

著者
ほうれい線治療専門
東京リンクルクリニック
院長 沖津茉莉子
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「鏡を見るたびに、ふと気になるほうれい線。写真を撮っても目立つようになってきて、なんだか年齢を感じる…」
そんな風に思っていませんでしたか?
毎日仕事や育児で忙しくて、つい自分のケアが後回しになってしまいがち。
でも、ふとした瞬間に見てしまう鏡の中の自分に、ちょっとした失望や焦りを感じること、ありませんか?
そんなあなたにこそ知ってほしいのが、今すぐお手軽にほうれい線を改善する方法があるということです。
それが、ほうれい線のヒアルロン酸注入。痛みやダウンタウイムも少なく、短時間で自然な仕上がりが期待できるので、日常生活に負担をかけずに、あなたの「若々しい印象」を取り戻せるんです。
ただし、ヒアルロン酸には即効性という大きな魅力がありますが、定期的な追加注入が必要であることを覚えておいてください。
また、追加を繰り返すことで不自然な仕上がりになったり、血流障害や遅発性結節(しこり)のリスクも伴うため、その点を十分に理解した上で治療を受けることが重要です。
特に、ほうれい線は「鼻翼基部」という血管が密集した場所に重なるため、リスクが非常に高い部位です。
もし、より安全で自然な仕上がりを目指すのであれば、即効性はないものの、グロースファクターという治療法を選ぶことも一つの選択肢です。
この記事では、ほうれい線のヒアルロン酸注入によって期待できる効果、メリットやデメリット、リスクや費用も含めて、ほうれい線専門クリニックの院長である私が、わかりやすく徹底的に解説いたします。
最後まで読んで、ぜひ今後の治療選びの参考にしてみてください。
目次
ほうれい線のヒアルロン酸注入とは?
ほうれい線のヒアルロン酸注入は、加齢により深くなったほうれい線を改善するための注射による治療法です。
ヒアルロン酸は、もともと私たちの体内に存在する成分で、美容医療におけるヒアルロン酸製剤はこの成分を人工的に合成したものを主成分とし、透明のジェル状の物質から成ります。
皮膚内に注入することで、肌にハリや潤いをもたらし、不足したボリュームを補い、ほうれい線の凹みや溝が浅く目立たなくなる効果があります。
ヒアルロン酸の特徴
- 水分保持力が高い:
ヒアルロン酸は皮膚内の水分を吸収し保持する作用があります。
これにより、肌がふっくらとボリュームアップしハリや潤いが向上します。 - アレルギーが起きにくい:
もともと体内に存在する成分を主成分するため、アレルギー反応のリスクが低いとされています。 - 分解され吸収される:
ヒアルロン酸は徐々に皮膚内で分解され吸収されるため、効果は時間の経過と共に減弱していきます。
そのため、一定の効果を維持するには、定期的な追加注入が必要となります。
ほうれい線のヒアルロン酸注入の効果
ほうれい線治療としてのヒアルロン酸注入は、主に以下の3つのアプローチによって効果を発揮します。
①溝やくぼみを直接埋める
ほうれい線の溝や鼻の横のくぼみにヒアルロン酸を注入することで、凹んだ部分にボリュームが補充され、溝やくぼみが底上げされて浅く目立ちにくくなります。
これにより、ほうれい線全体の印象を改善し、目立たなくさせる効果があります。
②頬をリフトアップさせる
ほうれい線そのものではなく、頬の上部に少量のヒアルロン酸を注入することで、頬全体が引き上がるようなリフトアップ効果が得られます。
これにより、頬のたるみが軽度に改善し、顔全体の重心が上がることで若々しい印象を与えることができます。
▶︎[ヒアルロン酸による頬のたるみのリフトアップ方法を見る>]
③肌のキメや質感を整える
柔らかいヒアルロン酸を浅めに注入することで、水分保持作用が働き、肌のキメや潤いを改善する効果が期待できます。
これにより、ほうれい線周辺の小じわや乾燥が改善され、肌の質感が整い、ほうれい線の影が目立ちにくくなります。
ヒアルロン酸で改善しやすいほうれい線のタイプ
ほうれい線の状態によって、ヒアルロン酸注入が適しているかどうかが異なります。ここでは、ヒアルロン酸注入が効果的に改善できるほうれい線のタイプを紹介します。
1. 真顔で溝やくぼみが目立つほうれい線
真顔の状態で、ほうれい線の溝(凹み)や鼻の横のくぼみが目立つタイプのほうれい線には、ヒアルロン酸注入が効果的です。
