではない

ジュベルックがほうれい線に効くのかを考えるときに、最も大切なのは、ほうれい線の原因を理解することです。

ほうれい線は、単にコラーゲンが減ったからできる一本のしわではありません。

実際には、皮膚、脂肪、骨格、表情の癖が複雑に関係しています。

たとえば、皮膚のハリが低下すると、笑ったときに皮膚が折れ込みやすくなります。

長年その状態が続くと、ノートを折った後のように、皮膚に折れ癖が残ります。

また、頬の脂肪や厚みが影を作ることで、ほうれい線が深く見えることもあります。

鼻横の骨格的なくぼみが強い方では、鼻翼基部の影がほうれい線を強調することもあります。

つまり、ほうれい線は、皮膚のハリの低下、表情による折れ癖、頬の厚みや脂肪による影、鼻横や口元の骨格によるくぼみ、中顔面のボリュームバランスの変化など様々な要因が関与して形成されています。

だからこそ、コラーゲンを増やす治療なら何でも同じように効く、という考え方は危険です。

ほうれい線治療では、コラーゲンが増えるかどうかだけでなく、その変化が折れ癖・くぼみ・影のどこに作用するのかを見極める必要があります。

▶︎[ほうれい線ができる原因の詳細をみる>

ジュベルックで期待できること、期待しすぎてはいけないこと

ジュベルックボリュームで期待できるのは、ほうれい線を直接持ち上げる変化というより、周囲の皮膚に軽いハリや厚みが出ることで、影の見え方がやわらぐような変化です。

ただし、深いほうれい線の溝をしっかり浅くすること、笑ったときに強く折れ込む線を確実に改善すること、骨格によるくぼみや頬の厚みによる影をまとめて解決することは、ジュベルックボリュームでは限界があります。

実際のご相談でも、「コラーゲンが増えるならヒアルロン酸のように何度も続けなくてよいですか」「自然に根本改善できますか」と聞かれることがあります。

そのお気持ちはよくわかります。

しかし、ほうれい線に関しては、コラーゲンを増やすという言葉だけで判断しない方がよいです。

少しハリ感が出る、自然に効きそう、長持ちしそうというイメージが先行すると、本来の適応以上の期待をしてしまい、結果として満足度が下がりやすくなります。

持続性について|コラーゲンができるのに、なぜ効果が1〜2年程度なのか

ジュベルックボリュームに興味がある方の多くは、ヒアルロン酸より長持ちしそうという印象を持っています。

コラーゲンが増えるなら、一度できたコラーゲンは長く残るのではないか、と感じるのは自然です。

ただ、美容医療でいう持続期間は、組織内のコラーゲンが完全になくなるまでの期間ではありません。

患者さんが見た目として効果を実感しやすい期間を指していることがほとんどです。

ジュベルックボリュームの場合、見た目の変化には、純粋なコラーゲン増生だけでなく、注入後の腫れ、初期のボリューム感、組織反応による厚みなど、複数の要素が混ざります。

時間が経つと、その上乗せ分が少しずつ落ち着いていきます。

さらに、ほうれい線は加齢による脂肪の下垂、骨格の変化、皮膚の折れ癖、表情の動きなどの影響を受け続けます。

そのため、仮に一部のコラーゲンが残っていても、見た目としては戻ってきたように感じることがあります。

つまり、コラーゲンができるのに持続が短いのはおかしい、というより、そもそも見た目の改善はコラーゲンだけで成り立っているわけではないのです。

リスクについて|ほうれい線への注入を慎重に考えるべき理由

私がジュベルックボリュームをほうれい線治療の第一選択としない理由は、効果だけではありません。リスク面も重要です。

まず気になるのは、しこりや凹凸です。

ジュベルックボリュームは異物反応を利用する治療であるため、反応が強く出すぎると、硬さやしこり感が出る可能性があります。

特にほうれい線周囲は、表情でよく動く部位です。

皮膚も比較的薄く、浅い層に入ると凹凸が目立ちやすい場所です。

頬こけやこめかみのように深い層でボリュームを出す部位と、ほうれい線周囲を同じようには考えにくいと私は思っています。

次に、頻度が高いわけではないものの、遅発性結節や肉芽腫のリスクも伴います。

しかし、顔という毎日目に入る場所で、しかも人から見られやすいほうれい線周囲に、そうしたリスクを背負ってまでジュベルックボリュームを打つ価値があるのかは慎重に考えるべきです。

