
著者
ほうれい線治療専門
東京リンクルクリニック
院長 沖津茉莉子
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「首のストレッチをすると、ほうれい線が薄くなる。」
「肩甲骨をほぐせば顔がリフトアップする。」
「猫背を治せば、ほうれい線は消える。」
SNSやYouTubeでは、このようなストレッチを紹介する動画をよく見かけます。
実際に毎日続けている方も多いのではないでしょうか。
できれば美容医療に頼らず、自分で改善したいですよね。
私は美容医師として14年以上診療を続け、現在はほうれい線治療を専門に診療しています。
診察では、「ストレッチを毎日続けているのに変わらない」「SNSで見た方法は本当に効果がありますか?」といったご相談を受けることも少なくありません。
ほうれい線は見た目が似ていても、その原因は皮膚の折れ癖、頬のボリュームの変化、骨格など、一人ひとり異なります。
そのため、「誰にでも効くストレッチ」が存在するとは考えにくいのです。
だからこそ大切なのは、「どのストレッチをするか」を探すことではなく、「なぜ自分のほうれい線が目立っているのか」を知ることです。
しかし結論から言うと、首や肩などのストレッチだけで、ほうれい線そのものが改善する可能性は高くありません。
もちろん、ストレッチに意味がないと言いたいわけではありません。
姿勢が良くなったり、顔のむくみが軽くなったりすることで、顔全体がすっきり見えることはあります。
ただ、それと「ほうれい線が改善すること」は別の話です。
ほうれい線は、皮膚の折れ癖や頬のボリューム、骨格など、顔そのものの構造によってできることが多いためです。
この記事では、SNSで紹介されているストレッチに医学的な根拠はあるのか、本当に改善が期待できるケースはあるのか、そしてストレッチより優先したい対策について、美容皮膚科医の立場から解説します。
読み終えていただければ、ストレッチを続けるべきか、それとも別の方法を考えるべきか、ご自身に合った選択がしやすくなるはずです。
ストレッチだけでほうれい線を改善するのは難しい
ストレッチだけで、すでに目立っているほうれい線を改善することは難しいと考えています。
ストレッチは主に首、肩、胸、背中などへアプローチする方法です。
一方、ほうれい線は次のような顔の変化によって目立ちます。
・表情によって皮膚が繰り返し折れ曲がる
・加齢により皮膚のハリや弾力が低下する
・頬の脂肪や組織の位置が変化する
・骨格的に鼻の横がくぼんでいる
つまり、ストレッチで動かしている場所と、ほうれい線が生じている原因が一致していないことが多いのです。
たとえば、首や肩を伸ばして姿勢が良くなっても、真顔で残っている皮膚の折れ癖が消えるわけではありません。
骨格による鼻横のくぼみも、ストレッチでは変えられません。
ストレッチを行うこと自体は悪くありませんが、「ほうれい線を消す方法」として過度に期待しないことが大切です。
では、なぜストレッチでほうれい線が改善すると言われるのか

ストレッチによって、実際に顔の印象が変わることはあります。
猫背が改善すると、前に突き出ていた頭の位置が整い、顔が正面を向きやすくなります。
巻き肩が改善すると胸が開き、首が長く見えることもあります。
また、姿勢や撮影角度、表情の変化によって、フェイスラインがすっきりしたように見える場合もあるでしょう。
その結果、「顔が若返った」「ほうれい線も薄くなった気がする」と感じることがあります。
ただし、このとき変わっているのは、顔全体の見え方である可能性があります。
姿勢が整ったことで影の入り方が変わったり、正面から見た輪郭がすっきりしたりして、ほうれい線が目立ちにくく見えているのです。
これは、皮膚の折れ癖や骨格そのものが改善したこととは異なります。
ストレッチ前後の写真を比較する場合も、姿勢、顔の角度、照明、表情が少し違うだけで、ほうれい線の見え方は大きく変わります。
そのため、写真上で薄く見えたからといって、ほうれい線そのものが改善したとは限りません。
ストレッチでほうれい線が改善する医学的根拠は十分にない
現時点では、首や肩、肩甲骨などのストレッチによって、ほうれい線そのものが改善するといえる十分な医学的根拠はありません。
顔のエクササイズについては、小規模な研究が行われています。
2018年に報告された研究では、40~65歳の女性が20週間にわたって顔のエクササイズを行い、研究を完了した16人について、頬のふっくら感に変化が認められました。
ただし、対象者が少なく、比較対象となる対照群もありませんでした。
また、この研究で主に評価されたのは頬のボリューム感であり、「ほうれい線が改善する」と証明した研究ではありません。
顔のエクササイズと、首や肩など体のストレッチも同じものではありません。
したがって、「首を伸ばせばほうれい線が消える」「肩甲骨をほぐせばほうれい線が改善する」とまではいえないのが現状です。
ストレッチは、姿勢改善や健康維持を目的に行うものとしてはよいでしょう。
ただし、ほうれい線治療の代わりになる方法としては考えないほうがよいと思います。
参考文献:Association of Facial Exercise With the Appearance of Aging
JAMA Dermatology. 2018;154(3):365-367.
ストレッチでは改善しにくいほうれい線は3タイプ
ほうれい線の原因が筋肉以外にある場合、ストレッチを続けても大きな変化は期待しにくくなります。
特に、次の3タイプはストレッチだけで改善することが難しいと考えています。
①皮膚に折れ癖が刻まれている

