

著者
ほうれい線治療専門
東京リンクルクリニック
院長 沖津茉莉子
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「ヒアルロン酸?それとも糸リフト?……ほうれい線、何で治すのが一番いいんだろう?」
鏡を見ながら、そんなふうに迷ったことはありませんか?
多くの方が「なんとなく気になるけど、どの治療が自分に合っているのかわからない」と感じたまま、なかなか一歩を踏み出せずにいます。
実は、ほうれい線の治療は“しわを埋める”のではなく、“肌そのものを再生させる”アプローチこそが、本質的な改善につながります。
その代表が「グロースファクター治療」。
真皮層でコラーゲンやエラスチンを増やすこの治療は、ヒアルロン酸や機械治療では届かない“構造の深部”に働きかけ、自然な若返りを目指せる方法です。
この記事では、美容皮膚科医の視点から、ほうれい線治療の選び方をわかりやすく解説しながら、それぞれの方法の効果・適応・持続性を比較していきます。
「今の自分に本当に合った治療って、なんだろう?」
そんな方のための、正しい選択のヒントになれば幸いです。
目次
ほうれい線はなぜできる?|構造的な原因と治療の必要性
ほうれい線は単なる“肌表面のしわ”ではなく、顔全体の構造変化によって生じる皮膚の「折れ目」です。
その仕組みを理解することが、正しい治療の第一歩です。
加齢によるコラーゲンやエラスチンの減少
年齢とともに、真皮内のコラーゲンやエラスチンといった弾力を支える成分は減少し、皮膚のハリや弾力は徐々に失われていきます。
皮膚が菲薄化し強度が低下することで、上から下がってくる頬のたるみの重みに耐えられなくなり、結果として皮膚が折れ曲がり、ほうれい線の溝が形成されます。
骨格や脂肪の変化によるたるみ
顔の骨は加齢により少しずつボリュームを失い、特に眼窩周囲や鼻翼基部、上顎骨などの萎縮によって顔の組織を支える土台が不安定になり、ほうれい線の形成に大きく関わります。
また、頬部の脂肪(特にメーラーファット)は年齢とともに重力に引かれて下垂し、ほうれい線に沿って重みをかける形で溝を深めます。
これらの脂肪の下方移動や骨の萎縮は、単に皮膚だけを治療しても改善できない構造的な変化です。
表情筋のくり返しの動作
日常的な笑顔や会話などで使われる表情筋、特に口輪筋や頬筋の動作により、皮膚がくり返し折れ曲がり口元に「折れ癖」を形成します。
若年層ではこれは一時的な表情じわに留まりますが、年齢を重ねるごとに皮膚の弾力が失われるため、その「折れ癖」が徐々に定着し、ほうれい線として刻まれるようになります。
ほうれい線治療の基本|しわの深さによって異なるアプローチ
ほうれい線は大きく分けると深いものと浅いものがあり、それぞれに適した治療法は異なります。
まずは自分がどちらのタイプかを見極めることが重要です。
深い「溝」や「影」には構造的治療が必要
ほうれい線の「溝」が深い場合や、はっきりと「影」が目立つ場合には、皮膚表面の治療だけでは改善できません。
このようなケースでは、加齢により変化した骨格や脂肪、靭帯に対する“構造的な補修”が必要となります。
ヒアルロン酸によるボリューム補充や、脂肪やリガメントの引き上げを目的としたフェイスリフト、あるいは皮膚そのものの再生を促すグロースファクター治療などが、より本質的な改善につながります。
浅いしわや刻まれたしわには表皮〜真皮アプローチ
浅いしわや皮膚の表面に刻まれた「刻まれじわ」には、皮膚の質そのものを改善する表皮〜真皮へのアプローチが必要です。
浅いしわの改善は意外と困難で、1回の施術で明確な効果が期待できるのは「グロースファクター治療」のみです。