ヒアルロン酸を注入することで、凹んだ部分にボリュームを補充し、溝やくぼみを浅くできます。
ただし、笑ったときにだけ現れる動的なほうれい線(=笑いじわ)に対してヒアルロン酸を注入した場合、真顔の状態ではボリュームが出過ぎて不自然な膨らみが生じることがあります。
このような場合には、ヒアルロン酸以外の治療(グロースファクターやボトックスなど)の方が適していることもあります。
2. 頬のたるみが軽度~中等度のほうれい線
頬のたるみが軽度〜中等度のほうれい線には、ヒアルロン酸の注入が適しています。
ただし頬のたるみが重度の場合、ヒアルロン酸だけで無理にほうれい線の影を目立たなくさせようとすると、注入量が過剰となり、膨らみすぎた不自然な仕上がりにつながる可能性があります。
そのため頬のたるみが強いケースでは、フェイスリフトなどのリフトアップ治療との組み合わせにより、たるみをある程度改善した上でヒアルロン酸を併用すると、顔全体のバランスが取りやすく注入量も少なく抑えられます。
3.「影」や「溝」タイプのほうれい線
ほうれい線は、「影タイプ」「溝タイプ」「線タイプ」の3つのタイプに分けられます。
- 影タイプ:頬のたるみが折り重なることで影が強調されるほうれい線
- 溝タイプ:頬のボリュームロスや皮膚のハリの低下が関与するほうれい線
これらのタイプのほうれい線には、ヒアルロン酸注入が効果的です。
ヒアルロン酸を注入することで、溝を埋め、影を軽減させ、ほうれい線を目立たなくできます。
一方、線タイプのほうれい線(皮膚の表面にしわが刻まれたタイプ)は、ヒアルロン酸での改善が難しいため、グロースファクター治療が唯一の効果的な方法です。
ほうれい線のヒアルロン酸注入のメリット・デメリット
ほうれい線のヒアルロン酸注入には、以下のメリット・デメリットがあります。
ほうれい線のヒアルロン酸注入のメリット
ヒアルロ酸注入の主なメリットは以下の通りです。
- 即効性があり、施術後から明確な効果がわかる
- 希望に応じた注入量の調整や、左右差の改善などの施術中に微調整が効きやすい
- 体内で吸収されるため効果が可逆的で、万が一仕上がりが気に入らない場合でも溶解注射による修正が効きやすい
ほうれい線のヒアルロン酸注入のデメリット
一方で、ほうれい線のヒアルロン酸注入には以下のようなデメリットもあります。
- 効果の持続期間が限られるため、メンテナンスの手間と維持費がかかる
- 過剰な注入や繰り返しの追加投与により口元が膨らんで見えるなど不自然な仕上がりになる
- ヒアルロン酸には吸水性・水分保持性があるため、顔が浮腫みやすくなる
ほうれい線のヒアルロン酸注入のリスク・ダウンタイム・失敗例
ほうれい線のヒアルロ酸注入を受ける場合、リスクや注意点も理解する必要があります。
特に注意すべきリスク|血流障害やしこり(遅発性結節)
- 血流障害:
注入したヒアルロン酸が血管を圧迫したり、誤って血管内に注入されると、血流障害を引き起こすことがあります。
特にほうれい線の起始部となる鼻の横(鼻翼基部)は、血管が密集するハイリスク部位であり、失明や皮膚壊死などの重大な合併症につながる可能性があります。
▶︎[ヒアルロン酸注入による失明の詳細をみる>]
▶︎[ヒアルロン酸注入による皮膚壊死の詳細をみる>] - しこり(遅発性結節):
施術後、数週間〜数ヶ月経ってから、注入部位にしこり(遅発性結節)が形成されることがあります。
これは慢性的な感染や免疫反応が原因となり、ヒアルロン酸溶解処置やステロイド投与などの対処が必要となります。
▶︎[遅発性結節についてさらに詳しくみる>]
施術後のダウンタイム
- 腫れ:
施術後、注射の刺激による軽度の腫れが数日続くことがあります。
また、ヒアルロン酸が皮膚の中の水分を吸収し膨張することで、1週間〜数週間ほど浮腫みが生じる場合があります。 - 内出血:
注射針による点状の内出血が生じることがあります。
通常はメイクでカバーできる程度で1週間ほどで消えますが、稀に青あざのように広がる可能性があり、完全に消退するまで数週間を要する場合もあります。
ほうれい線のヒアルロン酸注入でありがちな失敗
- 膨らみすぎる:
ヒアルロン酸を過剰に注入したり、追加投与を繰り返すことで、自然な仕上がりから外れ、不自然に膨らんで見えることがあります。特に、ほうれい線は笑ったときに皮膚が動くため、ヒアルロン酸がその動きに追従できず、部分的に盛り上がって見えることがあります。 - 凹凸ができる:
比較的硬いヒアルロン酸(架橋されていて皮膚に馴染み切らないもの)を、特に皮膚の浅い層に注入した場合、肌の表面に凹凸ができることがあります。 - 位置がズレる:
ほうれい線の溝とずれた位置にヒアルロン酸を注入してしまうと、効果が得られないばかりか、逆に溝が目立つ原因になることがあります。また、ほうれい線はよく動く部位であるため、製剤の種類や注入する深さによっては、注入後にズレてしまうこともあります。
ほうれい線に適したヒアルロン酸の選び方
ヒアルロン酸には様々な種類があり、硬さや適応箇所、持続期間がそれぞれ異なります。
ほうれい線治療でよく使用されるヒアルロン酸の選び方を、アラガン社のジュビダームシリーズを例に紹介します。
- 硬いヒアルロン酸(ボラックスなど):
鼻の横のくぼみ(鼻翼基部の陥没)など、骨格の低形成による凹みを補い、皮膚を深部から持ち上げる必要のあるほうれい線に適しています。 - やや硬いヒアルロン酸(ボリューマなど):
皮膚の下からしっかりとボリュームを出し皮膚を持ち上げる効果があるため、深いほうれい線やほうれい線の上半分を改善するのに適しています。 - やや柔らかいヒアルロン酸(ボリフトなど):
適度な弾力に加え、肌の馴染みの良さがあり、浅めのほうれい線やほうれい線の下半分の改善、またはナチュラルな仕上がりを目指す場合に向いています。 - 柔らかいヒアルロン酸(ボルベラなど):
肌に馴染みやすく、ごく浅いほうれい線をナチュラルに改善するのに適していますが、皮膚の表面に刻まれたしわを改善しようとすると凹凸がでやすいため、適応外となります。
ほうれい線の改善に必要な注入量と費用相場
ヒアルロン酸注入の費用は「1本あたりの価格」だけでなく、ほうれい線の状態に応じて必要となる注入量によっても大きく変わります。
実際には「自分のほうれい線にはどのくらい必要なのか」が分からないままカウンセリングに来られる方も多いため、ここで目安を紹介します。
軽度のほうれい線(片側0.3〜0.5cc程度)
- 両側で合計 1cc以内
- 料金目安:30,000〜100,000円程度
- 浅い溝や初期のほうれい線で、少量の注入で十分な改善が期待できるケース。
中等度のほうれい線(片側0.5〜1cc程度)
- 両側で合計 1〜2cc
- 料金目安:60,000〜200,000円程度
- 溝の深さや頬のたるみが進んでいる場合、片側1cc近く必要になることがあります。
重度のほうれい線(片側1cc以上)
- 両側で合計 2〜3cc以上
- 料金目安:90,000〜250,000円以上
- 鼻の横(鼻翼基部)から深く沈み込んだほうれい線や、頬の脂肪や皮膚の厚み(たるみ)が強く、溝に覆い被さっているようなケースでは複数本の注入が必要になることもあります。
- この場合リフトアップ治療との併用で、注入量を抑えつつ自然な改善を目指すことも可能です。
施術の流れ|カウンセリングからアフターケア(当院の場合)
1. 無料カウンセリング
院長がほうれい線の状態を診察し、お悩みやご希望を詳しく伺います。
その上でヒアルロン酸注入の効果やリスク、費用などを丁寧に説明し、最適な治療方法をご提案いたします。
ご不明点やご不安なことがあれば、遠慮なくご質問ください。
2. 同意書の記入・お会計
施術内容にご納得いただけましたら、同意書にご記入いただき、お会計させていただきます。
3. カルテ用の写真撮影
治療の前後の状態を比較するために、カルテ記録用の写真を撮影します。
無断で第3者に公開するようなことはいたしません。
4. 麻酔クリームの塗布
痛みを最小限にするため、施術部位に麻酔クリームを塗布し、麻酔が効くまで時間をおきます。
5. ヒアルロン酸注入
医師が丁寧に注入し、注入量や仕上がりを微調整いたします。
6. アフターケアと説明
施術後は内出血防止のため圧迫止血をおこない、術後のケア方法を説明します。
7. スムーズにご帰宅
止血を確認し、終了です。当日からメイクが可能です。
カウンセリングのみの場合は約40分〜1時間、当日の施術までご希望される場合はご来院から終了まで2時間前後のお時間を要します。
よくあるご質問FAQ
Q1. ほうれい線のヒアルロン酸注入の効果はいつから出てきますか?
