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ヒアルロン酸治療とは?
ヒアルロン酸は、もともと私たちの体の中に存在する物質で、皮膚のハリや弾力を保つ役割を果たしています。
美容医療においては、主にしわ治療として使用されることが多く、透明のジェル状の製剤を皮膚に注入することで、注入部位がふっくらし、しわが目立たなくなる効果を得られます。
ヒアルロン酸治療のメリット・デメリット
注入直後から効果を実感
ヒアルロン酸はジェル状で注入した箇所にとどまり、製剤のボリュームによって皮膚を内側から持ち上げることで効果を発揮します。
そのため、注入直後から効果が得られることと、施術中も仕上がりの微調整が可能です。
ダウンタイムが少ない
定期的なメンテナンスが必要
ヒアルロン酸は徐々に皮膚内で吸収されるため、効果を持続するには定期的な追加注入が必要です。
効果の持続期間は製剤や注入量、部位によって異なりますが、平均して数ヶ月~2年程度です。
注入しすぎによるリスク
ヒアルロン酸の注入部位とその効果
ほうれい線
小鼻の脇から口元に伸びるしわにヒアルロン酸を注入することで、影が目立たなくなります。ただし、小鼻の脇は血流障害のリスクが高いため、特に注意が必要です。
ゴルゴライン
目頭の下あたりから頬の中央に向かって伸びるしわや影はヒアルロン酸で改善可能です。ただし、靭帯の影響や深部組織との癒着が強い場合、他の治療が適する場合もあります。
マリオネットライン
口角から下顎にかけてのしわは、軽度ならヒアルロン酸で改善できます。深い場合は糸リフトやレーザー治療の併用が必要です。
目の下
目の下のくぼみをヒアルロン酸で補うことで、くまや疲れた印象をできます。ただし、ヒアルロン酸が青く透けて見えたり(チンダル現象)、眼窩脂肪の突出が悪化するリスクもあり注意が必要です。
額・こめかみ
ヒアルロン酸でなめらかで若々しい印象に仕上げることができます。しわの改善には場合によってはボトックスの併用が効果的です。
頬のこけ
やつれた印象を改善し凹凸のない輪郭に整えることが可能です。頬骨の下に注入することで、頬骨の悪目立ちを抑えたり、フェイスラインをすっきり見せる効果も得られます。
鼻根・鼻背
鼻筋を通したり鼻を高く見せる効果があります。ただし、鼻先は血流障害のリスクが高いため、注入は推奨されません。
あご
輪郭を整え、横顔を美しく見せます。正面からのVラインや横顔のEラインを形成するのに適しています。
涙袋
目元を強調し、可愛らしい印象にする効果があります。ただし、過剰な注入による不自然さや小じわのリスクには注意が必要です。
唇
艶やかな唇を形成し、人中を短く見せる効果があります。過剰な注入は不自然な印象につながるため注意が必要です。
起こりうるリスク・副作用
腫れ
注射後、軽度の腫れが2〜3日続くことがあります。また、ヒアルロン酸が皮膚の中で膨張することで、1〜数週間ほど軽度のむくみを感じることがあります。
内出血
注射後、内出血が起こることがあります。通常は1〜2週間ほどで徐々に吸収され、自然に消えていきます。
痛み・違和感
治療後数日間、軽度の痛みを伴うことがあります。また、ヒアルロン酸が皮膚になじむまでの約1〜数週間、重さやつっぱり感などの違和感を感じる場合があります。
左右差
顔はもともと左右非対称であるため、注入時にバランスを調整しますが、完全に左右対称の仕上がりを実現することは難しい場合があります。
凹凸
稀に注入部位の皮膚表面に凹凸や段差が生じることがあります。多くの場合、数週間で目立たなくなります。
非常に稀なリスク・副作用
血流障害
注入したヒアルロン酸が血管を圧迫したり、誤って血管内に注入されると、血管塞栓が起こり血流障害を引き起こすことがあります。
注入部位によっては失明や皮膚壊死などの重大な合併症につながるため、ヒアルロン酸治療で最も注意が必要なリスクです。
感染
注入時に皮膚の常在菌が針穴から侵入すると感染が発生することがあります。
軽度の感染では一時的なニキビ程度で済みますが、稀に腫れや赤み、痛みを伴う重度の感染に進行することがあります。
この場合、ヒアルロン酸溶解剤や抗生剤での治療が必要です。
また、感染が慢性化すると細菌がヒアルロン酸の周囲に膜(バイオフィルム)を形成し、しこりや炎症を引き起こす可能性があります。
アレルギー反応
ヒアルロン酸自体はアレルギー反応を起こしにくい物質ですが、稀に製剤中の不純物に対してアレルギー反応が生じる場合があります。
また、注入後に遅発性のアレルギー反応が続くと、しこりとなって残ることがあります。