著者
ほうれい線治療専門
東京リンクルクリニック
院長 沖津茉莉子
ドクター紹介はこちら
ほうれい線が目立つようになると、鏡を見るたびに「少し老けたかも…」と感じる方は少なくありません。
ほうれい線はその人の見た目の印象を大きく左右します。
できれば無いほうが、若々しくはつらつとした印象を与えるだけでなく、自信にもつながりポジティブな気持ちになれるものです。
では、ほうれい線はなぜ目立ってくるのでしょうか?
その原因は「皮膚の老化」「頬のたるみ」「骨格や筋肉の動き」の3つが複雑に絡み合っています。
そして、これらの要因に対処するには、美容医療とセルフケアの両方を組み合わせることが鍵です。
この記事では、ほうれい線の原因を詳しく紐解き、効果的な治療法をご紹介します。
ほうれい線に負けない自信に満ちた笑顔を手に入れましょう。
目次
ほうれい線が目立つ3つの原因
ほうれい線が目立つ主な原因は、
1. 皮膚の老化
2. 頬のたるみ
3. 骨格や筋肉の動き
以上の3つです。
1. 皮膚の老化
皮膚が老化するとハリや弾力が低下し、ほうれい線が目立ちやすくなります。
皮膚の構造は表面から表皮、真皮、皮下組織となっており、この中でも真皮の老化がほうれい線が目立つことの大きな原因になります。
コラーゲンやエラスチンの低下
真皮にはコラーゲンが網目のように張りめぐらされており、エラスチンとよばれる物質がコラーゲン同士をつなぎ合わせて補強し、網目の隙間はヒアルロン酸というゼリー状の物質で満たされています。
これらの物質によって皮膚のハリや弾力が保たれているのです。
しかし、コラーゲンやエラスチンは加齢や紫外線の影響によって減少するため、年齢と共に皮膚のハリや弾力も低下し、ほうれい線が目立ちやすくなります。
例えば、弾力のあるビニールの下敷きは折り曲げても跡がつきませんが、弾力のない厚紙は折り曲げると元に戻してもしわが残りますよね。
それと同じで、ハリや弾力の低下した皮膚は口元を動かすたびに、しわの跡が「ほうれい線」として刻まれやすくなるのです。
皮膚が老化する要因には、加齢、紫外線、乾燥、喫煙、ストレス、糖質の摂りすぎなどがあげられます。
2. 頬のたるみ
頬のたるみによってもほうれい線が目立ちやすくなります。
メーラーファットの下垂
ほうれい線のすぐ隣には頬があり、頬の中でもほうれい線の上にあたる部分には脂肪の組織が存在し、メーラーファットとよばれています。
このメーラーファットが下垂することが頬のたるみにつながり、ほうれい線が深く目立つ原因になります。
メーラーファットが下垂する主な要因には、
・長期にわたる重力
・頬の脂肪量の増加
・骨の萎縮や靭帯の劣化
などがあります。
3. 骨格や筋肉の動き
生まれつきの顔の骨格や、筋肉の特徴的な動きによってほうれい線が目立つ場合もあります。
生まれつきの骨格
中顔面とよばれる目の下からほうれい線のあたりの頬の部分が引っ込んでいたり、口元が前に出ている場合、頬と口元との高低差が生じてほうれい線が目立ちやすくなります。
逆に頬骨の位置が高い場合、頬が大きく張り出し、口元と頬との境目が目立つようになり、ほうれい線として認識されやすくなります。
表情筋の動き
笑ったときの筋肉の動きによってほうれい線が目立つ場合もあります。
これは、笑うときや話すときに、上唇を上方に引く筋肉(上唇鼻翼挙筋・上唇挙筋)を大きく動かすクセがある場合があてはまります。
実際には、これらの様々な原因が単独ではなく、複雑に関与してほうれい線が目立つようになります。
ほうれい線の治療法|美容医療の最前線
では、このようなことが原因で目立っているほうれい線に対してどのような対策を立てるべきでしょう。
美容医療とセルフケアの併用が大事、治療で最適なのは注入系
ほうれい線対策には、美容医療とセルフケアの併用が効果的です。
美容医療では、グロースファクターやヒアルロン酸の注入系の治療によって最も効率的な改善が期待できます。
一方で、保湿や紫外線対策などの日々のセルフケアを習慣づけることで、治療の効果を維持し、ほうれい線の進行を予防できます。
この二つを組み合わせることで、若々しい印象を長く保つことが可能です。
まずは、美容医療の観点から、ほうれい線に対する治療法をご紹介します。
グロースファクター治療
グロースファクターとは、皮膚のコラーゲンやエラスチンを増やす作用のある物質です。
これをほうれい線に直接注入することで徐々に皮膚が再生し、ほうれい線が目立たなくなります。
注射後の腫れなどのダウンタイムはほとんどなく、1回の治療で数年以上の効果が得られるため、何度も治療をくり返し受ける必要はありません。