それ以外の施術、たとえばピーリングやレーザー、あるいは「肌育注射」ともよばれるリジュラン・スネコス・ジュベルックなど再生治療の類は、ある程度の効果が出るまでに複数回の継続治療が必要です。
主な美容医療治療|効果・持続期間・適応を比較
現在主流となっている美容医療におけるほうれい線の治療法には、それぞれ効果の特性・持続期間・適応があります。
代表的な5つの治療について比較しながら解説します。
ヒアルロン酸注入|即効性があり短期的に改善
ヒアルロン酸は、ほうれい線の深い溝を皮膚の深部からボリュームアップさせ、浅く目立たなくさせる治療法です。
注入直後から効果を実感でき、ダウンタイムもほとんどありません。
ただし、吸収性のある製剤のため持続期間は6か月〜2年程度と限られ、定期的な施術が必要になります。
また、浅いしわや皮膚の表面に刻まれたしわを改善するには限界があります。
グロースファクター治療|皮膚再生による根本治療
グロースファクター治療は、ほうれい線に注射をすることで真皮層の線維芽細胞が活性化され、コラーゲンの生成が促進し、ハリや弾力が向上して溝が目立たなくなる治療法です。
見た目の変化は1〜3ヶ月かけてゆるやかに表れますが、皮膚の構造そのものが再生するため、1回の施術でも数年以上にわたる長期的な改善が期待できます。
また、ヒアルロン酸では改善しにくい浅いしわや刻まれたしわに効果的です。
ハイフ・高周波の機械治療|たるみ予防と他治療との併用で効果的
ハイフ(HIFU;高密度焦点式超音波)や高周波(RF)は、皮膚の深部に熱エネルギーを与えてコラーゲンの収縮と再構築をうながす機械治療です。
皮膚のたるみを軽度に改善し、将来的なほうれい線の進行を予防する目的で使用されます。
単独ではほうれい線そのものの明確な改善は困難ですが、ヒアルロン酸やグロースファクターとの併用でより有効な若返り効果が期待できます。
スレッドリフト(糸リフト)|たるみ予防や補助治療としての活用が現実的
スレッドリフトは、表面にコグ(トゲ)のついた医療用の吸収糸で皮下組織を引き上げ、たるみを一時的に改善する治療法です。
頬の組織を引き上げることで、間接的にほうれい線が浅く見える効果もありますが、中顔面は特に戻りやすく、一時的な見た目の改善や施術後のコラーゲンの再構築によるたるみの予防にとどまります。
そのため、糸リフトはほうれい線治療の主役というより、他の治療との併用による相乗効果を狙う補助的な選択肢と考えるのが現実的です。
レーザー・ピーリング治療|肌質を整えてほうれい線の目立ちにくい肌に
フラクショナルレーザーやピーリング治療(マッサージピール、ミラノリピールなど)は、皮膚のターンオーバーを促し、真皮層に作用することで肌質を改善します。
直接的に深いほうれい線を改善することはできませんが、肌表面の小じわを改善したり、キメやハリを整えることで“ほうれい線の影が目立ちにくい肌”をつくることに役立ちます。
ほうれい線治療で失敗しないために|タイプ別の正しい治療選びが鍵
ほうれい線は、皮膚だけでなく骨格・脂肪・筋肉といった複数の要因が関わる「複合的」「構造的」な老化現象です。
そのため、ほうれい線の深さやタイプに応じた治療の組み合わせが重要になります。
即時的な改善を狙うヒアルロン酸、根本からの再生を促すグロースファクター、予防に適したハイフやピーリングなど、それぞれの特性を理解して選ぶことで、無理なく自然な若返りが叶います。
まずは自分のほうれい線がどのタイプかを知り、専門的なカウンセリングを通じて最適なアプローチ方法を見つけましょう。
当院はほうれい線治療を専門におこなっており、メールでの無料カウンセリングも受け付けておりますので、ぜひお気軽にご相談ください。