
著者
ほうれい線治療専門
東京リンクルクリニック
院長 沖津茉莉子
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「最近ほうれい線が目立ってきたけれど、ストレッチで薄くできないかな?」
「SNSで紹介されている顔ヨガや表情筋トレーニングは、本当に効果があるの?」
できれば美容医療に頼らず、自宅で改善したいですよね。
実は、顔のストレッチやエクササイズによって顔全体の印象が変わる可能性はあります。
ただし、ほうれい線をストレッチだけで消せるとは限りません。
なぜなら、ほうれい線は単なる筋肉のこわばりではなく、皮膚の折れ癖、頬のボリュームやたるみ、骨格など、複数の要因によって目立つからです。
この記事では、ほうれい線治療を専門に行う美容皮膚科医の立場から、ストレッチで期待できることと限界、やりすぎの注意点、自宅で本当に優先したい対策について解説します。
読み終えていただければ、ご自身のほうれい線にストレッチを続ける意味があるのか、別の対策を考えるべきなのか判断しやすくなると思います。
目次
まず結論|ほうれい線をストレッチだけで消すのは難しい
結論からいうと、ほうれい線をストレッチだけで消すことは難しいと考えています。
ただし、顔を動かすこと自体に意味がないわけではありません。
顔のエクササイズによって、頬のボリューム感など顔全体の見え方に変化が出る可能性を示した小規模な研究はあります。
一方で、「顔の印象が変わること」と「ほうれい線そのものが改善すること」は別ものです。
ほうれい線は、皮膚の折れ癖、頬の組織の変化、骨格などが重なってできています。
たとえば、鼻の横が骨格的にくぼんでいる方がストレッチをしても、骨格そのものは変わりません。
すでに皮膚に深い折れ癖がついている場合も、筋肉を動かすだけで折れ目を元に戻すことは難しいでしょう。
そのため、「どのストレッチが一番効くか」を調べる前に、「自分のほうれい線はなぜ目立っているのか」を考えることが大切です。
顔のストレッチには本当に効果がある?
顔のエクササイズについて、見た目の変化を調べた研究があります。
2018年にJAMA Dermatologyに掲載された研究では、40〜65歳の女性が20週間にわたって顔のエクササイズを行い、研究を完了した16人では、評価者による写真評価で頬のふっくら感に改善が認められました。
ただし、対象者が少なく、対照群もない研究です。
さらに、主に確認されたのは頬のボリューム感の変化であり、「ほうれい線が消える」と証明されたわけではありません。
また、2014年には18人を対象に、顔のエクササイズを行ったグループと対照群を比較した研究もあります。
評価部位にはほうれい線も含まれていましたが、こちらも小規模な研究です。
現時点では、「特定のストレッチを何分続ければほうれい線が改善する」といえるほど十分な研究はありません。
そのため、顔ヨガや表情筋トレーニングを行う場合も、「ほうれい線を消す方法」と考えるのではなく、無理のない範囲で顔を動かすセルフケアの一つとして捉えるのが現実的です。
参考文献:
Association of Facial Exercise With the Appearance of Aging
JAMA Dermatology. 2018;154(3):365-367.
Facial exercises for facial rejuvenation: a control group study
Folia Phoniatrica et Logopaedica. 2014;65(3):117-122.