さらに、修正のしづらさも問題です。

ヒアルロン酸であれば、溶解という選択肢があります。

しかし、ジュベルックボリュームのようなコラーゲンブースターは、気に入らなかったからといって簡単に元に戻せる治療ではありません。

もちろん、グロースファクターもコラーゲン過剰増生のリスクはゼロではありません。

どの治療にもリスクはあります。

だからこそ私は、ほうれい線治療では、治療のイメージや流行よりも、その治療が原因に合っているか、そして修正しにくいリスクをあえて負う必要があるかを重視しています。

▶︎[ヒアルロン酸注入のリスクや副作用についてみる>
▶︎[グロースファクター治療のリスクや副作用についてみる>

ほうれい線治療としてのジュベルックと、他の治療との比較

治療 主な目的 ほうれい線への適正 適しているケース 注意点
ジュベルックスキン 毛穴・キメ・小じわなどの肌質改善 肌全体の質感を整えたい場合 ほうれい線の溝を浅くする効果は期待できない
ジュベルックボリューム 異物反応によりハリ・厚み・ボリューム感を補助 △〜⚪︎ 軽度のハリ改善や軽度のボリューム補助 しこり・凹凸・肉芽腫・修正のしづらさに注意
ヒアルロン酸 くぼみやボリュームロスを物理的に補充 ⚪︎〜◎ 骨格のくぼみやボリューム不足が目立つ場合 定期的な追加注入が必要。血流障害のリスク
グロースファクター 真皮の再構築により溝や折れ癖を改善 ⚪︎〜◎ 皮膚のハリ低下や折れ癖が主体の場合 適応の見極めと投与設計が重要

もちろん、この表だけで治療を決めることはできません。

骨格のくぼみが強い方にグロースファクターだけを行っても限界がありますし、皮膚の折れ癖が主体の方にヒアルロン酸だけを入れても、改善につながらず不自然に見えることがあります。

大切なのは、治療のスペックではなく、原因に合った治療を選ぶことです。

▶︎[ほうれい線のヒアルロン酸注入の詳細をみる>
▶︎[ほうれい線のグロースファクター治療の詳細をみる>

ほうれい線にジュベルックを考えている方が、まずやるべきこと

もし今、ジュベルックを受けるか迷っているなら、まずやっていただきたいのは、自分のほうれい線がどのタイプなのかを整理することです。

鏡を見たときに、真顔でも溝が深いのか、笑ったときだけ強く入るのか。
鼻横のくぼみが目立つのか、頬の厚みで影になっているのか。
ほうれい線の下の方に折れ癖が強いのか。

こうした点を整理するだけでも、向いている治療はかなり変わってきます。

特に、真顔でもはっきり目立つほうれい線、笑うとさらに強く折れ込むほうれい線、鼻横のくぼみや頬の厚みの影が強いケースでは、ジュベルックだけでは改善が不十分になりやすいと考えています。

こうしたタイプでは、コラーゲンが増えるというイメージだけで治療を選ぶのではなく、その線が何によって目立っているのかを見極めることが大切です。

なんとなくジュベルックが良さそうという印象だけで迷っているなら、ほうれい線治療を多く見ている医師に、ヒアルロン酸、グロースファクター、リフトアップ治療も含めて相談してみてください。

最初からジュベルックありきで相談すると、本来もっと合う選択肢を見落としてしまうことがあります。

当院でも、メール相談でお写真を拝見しながら、骨格性のくぼみが主体なのか、折れ癖が主体なのか、グロースファクターが向くのか、ヒアルロン酸の方が理にかなうのかをお伝えしています。

ほうれい線は、同じように見えても原因が本当に様々です。

流行っている治療名から入るより、自分の線の正体から考えることが、遠回りに見えて一番の近道です。

▶︎[ほうれい線治療の正しい選び方をみる>

よくある質問

ジュベルックボリュームならヒアルロン酸より長持ちしますか?

一般的には、ヒアルロン酸より長持ちすると説明されることが多いと思います。

ヒアルロン酸が数か月〜1年ほどで少しずつ吸収されるのに対し、ジュベルックボリュームはコラーゲン産生を促す治療であるため、1〜2年程度と案内されることが多いからです。

ただし、ここでいう持続は、純粋にコラーゲンだけの効果を指しているわけではありません。

ジュベルックボリュームによる見た目の変化には、コラーゲン産生だけでなく、初期の腫れや組織反応による厚みも関わるため、説明される持続期間と、実際に患者さんが効果を実感できる期間には差が出る可能性があります。

そのため、どちらがどのくらい長持ちするかは一概に断定しにくいのが正直なところです。

また、ほうれい線は骨格、頬の厚み、折れ癖など複数の要素で見え方が変わるため、仮に製剤としての持続が長くても、それがそのまま満足度につながるとは限りません。

▶︎[ほうれい線のヒアルロン酸注入の持続期間についてみる>
▶︎[ほうれい線のグロースファクター治療の持続期間についてみる>

通常のジュベルック(ジュベルックスキン)でもほうれい線は改善しますか?