真顔でもほうれい線が線として残っている場合は、皮膚に折れ癖が定着している可能性があります。
私たちは笑ったり話したりするたびに、ほうれい線の部分の皮膚を繰り返し折り曲げています。
若いうちは真顔に戻ると線も目立ちにくくなりますが、皮膚のハリや弾力が低下すると、徐々に折れ目が残りやすくなります。
これは、紙を何度も同じ場所で折ると、折り目が残るのと少し似ています。
首や肩をどれだけ伸ばしても、皮膚に定着した折れ目そのものへ直接アプローチすることはできません。
「以前は笑ったときだけだったのに、最近は真顔でも線が残る」という場合は、皮膚の折れ癖が関係している可能性があります。
②頬のボリュームやたるみが影響している

年齢とともに頬の脂肪や組織のボリューム、位置が変化すると、ほうれい線の上側に厚みが生まれます。
その境目に影ができることで、ほうれい線が深く見えることがあります。
姿勢が改善して顔が正面を向きやすくなれば、見え方が変わることはあります。
しかし、ストレッチだけで頬の組織が元の位置へ戻るわけではありません。
「たるみには筋肉を鍛えればよい」と単純に考えることもできません。
顔の筋肉を動かすことと、下がった皮下組織を元の位置に戻すことは別だからです。
③骨格によって鼻の横がくぼんでいる

若い頃から鼻の横がくぼんでいる方や、ほうれい線の上部だけが特に深く見える方は、骨格が影響している可能性があります。
鼻の横の土台が低いと、その部分に影ができ、ほうれい線の始まりが深く見えます。
骨格そのものは、首や肩のストレッチでは変わりません。
若い頃から同じ部分に影がある場合は、加齢や姿勢だけが原因ではない可能性があります。
この3タイプに共通するのは、主な原因が首や肩の筋肉ではないことです。
そのため、ストレッチを続けても改善しにくいのです。
▶︎[鼻横のくぼみの治療法をみる>]
▶︎[ほうれい線の種類・タイプ分類についてみる>]
ほうれい線対策でストレッチより優先したいこと

ストレッチは、姿勢改善や体の健康を目的に続けても問題ありません。
ただし、ほうれい線の予防を考えるのであれば、ストレッチより優先したいセルフケアがあります。
紫外線対策を続ける
紫外線は、皮膚のハリや弾力の低下に関係します。
日焼け止めを使用する、帽子や日傘を活用するなど、日常的に紫外線を避けることは、将来的な皮膚の老化を予防するうえで大切です。
紫外線対策だけで、すでにできた深いほうれい線が消えるわけではありません。
ただし、皮膚の状態がさらに低下し、折れ癖が深くなるのを予防するためには重要です。
保湿で乾燥による折れ癖を防ぐ
保湿で深いほうれい線そのものが消えるわけではありません。
しかし、乾燥すると皮膚表面の細かなしわや折れ目が目立ちやすくなります。
保湿は、皮膚の状態を整え、乾燥によって折れ癖がつきやすくなるのを防ぐためのケアとして大切です。
▶︎[乾燥肌だとほうれい線が目立つ理由をみる>]
▶︎[4つの肌タイプ別スキンケア方法をみる>]
急激なダイエットを避ける
短期間で大きく体重を落とすと、頬の脂肪が急に減り、ほうれい線が目立つことがあります。
体重は減ったのに、頬がこけたり、顔だけ疲れて見えたりすることもあります。
健康上必要な減量を避ける必要はありません。
ただし、美容目的で減量する場合は、極端な食事制限によって短期間で体重を落とすことはおすすめしません。
▶︎[ほうれい線とダイエットの関係性についてみる>]
▶︎[ほうれい線のセルフケアの総まとめをみる>]
ストレッチを続けても変わらないのは努力不足ではない