ただし、即効性がなくじわじわと効果が出てくるため、効果の実感を得るまでには約1〜3ヶ月、長いと6ヶ月ほどかかります。
また、同じ「グロースファクター」という名前の治療でも、クリニックによって使用する製剤や注入方法が異なり、仕上がりや安全性にも差があるため、クリニックの選定が非常に重要です。
ヒアルロン酸注入
ほうれい線の溝や凹みにヒアルロン酸を直接注入することで、お肌がふっくらしほうれい線が目立たなくなります。
注射後すぐに効果がわかり、ダウンタイムもほとんどないのでお手軽に受けられます。
ヒアルロン酸は皮膚の中でゆっくり分解され吸収されていくため、持続効果は数ヶ月〜2年ほどです。
そのため定期的に治療を受ける必要があります。
また、血流障害、感染、アレルギー反応、しこりなどのリスクも伴うため治療には注意が必要です。
ボトックス治療
ボトックスには筋肉の過剰なはたらきを抑える作用があります。
前述のとおり、笑ったときにほうれい線が目立つ場合は、上唇を上に引く筋肉(上唇鼻翼挙筋・上唇挙筋)の動きが強いため、この筋肉にボトックスを打つことでほうれい線が深く目立つのを防止できます。
ただし、無表情のときにもほうれい線が気になるという場合には、ボトックスは効果がありません。
レーザー治療(ハイフ・高周波など)
ハイフや高周波の機械で皮膚に熱を照射することで、たるんだ組織が引き締まり、コラーゲン生成がうながされて肌にハリが出る治療です。
機械の種類にもよりますが、肌の一時的な発赤や乾燥以外には、ダウンタイムはほとんどない場合が多く、気軽に受けやすい治療といえます。
ただし、1回の治療で得られる効果は数ヶ月程度と短く、他の治療に比べて効果もマイルドであるため、定期的に治療を受ける必要があります。
また、機械による治療は、ほうれい線に対しては予防としては有効ですが、目に見えた改善効果は得にくいため、ほうれい線がすでに目立っているような場合は、他の治療と併用するのが良いでしょう。
糸リフト(スレッドリフト)
表面にコグ(小さなトゲ)の付いた医療用の吸収糸を皮膚の中に挿入し、頬のたるみを引き上げる治療です。
糸が吸収される過程で皮膚の内部にコラーゲンが生成され、肌のハリの向上やたるみの予防につながります。
効果の持続期間は、糸の種類や入れる本数によっても異なりますが、多くの場合数ヶ月〜1年程度です。
メスを使用しないため傷できず、腫れや内出血のダウンタイムも比較的少ないですが、一時的に皮膚にひきつれや凹凸が生じたり、ごく稀に神経損傷や感染のリスクも伴います。
ほうれい線の原因となるメーラーファットが下垂している場合は、その部分を糸で引き上げることでほうれい線を目立たなくさせることが可能ですが、比較的戻りやすい部位でもあるため、長期的に見ると満足度はあまり高くないかもしれません。
ほうれい線のセルフケア|予防や維持に不可欠
日々のスキンケア
保湿がすべて
保湿はスキンケアの基本でありながら、多くの方が十分におこなえていない重要なポイントです。
皮膚が乾燥すると、小じわが増えやすくなるだけでなく、ほうれい線が目立つ原因にもなります。
スキンケアは順序が大事
効果的に保湿をおこなうためには、スキンケアの正しい順序を守ることが大切です。
洗顔後、まずは化粧水で肌に水分を補給し、次に乳液で油分を加えてバランスを整えます。
その後クリームで水分を閉じ込めることで、保湿効果を最大限にできます。
基礎化粧品がしっかりしていれば、美容液や専用クリームに頼る必要はありません。
紫外線対策
紫外線は、ほうれい線をはじめ、しわ、しみ、たるみなど肌老化を引き起こす大きな要因です。
適度な紫外線はビタミンDの生成に必要ですが、日常生活を送る上で不足する心配はほとんどありません。
紫外線を遮断する基本的な対策を
外出する際は、帽子や日傘、サングラスを活用して紫外線を防ぎましょう。
また、日焼け止めをこまめに塗り直すことが大切です。
UVAとUVBに油断は禁物
紫外線には、肌の赤みや色素沈着を引き起こすUVBと、しわやたるみの原因となるUVAの2種類があります。
特にUVAは、季節や天候に関係なく降り注ぎ、窓ガラスを通り抜けて屋内にも到達します。
そのため、屋内にいるときでも日焼け止めを使用する習慣をつけることが、肌老化を防ぐカギとなります。
表情筋トレーニング
有効だけどやりすぎ注意
ほうれい線周囲の筋肉を鍛えることで、表情筋の衰えによるたるみの予防をはかるものです。
費用もかからず、自宅でも簡単におこなえるため、前述した中では最もお手軽な方法です。
ただし、効果の確実さに欠けることや、やり方を間違えると皮膚の負担になり、逆にほうれい線がより目立つ可能性もあるため、安易におすすめはできません。