A1. ヒアルロン酸注入は施術直後から変化を実感できる治療です。
ただしヒアルロン酸は「吸水性」があるため、施術後数日〜数週間は軽度のむくみや膨らみが出ることがあります。
その後、むくみが引いて自然な状態に落ち着きます。
「後から効果が出てくる」という経過は考えにくく、最初から効果が現れ、その後注入部位に馴染んで安定していくイメージです。
Q2. ほうれい線のヒアルロン酸注入の持ち(持続効果)はどのくらいですか?
A2. 使用する製剤や部位によっても異なりますが、数ヶ月〜2年程度の持続効果といえます。
ただし、ほうれい線はよく動く部位のため吸収がやや早く、平均すると数ヶ月〜約1年程度とお考えください。
また、ヒアルロン酸が半分ほど吸収された段階で物足りなく感じる方も多く、実際の体感としてはもう少し短く感じる場合もあります。
たとえば、アラガン社のボリューマは「最大2年持続」とされていますが、実際には半年〜1年ほどで物足りなく感じる方も多く、1年に1回程度のメンテナンス(追加注入)をされるケースが一般的です。
Q3. ヒアルロン酸注入をしましたが、ほうれい線が消えませんでした。原因は?
A3. ほうれい線の状態が構造的な溝や凹みでない場合、ヒアルロン酸注入をしても思ったような改善効果が得られない場合があります。
たとえば、皮膚の表面の浅いしわやすでに刻まれた折れ癖は、ヒアルロン酸によって深部からボリュームを出しても大きな変化は見られません。
また、頬の厚みやたるみが強い場合、ヒアルロン酸だけでは頬の厚みやたるみによる影を改善することが難しく、この場合はリフトアップ施術(フェイスリフトなど)との併用が必要になることがあります。
より自然に、長期持続なら、グロースファクターという選択肢も
ヒアルロン酸はその即効性が最大の魅力ですが、血流障害のリスクや定期的な追加投与が必要であることがネックとなります。
より安全で長期的な持続を求める方には、同じ注射治療法である「グロースファクター治療」が選択肢として有効です。
1. 即効性はないが、時間をかけてじわじわと根本改善
グロースファクター(成長因子)をほうれい線に注入することで、皮膚のコラーゲン生成が促進し、肌のハリや弾力が向上することで、しわが根本的に浅く目立たなくなる治療法です。
ヒアルロン酸のような即効性はなく、施術後1〜6ヶ月かけて徐々に効果が出てきますが、1回の治療による効果は数年〜10年以上持続するため、定期的なメンテナンスの必要性がありません。
2. 血流障害のリスクがない
また、ヒアルロン酸はジェル状の固体製剤であるのに対し、グロースファクターは液体製剤であるため、血管塞栓や血管圧迫による血流障害のリスクがほぼゼロであると言えます。
そのため、血管が密集する鼻の横(鼻翼基部)にも安全に注入が可能です。
3. ヒアルロン酸で改善しきれない“刻まれじわ”や“笑いじわ”にも効果的
ヒアルロン酸では改善が難しいとされる、皮膚の表面に刻まれたしわや、笑ったときに目立つ動的なほうれい線(=笑いじわ)にも、グロースファクターは効果的です。
また、現状の改善だけでなく、笑ったときのしわの食い込みを浅くすることで、将来的に折れ癖が深く刻まれるのを予防する効果も期待できます。
まとめ|ヒアルロン酸は即効性が最大の魅力、リスクの理解も大事
ほうれい線のヒアルロン酸注入は、その即効性が魅力で、短期間で自然で若々しい印象を取り戻す効果的な治療法です。
しかし、定期的な追加注入が必要であり、過剰注入やリスクについても十分に理解することが重要です。
もし、より自然で長期的な効果を求めるのであれば、即効性はないものの、グロースファクター治療が有効です。
これにより、ほうれい線の予防や改善がじっくりと進み、より自然で持続的な結果を得ることができます。
最適な治療法を選ぶためには、カウンセリングで自身の状態をしっかりと理解し、最適な方法を選ぶことが大切です。
当院はほうれい線治療を専門に行っており、メールでの無料カウンセリングも実施しています。
いただいたメールには、この記事を執筆した院長がすべて丁寧にご返信いたしますので、ほうれい線でお悩みの方はぜひお気軽にご相談ください。