肌質が整うことで、肌表面の光の反射が均一になり、ほうれい線の影の見え方がわずかにやわらぐ可能性はあります。

ただし、ほうれい線の溝そのものを改善する治療としては期待しにくく、毛穴、キメ、小じわなどの肌質改善目的で考えた方がよいと思います。

▶︎[ほうれい線の影が目立つ原因をみる>
▶︎[毛穴によってほうれい線が目立つ理由をみる>

ジュベルックでしこりができることはありますか?

可能性はあります。

頻度が非常に高いという意味ではありませんが、PDLLAやPLLAのようなコラーゲンブースターでは、しこり、遅発性結節、肉芽腫などが報告されています。

特に浅い層や口元などの動きの多い部位では、慎重な適応判断と注入技術が必要です。

▶︎[遅発性結節について詳細をみる>
▶︎[笑ったときのほうれい線を自然に改善する方法をみる>

ヒアルロン酸とグロースファクターのどちらが良いですか?

ほうれい線の原因によります。

骨格性のくぼみやボリューム不足が主因ならヒアルロン酸が適していることがあります。

皮膚のハリの低下や折れ癖が主体なら、グロースファクターがより効果的なこともあります。

どちらが優れているというより、どちらがそのほうれい線の原因に合っているかで考えることが大切です。

▶︎[ヒアルロン酸とグロースファクターの違いについてみる>

まとめ|ほうれい線にジュベルックを打つ前に、まず原因を見極めて

ジュベルックは、コラーゲンが増える、自然に効きそう、長持ちしそうという印象から、魅力的に感じやすい治療です。

ですが、ほうれい線治療として見ると、話はそれほど単純ではありません。

特にジュベルックボリュームは、ほうれい線の溝を直接改善する治療というより、皮膚の厚みやハリ感を補助する治療として考えた方が現実的です。

そのため、軽度のハリの低下にはある程度の効果は期待できても、ほうれい線の折れ癖や構造的な溝に対しては、十分な改善につながりにくいケースが多いと考えています。

さらに、しこりや凹凸、肉芽腫、修正の難しさまで考えると、少なくとも私はほうれい線の第一選択としては採用しにくいと考えています。

ほうれい線治療で最も大切なのは、流行っている治療を選ぶことではなく、自分のほうれい線が何が原因でできているかを見極めることです。

骨格のくぼみが原因なのか。頬の厚みによる影なのか。皮膚の折れ癖なのか。ハリの低下なのか。

そこが明確になれば、ヒアルロン酸が適しているのか、グロースファクターが効くのか、肌育治療は補助としてとどめるべきなのかが見えてきます。

もし今、ジュベルックを受けるか迷っているなら、まずはその治療がどれだけ優れているかではなく、自分のほうれい線に本当に合っているのかを確認してみてください。

ほうれい線治療は、名前で選ぶと遠回りになります。

原因に合った治療を選べれば、必要以上に何度も回り道をせずに済みます。

この記事が、自然で納得のいく選択肢につながることを願っています。

当院はほうれい線治療を専門に行っており、メールでの無料カウンセリングも実施しております。

お寄せいただいたご相談メールには、本記事を執筆している院長の私がすべて丁寧にご返信いたします。

ほうれい線でお悩みの方は、どうぞお気軽にご相談ください。

《出典》
Poly-L-Lactic Acid(NCBI Bookshelf)
StatPearls, updated 2024
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK507871/

《出典》
Late-onset granuloma formation after poly-L-lactic acid injection(PubMed Central)
JAAD Case Reports, 2(1), 2016
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC4809477/

《出典》
Foreign Body Granulomas after the Use of Dermal Fillers(PubMed Central)
Archives of Plastic Surgery, 42(2), 2015
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC4366708/

《出典》
Delayed occurrence of foreign body reaction caused by poly-L-lactic acid injectable filler(PubMed Central)
Clinical Case Reports, 12(3), 2024
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC10985543/

《出典》
Poly-d,l-lactic Acid (PDLLA) Application in Dermatology: A Literature Review
Polymers, 16(18), 2583, 2024
https://www.mdpi.com/2073-4360/16/18/2583