ストレッチで改善しにくいほうれい線は3タイプ
ほうれい線がストレッチで改善するかどうかは、原因によって大きく変わります。
特に次の3タイプは、ストレッチだけで変化を出すのが難しいと考えています。
①皮膚に折れ癖がついている
ほうれい線部分を軽く伸展させても、皮膚の表面に線が残る場合、「折れ癖」がついている可能性があります。
私たちは笑ったり話したりするたびに、ほうれい線部分の皮膚を繰り返し折り曲げています。
若いうちは真顔の状態で目立ちにくくても、皮膚のハリや弾力が低下すると、徐々に折れ目が残りやすくなります。
このような皮膚そのものの変化は、ストレッチで筋肉を伸ばすだけでは改善しにくい要素です。
特に「以前は笑ったときだけだったのに、最近は真顔でもしわの跡が残る」という場合は、ストレッチよりも折れ癖に対する対策法を考える必要があります。
▶︎[折れ癖とは?原因や対策法をみる>]
②頬のボリュームやたるみが影響している
頬の組織のボリュームや位置が変化すると、ほうれい線の上に厚みが生まれ、境目に影ができることで溝が深く見えることがあります。
顔のエクササイズによってむくみが引き、頬の見え方が変わる可能性はありますが、それだけで下がった組織が元の位置に戻るわけではありません。
「たるみが原因なら表情筋を鍛えれば持ち上がる」と単純には考えないほうがよいでしょう。
③骨格的に鼻の横がくぼんでいる
若い頃から鼻の横がくぼんでいる方や、ほうれい線の上部だけが特に深く見える方は、骨格が影響していることがあります。
このタイプは、ストレッチでは骨格そのものを変えられません。
毎日続けても鼻横の影が変わらない場合は、ストレッチ不足ではなく、そもそもストレッチでは変えられない原因がある可能性があります。
▶︎[鼻横のくぼみの治療法をみる>]
ほうれい線ストレッチはやりすぎない
ほうれい線を改善したいからといって、痛いほど顔を伸ばしたり、皮膚を強く引っ張ったりする必要はありません。
また、「たくさん動かせば早く消える」と考えて同じ表情を過剰に繰り返すこともおすすめしません。
一方で、「ストレッチをすると必ずほうれい線が悪化する」と断定できる十分な根拠もありません。
大切なのは、強く行えば効果が高くなるわけではないと理解することです。
特に、ほうれい線の溝を指で強く押し広げたり、皮膚を何度もこすったりする方法を積極的に行う必要はありません。
皮膚の折れ癖は、表面から引っ張れば消えるものではないためです。
ストレッチをするのであれば、痛みや違和感がない範囲にとどめましょう。
自宅でできることは「改善」より「予防」を意識する
セルフケアで大切なのは、「今あるほうれい線を消す」ことよりも、「これ以上深くなりにくい状態をつくる」ことです。
特に意識したいのは、紫外線対策と保湿です。
紫外線は皮膚の老化に関係するため、日焼け止めや帽子などを使った日常的な対策を続けることが重要です。
また、乾燥すると皮膚表面の細かなしわや折れ癖は目立ちやすくなります。
保湿によって深いほうれい線そのものが消えるわけではありませんが、乾燥を防ぎ、皮膚に折れ癖がつきやすくなるのを予防する意味があります。
▶︎[乾燥肌だとほうれい線が目立つ理由をみる>]
▶︎[4つの肌タイプ別スキンケア方法をみる>]
また、急激な体重減少によって頬の脂肪が減ると、以前よりほうれい線が目立つことがあります。
健康上必要な減量を避ける必要はありませんが、美容目的で極端な食事制限を行うことはおすすめしません。
▶︎[ほうれい線とダイエットの関係性についてみる>]
▶︎[ほうれい線のセルフケアについてより詳しくみる>]
ストレッチを続けても変わらないなら「方法」より「原因」を見直す
何か月ストレッチを続けてもほうれい線が変わらない場合、「もっと強くやる」「回数を増やす」と考える必要はありません。
原因と方法が合っていない可能性があるからです。
私はほうれい線を診察するとき、線の深さだけではなく、
真顔でも線が残っているか。笑ったときにどこが深く折れるか。
鼻の横に骨格的なくぼみがあるか。頬の厚みやたるみがどの程度影響しているか。
などといった点を確認します。
同じ「ほうれい線」でも、目立つ原因は一人ひとり異なります。
ストレッチで変化がなかったとしても、努力不足とは限りません。