毎日ストレッチをしているのに、ほうれい線が変わらない。
そのように感じている方もいると思います。
しかし、それは努力不足だからではありません。
そもそも、そのほうれい線はストレッチでは改善しにくい原因なのかもしれません。
同じように見えるほうれい線でも、原因は一人ひとり異なります。
皮膚の折れ癖が強い方もいれば、骨格によるくぼみが強い方もいます。
頬のボリュームやたるみが影響している方もいます。
実際には、これらの原因が複数重なっていることも少なくありません。
原因が違えば、必要な対策も変わります。
ストレッチで変化がなかったからといって、さらに回数を増やしたり、痛みを感じるほど強く行ったりする必要はありません。
「どのストレッチをすればよいか」ではなく、「なぜほうれい線が目立っているのか」を見直すことが大切です。
ほうれい線を改善するなら原因に合った方法を選ぶ
セルフケアだけでは改善しないほうれい線が気になる場合は、原因に合った治療を検討します。
ほうれい線の治療は、「どの治療が一番優れているか」ではなく、「現在の原因に合っているか」で選ぶことが重要です。
1. 皮膚の折れ癖が目立つ場合
真顔でも残る浅い折れ癖には、皮膚のコラーゲン産生を促す治療が選択肢になります。
当院では、このようなほうれい線に対してグロースファクター治療を行っています。
グロースファクターは、製剤そのもののボリュームで溝を持ち上げる治療ではありません。
注入した部分のコラーゲン産生を促し、時間をかけて折れ癖を浅くすることを目的としています。
ただし、深く刻まれたほうれい線を完全になくせるわけではありません。
そのため、折れ癖が深くなる前に治療を検討することが大切です。
▶︎[グロースファクター治療の詳細をみる>]
▶︎[ほうれい線のグロースファクター治療の詳細をみる>]
2. 骨格的なくぼみが強い場合
鼻の横の骨格的なくぼみが強い場合は、ヒアルロン酸によるボリューム補正が選択肢になることがあります。
一方で、鼻の周囲は血管塞栓などの重大な合併症に注意が必要な部位でもあるため、当院ではグロースファクターによる自然な改善をご提案することもあります。
骨格やくぼみの程度、安全性などを総合的に判断し、一人ひとりに適した治療法を選択することが大切です。
▶︎[ほうれい線のヒアルロン酸注入の詳細をみる>]
▶︎[ヒアルロン酸の安全性についてみる>]
▶︎[鼻の横のグロースファクター治療についてみる>]
3. 頬全体のたるみが強い場合
頬全体のたるみが影響している場合は、ハイフなどの引き締め治療を検討することがあります。
ただし、ハイフは顔全体やフェイスラインの引き締めを目的とする治療です。
皮膚に定着した折れ癖や、骨格による鼻横のくぼみを直接埋める治療ではありません。
そのため、ハイフだけで深いほうれい線を消すことは難しいと考えています。
▶︎[ハイフでほうれい線は消えない理由をみる>]
▶︎[リフトアップ治療だけでほうれい線は改善しにくい理由みる>]
このように、ほうれい線の原因によって適した方法は異なります。
治療名から選ぶのではなく、何が原因で目立っているのかを確認してから選ぶことが大切です。
まとめ|ストレッチで変わる印象と、ほうれい線は分けて考えましょう

ストレッチによって姿勢が改善し、顔全体がすっきり見えることはあります。
しかし、それは必ずしもほうれい線そのものが改善したことを意味するわけではありません。
ほうれい線には、皮膚の折れ癖、頬のボリュームや位置の変化、骨格など、顔の構造が関係しています。
これらを首や肩のストレッチだけで変えることはできません。
ストレッチを続けても変化がない場合は、やり方や努力が足りないのではなく、原因と対策が合っていない可能性があります。
「どのストレッチをするか」ではなく、「なぜ自分のほうれい線が目立っているのか」を考えてみてください。
原因が分かれば、セルフケアを続けるべきか、治療を検討するべきかも判断しやすくなります。
この記事が、ご自身に合ったほうれい線対策を考える際のご参考になれば幸いです。
ほうれい線とストレッチについてよくある質問
Q. 首のストレッチでほうれい線は改善しますか?
姿勢や顔全体の見え方が変わる可能性はあります。
ただし、首のストレッチによって皮膚の折れ癖や骨格が変わるわけではありません。
ほうれい線そのものが改善することを示す十分な医学的根拠もありません。
Q. 肩甲骨はがしで顔はリフトアップしますか?
肩周りが動きやすくなり、姿勢が整うことで、顔や首がすっきり見えることはあります。
ただし、下がった頬の組織を元の位置へ戻したり、皮膚の折れ癖を改善したりする治療ではありません。
見た目の印象の変化と、ほうれい線の改善は分けて考える必要があります。
Q. 猫背を改善すればほうれい線は消えますか?
猫背を改善すると、顔の角度や首の見え方が変わり、顔全体の印象がよくなる可能性はあります。
しかし、皮膚の折れ癖や鼻横の骨格的なくぼみまでは変わりません。
姿勢改善は健康や見た目のためには大切ですが、ほうれい線を消す方法とはいえません。
Q. SNSで紹介されているストレッチを続けてもよいですか?
痛みや違和感がなく、健康や姿勢改善を目的に無理のない範囲で行うのであれば、続けてもよいでしょう。
ただし、ほうれい線を消すために回数や強度を増やす必要はありません。
変化がない場合は、ストレッチ不足ではなく、別の原因が関係している可能性があります。
ご自身のほうれい線の原因が分からない方へ

「ストレッチを続けても、ほうれい線が変わらない。」
「皮膚の折れ癖なのか、骨格なのか、たるみなのか分からない。」
そのような方は、一度ほうれい線の原因を確認してみることをおすすめします。
東京リンクルクリニックでは、皮膚、骨格、頬のボリュームなど複数の視点からほうれい線を診察し、現在の状態に合った治療をご提案しています。
お寄せいただいたご相談メールには、本記事を執筆している院長の私がすべて丁寧にご返信いたします。
ほうれい線でお悩みの方は、どうぞお気軽にご相談ください。