ストレッチでは変えにくい原因があるだけかもしれません。
ほうれい線を改善するなら原因に合った治療を選ぶ
セルフケアでは改善しないほうれい線が気になる場合は、原因に合った治療を考えます。
当院では、皮膚の折れ癖が目立つほうれい線に対して、グロースファクター治療を行っています。
グロースファクターは、ヒアルロン酸のように製剤そのもののボリュームで溝を持ち上げる治療ではありません。
注入した部分のコラーゲン産生を促し、時間をかけて折れ癖を浅くしていくことを目的としています。
ただし、非常に深く刻まれたほうれい線を完全になくせるわけではありません。
そのため、当院では深くなってから治療するよりも、比較的浅い段階で改善と将来的な進行予防を考えることをおすすめしています。
一方、鼻横の骨格的なくぼみが強い場合は、ヒアルロン酸によるボリューム補正が選択肢になることがあります。
頬全体のたるみが強い場合は、ハイフや糸リフトなどのリフトアップ治療を検討することもあります。
ただし、リフトアップ治療だけで深く刻まれたほうれい線そのものを消すことは難しいと考えています。
このように、ほうれい線治療は「どの治療が一番優れているか」ではなく、「何が原因で目立っているか」によって選ぶことが重要です。
▶︎[ほうれい線治療の上手な選び方をみる>]
▶︎[ほうれい線のヒアルロン酸注入の詳細をみる>]
▶︎[リフトアップ治療ではほうれい線は改善しない?その理由をみる>]
ほうれい線ストレッチについてよくある質問
Q. ほうれい線ストレッチは毎日やっても大丈夫ですか?
痛みや違和感がなく、皮膚を強く引っ張らない方法であれば、無理のない範囲で行うことはできます。
ただし、毎日行えばほうれい線が消えるという十分な医学的根拠はありません。
回数や強さを増やせば効果が高くなるわけでもありません。
Q. 舌回し運動でほうれい線は消えますか?
舌回し運動でほうれい線が消えることを示す十分な医学的根拠はありません。
口周りの筋肉を動かす運動にはなりますが、皮膚の折れ癖や骨格的なくぼみを変えることはできません。
ほうれい線を消す目的で過度に繰り返す必要はないでしょう。
Q. 口の中からほうれい線を伸ばす方法は効果がありますか?
口の内側からほうれい線部分を押し広げても、皮膚の折れ癖や骨格そのものが改善するとは限りません。
一時的に伸びて見えても、長期的な改善につながるという十分な根拠はありません。
指を口の中に入れる方法では、衛生面にも注意が必要です。
Q. 何歳からほうれい線のケアを始めるべきですか?
明確な年齢の基準はありません。
セルフケアとしては、年齢にかかわらず紫外線対策や保湿を習慣にすることが大切です。
また、以前は笑ったときだけだったほうれい線が、真顔でも残るようになってきた場合は、皮膚に折れ癖が定着し始めている可能性があります。
気になる場合は、深くなる前に一度原因を確認するのも一つの方法です。
まとめ|ほうれい線ストレッチは過度に期待しないことが大切
顔のストレッチやエクササイズによって、頬のボリューム感など顔全体の印象が変わる可能性はあります。
ただし、現時点では「ストレッチを続ければほうれい線が消える」といえるほど十分な医学的根拠はありません。
ほうれい線には、皮膚の折れ癖、頬のボリュームやたるみ、骨格など、ストレッチでは変えにくい原因もあります。
ストレッチを試すのであれば、痛いほど伸ばしたり皮膚を強く引っ張ったりせず、無理のない範囲で行いましょう。
それ以上に大切なのは、紫外線対策や保湿によって皮膚を守り、ほうれい線が深くなる要因をできるだけ減らすことです。
それでも気になる場合は、「どのストレッチを追加するか」ではなく、「なぜ自分のほうれい線が目立っているのか」を一度考えてみてください。
原因が分かれば、セルフケアを続けるべきなのか、治療を検討するべきなのかも判断しやすくなります。
この記事が、ご自身に合ったほうれい線対策を考える際のご参考になれば幸いです。
この記事が、自然で納得のいく選択肢につながることを願っています。
当院はほうれい線治療を専門に行っており、メールでの無料カウンセリングも実施しております。
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